文化10年(1813)西国三十三所の納経帳(前半)

表紙

この納経帳は、文化10年(1813)に阿波国板野郡大寺村の三橋茂兵衛と母のフサが西国三十三所と信州善光寺を巡拝したときのものである。以下に、この納経帳の前半の詳細を見ていこう。

前半は西の比叡として知られる書写山円教寺の女人堂から始まり、播磨から丹後・北近江の札所を経て33番谷汲山華厳寺、さらに足を伸ばして信州善光寺に参拝している。それから1番札所の那智山に向かい、順番通りに紀伊・和泉・河内の札所を巡拝。大和に入って6番南法華寺(壺坂寺)、7番龍蓋寺(岡寺)までを掲載する。後半は長谷寺から中山寺まで。

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書写山女人堂から谷汲山華厳寺まで

書写山女人堂

書写山の納経

【左】西国27番 書写山女人堂
書写山 円教寺 女人堂(現・補陀洛山 如意輪寺)
所在地:播磨国飾西郡東坂本村(兵庫県姫路市書写)
揮毫は「書写山女人堂」。宝印は蓮華座上の火焔宝珠に如意輪観音の種字「キリーク」。

※書写山円教寺は女人禁制のため、東坂参道入口の女人堂での納経となっている。現在の補陀洛山如意輪寺で、長保4年(1002)性空上人が創建したと伝えられる。応永5年(1398)書写山女人結界の院宣と御教書を賜った際、心空慈伝上人が如意輪寺本堂を女人巡礼の道場とした。明治の初め、結界が廃令とされたため再び如意輪寺の本堂となった。

法華寺・播州清水寺

一乗寺・播州清水寺

【右】西国26番 一乗寺
法華山 一乗寺
所在地:播磨国加西郡坂本村(兵庫県加西市坂元町)
揮毫は「法華寺金堂」。中央の宝印はなく、下に「一乗寺印」の印がある。

【左】西国25番 播州清水寺
御嶽山 清水寺
所在地:播磨国加東郡平木村(兵庫県加東市平木)
揮毫は「御嶽山清水寺」。中央に宝印はなく、下に「御嶽山」の印がある。

成相寺・松尾寺

成相寺・松尾寺

【右】西国28番 成相寺
成相山 成相寺
所在地:丹後国与謝郡成相寺村(京都市宮津市成相寺)
揮毫は「本尊聖観世音大士 成相寺」。中央の宝印は蓮華座上の宝珠に聖観音の種字「サ」。

【左】西国29番 松尾寺
青葉山 松尾寺
所在地:丹後国加佐郡松尾村(京都市舞鶴市松尾)
揮毫は「本尊馬頭観世音大士」。宝印は右上にあり、蓮華座上の宝珠に馬頭観音の種字「ウン」。

竹生島・長命寺

竹生島・長命寺の納経

【右】西国30番 竹生島
巌金山 宝厳寺
所在地:近江国浅井郡早崎村(滋賀県長浜市早崎町)
揮毫は「本尊千手大士」。中央の宝印は判読できない。

【左】西国31番 長命寺
姨綺耶山 長命寺
所在地:近江国蒲生郡長命寺門前町(滋賀県近江八幡市長命寺町)
揮毫は「千手観世音」。中央の宝印はない。

観音正寺・華厳寺

観音正寺・華厳寺の納経

【右】西国32番 観音正寺
繖山 観音正寺
所在地:近江国蒲生郡石寺村(滋賀県近江八幡市安土町石寺)
揮毫は「千手観世音」。中央に宝印はない。

【左】西国33番 華厳寺
谷汲山 華厳寺
所在地:美濃国大野郡谷汲村(岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積)
揮毫は「谷汲山円通殿」。中央に宝印はない。

信州善光寺から岡寺まで

善光寺・那智山

善光寺・那智山の納経

【右】信州善光寺
定額山 善光寺
所在地:信濃国水内郡善光寺町(長野県長野市大字長野元善町)
揮毫は「善光寺」、中央の宝印は「善光寺本堂」で現代と同じ。

【左】西国1番 那智山
那智山 十二所権現・円通殿(現・熊野那智大社・那智山 青岸渡寺)
所在地:紀伊国東牟婁郡市野々村(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山)
揮毫は「十二宮 広前」「円通殿 宝前」。中央の宝印は「西国第一番札所」。

※西国一番札所は那智山(現在の熊野那智大社)の如意輪堂であった。明治の神仏分離により他の仏堂は破却されたが如意輪堂は存続し、後に青岸渡寺として独立した寺院になった。

紀三井寺・粉河寺

紀三井寺・粉河寺の納経

【右】西国2番 紀三井寺
紀三井山 金剛宝寺 護国院
通称:紀三井寺
所在地:紀伊国名草郡紀三井寺村(和歌山県和歌山市紀三井寺)
揮毫は「紀三井山救世殿」。中央の宝印は円に十一面観音の種字「キャ」。

【左】西国3番 粉河寺
風猛山 粉河寺
所在地:紀伊国那賀郡粉河村(和歌山県紀の川市粉河)
揮毫は「南紀粉河寺大悲殿」。中央の宝印は円に千手観音の種字「キリーク」。

施福寺・葛井寺

施福寺・葛井寺の納経

【右】西国4番 施福寺
槇尾山 施福寺
通称:槇尾寺
所在地:和泉国泉郡槇尾山(大阪府和泉市槇尾山町)
揮毫は「本尊千手観世音」。中央の宝印は「佛法僧宝」の三宝印。

【左】西国5番 葛井寺
紫雲山 葛井寺
所在地:河内国丹南郡藤井寺村(大阪府藤井寺市藤井寺)
揮毫は「大悲尊宝殿」。中央の宝印は判読できない。

南法華寺・岡寺

壺阪寺・岡寺の納経

【右】西国6番 南法華寺
壺坂山 南法華寺(現・壺阪山 南法華寺)
通称:壺阪寺
所在地:大和国高市郡壺坂寺(奈良県高市郡高取町壺坂)
揮毫は「和陽壺坂山大悲閣」。中央の宝印は蓮華座上の宝珠に千手観音の種字「キリーク」。

【左】西国7番 岡寺
東光山 龍蓋寺
異称:岡寺
所在地:大和国高市郡岡村(奈良県高市郡明日香村岡)
揮毫は「大悲宝楼閣」。中央の宝印は蓮華座上の火焔宝珠に如意輪観音の種字「キリーク」。

文化10年(1813)に阿波国板野郡大寺村に住む三橋茂兵衛という人物が母親を同行して西国三十三所と善光寺を巡拝した納経帳。タイトルは...

文化10年(1813)西国三十三所の納経帳詳細(後半)


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コメント

  1. […] 文化10年(1813)書写山女人堂の納経。阿波国板野郡大寺村(徳島県板野郡板野町)三橋茂兵衛が西国三十三所を回った納経帳ですが、母・フサを同行していたため、女人堂での納経とな […]