別宮大山祇神社

別宮大山祇神社

別宮大山祇神社は、和銅5年(712)伊予国一宮・大山祇神社の別宮・三島地御前として勧請されたことに始まると伝えられる。本来の四国55番札所であった大山祇神社への参拝が不便なため、別宮大山祇神社が前札所とされ、江戸時代には事実上の札所となった。現在は明治の神仏分離により、旧別当の南光坊が札所を引き継いでいる。
愛媛県の神社

正式名称 別宮大山祇神社〔べっく おおやまづみじんじゃ〕
御祭神 大山積命 〈相殿〉上津姫 下津姫
社格等 旧県社
鎮座地 愛媛県今治市別宮町3-6-1 [Mapion|googlemap]
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御朱印

  • 別宮大山祇神社の御朱印

    (1)

  • 別宮大山祇神社の御朱印

    (2)

(1)平成18年拝受の御朱印。揮毫は「日本総鎮守」「別宮」「大山祇神社」「三島地御前」。中央の朱印は折敷に三文字の神紋に「御璽」、左下の御朱印は「別宮大山祇神社」。

(2)平成18年拝受、四国曼荼羅霊場の御朱印。揮毫は「大山積大神」「別宮」。朱印は通常の神社の御朱印と同じで、右上に「第四十番」の印。

御由緒

社伝によれば、和銅5年(712)越智玉澄〔おちのたますみ〕が日本総鎮守・伊予国一宮の大山祇神社の地御前〔ちごぜん〕(別宮)として勧請したことに始まるという。往時、境内・社殿の荘厳は本社に劣らぬものであったという。社家は大三島の大祝家の分家である別宮氏が勤めた。

越智・河野氏の勢力拡大により、伊予国内一円に大山祇神社の分社(三島神社、一宮神社など)が奉斎されたが、当社は由緒から見てそれらの随一ということができるだろう。

正治年間(1199~1201)には、大山祇神社の法楽所24坊のうち南光坊など8坊が別宮に移され、大積山金剛院光明寺を称した。領主・河野氏の崇敬を受けて社頭は大いに栄えたが、天文20年(1575)落雷で社殿が炎上。天正3年(1575)来島通総〔くるしまみちふさ〕によって再建された。

その後も歴代今治藩主により社領の寄進や社殿の修復が行われている。また供僧坊8坊は天正年間(1573~92)長宗我部の兵火で焼失し、南光坊のみが再建された。

昭和20年(1945)には米軍の空襲による戦災に遭ったが、幸いにも来島通総再建の拝殿は焼失を免れた。

本来、四国八十八ヶ所の55番札所は大三島の大山祇神社であった。しかし、参拝が不便であるため、別宮・地御前の当社が前札所とされ、別当の光明寺(南光坊)が納経を司るようになった。江戸時代には事実上の札所となっており、55番の御詠歌も「別宮」を詠み込んだものとなっている。明治の神仏分離で南光坊が独立し、現在はそちらが正式の札所となっている。

境内の阿奈婆〔あなば〕神社には本社・大山祇神社の境外摂社・阿奈波神社から勧請したもので、磐長姫〔いわながひめ〕を祀っている。磐長姫は大山積大神の長女であり、長寿の神として、また特に「下の病」に霊験があるとして信仰を集めている。

また奈良原神社は旧越智郡玉川町(現・今治市)の楢原山頂に鎮座していた奈良原神社の御分霊を祀る。楢原山の奈良原神社は役行者の開山と伝えられ、牛馬安全守護の神として広く信仰を集めていた。また、長慶天皇にまつわる伝承も残る。境内経塚からの出土品は国宝に指定されたる。しかし、氏子住民全員が今治市内に移ることとなったため、当社に分霊を迎えることとなった。

写真帖

  • 大鳥居

    大鳥居

  • 神号額

    鳥居の神号額

  • 注連柱

    注連柱

  • 奈良原神社

    奈良原神社

  • 清高稲荷神社

    清高稲荷神社

  • 荒神社

    荒神社

  • 阿奈婆神社

    阿奈婆神社

  • お袖大明神

    お袖大明神

  • 拝殿

    拝殿

  • 本殿

    本殿

見どころ

■拝殿
天正3年(1575)来島通総により造営されたもの。間口5間、平屋切妻造檜皮葺で、当地方では唯一の純和様神社建築である。昭和12年(1937)新社殿造営に際して移築し、絵馬殿として使っていた。ところが、同20年(1945)の戦災で新社殿が焼失。幸いにして焼け残った旧拝殿を元の場所に戻し、再び拝殿として用いることとなった。昭和37年(1962)解体修理復元工事を行った。愛媛県指定有形文化財。

■楠とお狸さん
境内の楠には、それぞれ「お袖大明神」「お佐遠大明神」「お奈遠大明神」を祀る。いたずらを南光坊の天野快道和尚に諭されたという狸の姉妹である。「お袖大明神」が祀られている楠は今治市指定天然記念物。残りの2本は戦災で焼失し、戦後植え直されたものである。※参考:大楠と三匹の狸おいでやす狸楽巣

メモ

今治駅の北500mほど、国道317号線沿いに旧別当南光坊と並んで鎮座する。大鳥居には「日本総鎮守・三島地御前」の扁額がかかる。
拝殿は檜皮葺の優美な印象。また、清高稲荷神社、荒神社、奈良原神社などの境内社の社殿も立派なものである。

別宮大山祇神社の概要

名称 別宮大山祇神社
御祭神 大山積大神〔おおやまつみのおおかみ〕
〈相殿〉
上津姫〔かみつひめ〕
下津姫〔しもつひめ〕
鎮座地 愛媛県今治市別宮町三丁目6番1号
創建年代 和銅5年(712)
社格等 旧県社
例祭 5月第2土曜日
神事・行事 1月1日/歳旦祭
2月17日/祈年祭
旧2月初午日/初午祭
7月29日/輪越(夏越)祭
11月23日/新嘗祭
12月31日/除夜祭
文化財 〈県有形文化財〉拝殿
巡拝 四国曼荼羅霊場40番 四国八十八ヶ所旧55番札所

交通アクセス

□JR予讃線「今治駅」より徒歩8分

愛媛県の神社
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