近代社格制度における神宮及び官国幣社の御朱印の紹介。近代社格制度が制定された明治4年(1871)から廃止された昭和20年(1945)までの御朱印を掲載する。
ここでは国幣小社全50社のうち神部神社以下の16社の御朱印を紹介する(神部神社・浅間神社・大歳御祖神社は各1社と数える。ただし、項目は一つにまとめる)。
神社の順序、掲載する御朱印の基準、各神社の説明の内容についてはこちらを参照。
各神社の画像は一部を除き、いずれも資料として収集した戦前の絵はがきである。
神宮及び官国幣社の御朱印一覧
神部神社・浅間神社・大歳御祖神社
神部神社・浅間神社・大歳御祖神社は同一境内に鎮座しており、三社を合わせて静岡浅間神社と総称する。
■神部神社
御祭神:大己貴命
鎮座地:静岡県静岡市宮ヶ崎町(静岡市葵区宮ヶ崎町)
社格:式内社(小)、駿河国総社
国史所載の神階:-
昇格:明治21年5月1日
※明治6年県社→明治21年国幣小社
公式サイト:http://www.shizuokasengen.net/
■浅間神社
御祭神:木之花開耶姫命
鎮座地:静岡県静岡市宮ヶ崎町(静岡市葵区宮ヶ崎町)
社格:-
昇格:明治21年5月1日
※明治6年県社→明治21年国幣小社
公式サイト:http://www.shizuokasengen.net/
■大歳御祖神社
御祭神:大歳御祖命
鎮座地:静岡県静岡市宮ヶ崎町(静岡市葵区宮ヶ崎町)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:-
昇格:明治21年5月1日
※明治6年県社→明治21年国幣小社
公式サイト:http://www.shizuokasengen.net/
※絵はがき…昭和20年に戦災で焼失した大歳御祖神社の楼門。
■御朱印
(1)明治12年(1879)の御朱印。中央の朱印は「神部浅間奈吾屋弎社」、「奈吾屋」は大歳御祖神社の旧称「奈古屋明神」のことであろう。左下の印は「静岡浅間社務所印」。墨書は「静岡縣社/駿河国安倍郡/志都機山鎮座/神部神社/浅間神社/大歳御祖神社/社務所」。
(2)明治17年(1884)の御朱印。朱印は(1)と同じ「神部浅間奈吾屋弎社」「静岡浅間社務所印」。墨書は「静岡縣社駿河國安倍郡/静岡町賤機山鎮座/神部神社/浅間神社/大歳御祖神社/社務所」。
(3)明治33年(1900)の御朱印。中央の朱印は「神璽」。左下の印は「神部浅間大歳御祖神社社務所」。墨書は「静岡市宮ヶ嵜町鎮座/国幣社/神部神社/浅間神社/大歳御祖神社/社務所」。
(4)昭和16年(1941)の御朱印。朱印は「國幣駿河國静岡市賤機山鎮座神部浅間大歳御祖神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(5)昭和17年(1942)頃の御朱印。朱印は上から順に「神部神社」「浅間神社」「大歳御祖神社」。
(6)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
戸隠神社
■戸隠神社
御祭神:天手力男命
鎮座地:長野県上水内郡戸隠村戸隠(長野市戸隠)
社格:-
昇格:明治23年1月27日
※明治6年県社→明治23年国幣小社
公式サイト:https://www.togakushi-jinja.jp/
■御朱印
(1)時期不詳、昭和初期から10年代のものと思われる奥社の御朱印。上の朱印は「戸隠神社」、下は「奥社」。
(2)時期不詳、昭和初期から10年代のものと思われる中社の御朱印。上の朱印は「戸隠神社」で、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。下の印は「中社」。
(3)時期不詳、昭和初期から10年代のものと思われる宝光社の御朱印。上の朱印は「戸隠神社」、下は「宝光社」。
(4)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
菅生石部神社
■菅生石部神社
御祭神:菅生石部神
※現在では日子穂穂出見命、豊玉毘賣命、鵜葺草葺不含命の総称とされる
鎮座地:石川県江沼郡大聖寺町敷地(加賀市大聖寺敷地)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:-
昇格:明治29年3月12日
※明治初年県社→明治29年国幣小社
公式サイト:http://www.tenjin.or.tv/
※絵はがき…旧拝殿。現在の拝殿は昭和13年の造営。
■御朱印
(1)昭和18年(1943)の御朱印。朱印は「菅生石部神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
須佐神社
■須佐神社
御祭神:須佐之男命
鎮座地:島根県飯石郡東須佐村宮内(出雲市佐田町須佐)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:-
昇格:明治32年7月7日
※明治5年郷社→明治6年県社→明治32年国幣小社
■御朱印
(1)明治11年(1878)の御朱印。中央の朱印は神代文字(アヒル文字)で「スサノオノミコトミシルシ(須佐之男命神璽)」。神代文字の印はアヒル草文字を使うことが多く、アヒル文字の印は珍しい。左下の印は判読できない。墨書は「出雲國/縣社/須佐神社/社務局」。
(2)明治12年(1879)の御朱印。中央に朱印はない。左下の印は(1)と同じで、判読できない。墨書は「出雲国須佐郷鎮座/縣社/須佐神社/社務所」。
(3)昭和16年(1941)の御朱印。朱印は「須佐大宮」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(4)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
藤崎八旛宮
■藤崎八旛宮
御祭神:応神天皇
鎮座地:熊本県熊本市井川淵町(熊本市中央区井川淵町)
社格:-
昇格:大正4年11月10日
※明治5年県社→大正4年国幣小社
公式サイト:https://www.fujisakigu.or.jp/
※明治18年造営の旧拝殿。昭和11年の社殿新築に際し、宮崎県えびの市の加久藤神社に譲渡された。
■御朱印
(1)明治39年(1906)はがきに押された御朱印。明治39年のはがきアルバム所収。朱印は「藤崎宮印」。
(2)昭和2年(1927)頃の御朱印。中央上の朱印は「勅願/五所別宮/肥後宗廟」、その右の印は「肥後熊本市鎮座」。右下の印は弓と矢に「肥後宗廟/藤崎宮/参拝紀念」。左下は「國幣小社藤崎八旛宮社務所」。
(3)昭和6年(1931)の御朱印。中央上の朱印は下り藤の神紋に「國幣小社藤崎八旛宮」。右上と中央下の印は(2)と同じで、「肥後熊本市鎮座」「國幣小社藤崎八旛宮社務所」。
(4)時期不詳、昭和10年代のものと思われる御朱印。中央上の朱印は「國幣小社藤崎八旛宮」で、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。右上の印は「肥後熊本市鎮座」、中央下の印は(2)と同じ弓と矢に「肥後宗廟/藤崎宮/参拝紀念」。
(5)昭和20年(1945)の御朱印。朱印は「國幣小社藤崎八旛宮」。所有者の筆で「応召前日」とある。終戦直前という時代背景を感じさせる。
(6)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
忌宮神社
■忌宮神社
御祭神:仲哀天皇、神功皇后、応神天皇
鎮座地:山口県下関市長府町(下関市長府宮の内)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:-
昇格:大正5年12月12日
※明治6年県社→大正5年国幣小社
公式サイト:http://iminomiya-jinjya.com/
■御朱印
(1)時期不詳の御朱印、昭和初期から10年代のものか。中央の朱印は「忌宮神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。右上の印は「穴門豊浦宮址/長門長府鎮座」。
(2)昭和16年(1941)の御朱印。朱印は(1)と同じ「忌宮神社」。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
柞原八幡宮
■柞原八幡宮
※明治期は柞原八幡社、大正5年国幣小社昇格の際に柞原八幡宮と改称
御祭神:仲哀天皇、応神天皇、神功皇后
鎮座地:大分県大分市八幡
社格:豊後国一宮
昇格:大正5年12月12日
※明治6年県社→大正5年国幣小社
公式サイト:https://oita-yusuhara.com/
■御朱印
(1)明治23年(1890)の御朱印。中央の朱印は「柞原社印」。左下の印は「柞原神社社務所當直」。文字は木版刷り(一部毛筆)で「豊後國大分郡八幡村鎮座/縣社/柞原神社/社務所」。
(2)昭和17年(1942)の御朱印。中央上の朱印は「柞原宮印」、同年発行の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。下の印は「柞原八幡宮社務所印」。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
高瀬神社
■高瀬神社
御祭神:高瀬神
※現在は大己貴命とされる。
鎮座地:富山県東礪波郡高瀬村高瀬(南砺市高瀬)
社格:式内社(小)、越中国一宮
国史所載の神階:正三位
昇格:大正12年6月16日
※明治6年県社→大正12年国幣小社
公式サイト:https://www.takase.or.jp/
※絵はがき…旧拝殿。現在の拝殿は昭和23年造営。
■御朱印
(1)時期不詳の御朱印、昭和初期から10年代のものか。中央上の朱印は「高瀬神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。中央下の印は「越中國一宮/國幣小社高瀬神社/参拝紀念」。右下・左下の印は「神璽」。
(2)昭和19年(1944)の御朱印。中央下の朱印は(1)と同じ「高瀬神社」。上の印は「越中國一ノ宮」。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
津島神社
■津島神社
御祭神:建速須佐之男命
鎮座地:愛知県海部郡津島町向島(津島市神明町)
社格:-
昇格:大正15年10月1日
※明治6年県社→大正15年国幣小社
公式サイト:https://tsushimajinja.or.jp/
■御朱印
(1)明治12年(1879)の御朱印、木版刷りの書き置き。中央の朱印は「津嶋神社神璽」。左下の印は「津嶋神社社務所」。文字は木版刷り(一部毛筆)で「尾張國縣社/津嶋神社/社務所」。
(2)明治16年(1883)の御朱印、木版刷りの書き置き。朱印・木版ともに(1)と同じだが、「縣社」の書き込みがない。
(3)明治33年(1900)の御朱印。中央の朱印は(1)と同じ「津嶋神社神璽」。左下の印は「津嶋神社社務所印」。墨書は「尾張國/津島神社/社務所」。
(4)大正10年代の御朱印。朱印は八稜鏡に「津嶋神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(5)昭和15年(1940)の御朱印。朱印は(4)と同じ八稜鏡に「津嶋神社」だが、八稜鏡の先端部分が欠けている。『惟神の礎』に掲載されている印もこの状態のものである。
(6)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
箱根神社
■箱根神社
御祭神:箱根神
※現在は瓊瓊杵尊、木花咲耶姫命、彦火火出見尊の総称とされる。
鎮座地:神奈川県足柄下郡元箱根村大芝(足柄下郡箱根町元箱根)
社格:-
昇格:昭和3年11月10日
※明治6年県社→昭和3年国幣小社
公式サイト:https://hakonejinja.or.jp/
■御朱印
(1)明治12年(1879)の御朱印。中央の朱印は判読しづらいが「神璽」と思われる。墨書は「相模國足柄下郡/縣社筥根神社」。
(2)昭和5年(1930)の御朱印。中央上の朱印は「箱根神社」。右下の印は「箱根神社参拝之証」、左下は「國幣小社箱根神社社務所印」。墨書は「國幣小社/箱根神社」。
(3)昭和8年(1933)の御朱印。中央の朱印は(2)と同じ「箱根神社」。右上の黒印は「筥根山鎮座/關東總鎮守」、左下のスタンプは三割菊の神紋に「國幣小社筥根神社参拝之章」。
(4)昭和10年(1935)の御朱印。中央の朱印は「箱根神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。右の印は(3)と同じ「筥根山鎮座/關東總鎮守」、左下は三割菊の神紋。
(5)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
秩父神社
■秩父神社
御祭神:八意思金命、知々夫彦命
※現在は八意思兼命、知々夫彦命、天御中主神、秩父宮雍仁親王の四柱
鎮座地:埼玉県秩父郡秩父町大宮(秩父市番場町)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:正四位下勲七等
昇格:昭和3年11月10日
※明治4年県社→昭和3年国幣小社
公式サイト:http://www.chichibu-jinja.or.jp/
■御朱印
(1)明治32年(1899)の御朱印。中央の朱印は雲と波に「知知夫神社守護」。左下の印は「秩父神社社務所印」。墨書は「武蔵国秩父郡大宮町鎮座/式内縣社秩父神社/秩父神社々務所」。
(2)昭和9年(1934)の御朱印。中央の朱印は(1)と同じ「知知夫神社守護」。左下の印は「秩父神社社務所之印」。墨書は「国幣小社秩父神社」。
(3)昭和19年(1944)の御朱印。朱印は「秩父神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(4)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
伊豆山神社
■伊豆山神社
御祭神:伊豆山神
※現在は火牟須比命、天之忍穂耳命、栲幡千千姫命、邇邇芸命の総称とされる。
鎮座地:静岡県熱海市伊豆山上野地
社格:式内論社(小)
国史所載の神階:-
昇格:昭和3年11月10日
※明治8年県社→昭和3年国幣小社
■御朱印
(1)昭和5年(1930)の御朱印。中央の朱印は「伊豆山神社」で、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。右上の印は「仁徳天皇勅願所/後奈良天皇勅願所」、中央上は「旧関東総鎮守」、左上は「恋の社」か。左下の印は「國幣小社伊豆山神社社務所印」。
(2)昭和18年(1943)の御朱印。上と中央の印は(1)と同じ「伊豆山神社」「旧関東総鎮守」。下の印は「静岡縣伊豆山神社/参拝紀念」。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
劔神社
■劔神社
御祭神:素戔嗚尊
鎮座地:福井県丹生郡織田村織田(丹生郡越前町織田)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:正四位下勲六等
昇格:昭和3年11月10日
※明治7年郷社→明治34年県社→昭和3年国幣小社
公式サイト:https://www.tsurugi-jinja.jp/
■御朱印
(1)昭和18年(1943)の御朱印。朱印は「國幣小社劔神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
佐太神社
■佐太神社
※明治14年(1881)佐陀神社から佐太神社に改称。
御祭神:佐太大神
※猿田彦大神のこととされる。三殿に主祭神をはじめ12柱の神々を祀る。
鎮座地:島根県八束郡佐太村佐陀宮内(松江市鹿島町佐陀宮内)
社格:式内社(小)
国史所載の神階:従四位下
昇格:昭和3年11月10日
※明治初年郷社→明治6年県社→昭和3年国幣小社
公式サイト:http://sadajinjya.jp/
■御朱印
(1)明治10年(1877)の御朱印。中央の朱印は地紙の神紋。左下の印は「勝部氏」。佐太神社の社家である朝山氏は勝部臣の末裔とされる。墨書は「島根縣下出雲國/縣社/佐陀神社/神在祭之社也/社務所」。
(2)昭和16年(1941)の御朱印。朱印は「佐太神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
【1】神宮・官幣大社の御朱印(1)
【2】官幣大社の御朱印(2)
【3】官幣大社の御朱印(3)
【4】官幣大社の御朱印(4)
【5】官幣大社の御朱印(5)
【6】国幣大社の御朱印
【7】官幣中社の御朱印(1)
【8】官幣中社の御朱印(2)
【9】国幣中社の御朱印(1)
【10】国幣中社の御朱印(2)
【11】国幣中社の御朱印(3)
【12】官幣小社の御朱印
【13】国幣小社の御朱印(1)
【14】国幣小社の御朱印(2)
【15】国幣小社の御朱印(3)
【16】別格官幣社の御朱印(1)
【17】別格官幣社の御朱印(2)