高砂天祖神社

高砂天祖神社

高砂天祖神社は伊勢・鹿島・香取の神を祀り、江戸時代以前は三社大明神と称していた。創建年代は不詳だが、社伝によれば、中世、伊勢神宮の神領・葛西御厨が置かれていた時代に、皇大神宮から御分霊を勧請し、村の鎮守として奉斎したことに始まるという。かつては曲金村(現・高砂)及び細田村・新宿町・鎌倉新田の鎮守であった。

正式名称 天祖神社〔てんそじんじゃ〕
通称 高砂天祖神社〔たかさご てんそじんじゃ〕
御祭神 天照坐皇大神 〈相殿〉建甕槌命 経津主命
社格等 旧村社
鎮座地 東京都葛飾区高砂2-13-13 [Mapion|googlemap]
最寄り駅 京成高砂(京成本線)
バス停:高砂二丁目

御朱印

  • 高砂天祖神社の御朱印

    (1)

(1)平成28年拝受の御朱印。朱印・揮毫ともに「天祖神社」。

御由緒

高砂天祖神社拝殿

御祭神

■天照坐皇大神
配祀
■建甕槌命
■経津主命

御祭神の表記は東京都神社庁の公式サイトによる。明治の神社明細帳では大日孁命・武甕槌命・経津主命。伊勢神宮と鹿島神宮・香取神宮の御祭神である。

由緒(歴史)

高砂天祖神社(葛飾区史)

高砂町天祖神社(『葛飾区史』)
〔国会図書館デジタルコレクション〕

高砂天祖神社は、江戸時代以前には三社大明神と称し、御祭神は伊勢・鹿島・香取の神である。かつては曲金村(現・高砂)・細田村(元禄以前には曲金新田と称していた)・新宿町・鎌倉新田の総鎮守であったという。旧別当は真言宗の金亀山観蔵院(高砂5)。

当社が鎮座する曲金は、応永5年(1398)の「葛西御厨田数注文写」にその名が見える古い地名である。しかし明治になると読みにくいなどと言われるようになり、昭和7年(1932)東京市に編入された際、当社周辺の字の名で、縁起がよく、京成本線の駅の名にも使われていた高砂に改称された。

創建年代については不詳だが、社伝によれば、当地が伊勢神宮の神領・葛西御厨の一部であった頃、領主の葛西三郎重清が皇大神宮の御分霊を勧請し、村の鎮守として奉斎したとされる。

寛永10年(1633)に社殿を造営した際の棟札が残っており、「下総国葛飾郡曲金郷 新宿村 細田村 曼荼羅村(鎌倉新田の別名)」「別当 観蔵寺 宥鏡」「惣氏子 百姓中」等とみえる。旧別当の観蔵院は文明元年(1469)の開創、承応2年(1569)の中興とされるので、いずれにしても室町時代以前に遡る古社であることは間違いないだろう。

『新編武蔵風土記稿』には「神明・香取・鹿島の三座を祀れり。当村及び細田村・新宿町・鎌倉新田の鎮守とせり。末社 稲荷・弁天」とある。

明治初年、神仏分離により三社神社、その後さらに天祖神社と改称した(明治5年の「神社取調」では三社大神、同年の「氏子町名調」では三社神社、明治7年の「神社明細帳」では天祖神社となっている)。明治7年(1874)4月2日、村社に列格。明治39年(1906)4月には神饌幣帛供進社に列した。

明治2年(1869)本殿、明治42年(1909)拝殿を改築。さらに昭和36年(1961)現在の社殿が造営された。

境内社

高砂天祖神社境内社

境内社(稲荷神社・八雲神社)

『新編武蔵風土記稿』には末社として稲荷・弁天の2社、明治12年(1879)の神社明細帳には境内神社として稲荷神社・厳島神社・稲荷神社・日枝神社・熊野神社・青龍神社・幸神社の7社が記載されているが、現在は八雲神社と稲荷神社の2社のみ。

■八雲神社

御祭神は素盞嗚命。かつては独立した神社で、江戸時代には牛頭天王社と称し、別当は三社明神(天祖神社)と同じく観蔵院。明治の神仏分離以後は八雲神社と称し、無格社であった。昭和11年(1936)の『葛飾区史』にも無格社・八雲神社として掲載されているので、高砂天祖神社の境内社となったのはそれ以後のことであろう。

■稲荷神社

御祭神は宇迦之御魂神。由緒は不詳だが、新編武蔵風土記稿・神社明細帳ともに境内社の筆頭として稲荷神社を挙げている。

写真帖

  • 高砂天祖神社鳥居

    鳥居

  • 高砂天祖神社庚申塔

    庚申塔(青面金剛)

  • 高砂天祖神社境内

    境内

  • 高砂天祖神社手水舎

    手水舎

  • 高砂天祖神社狛犬

    狛犬

  • 高砂天祖神社神楽殿

    神楽殿

  • 高砂天祖神社火の見櫓

    火の見櫓

  • 高砂天祖神社稲荷神社

    稲荷神社

  • 高砂天祖神社八雲神社

    八雲神社

  • 高砂天祖神社拝殿

    拝殿

  • 高砂天祖神社社号額

    社号額

  • 高砂天祖神社本殿

    本殿

メモ

京成高砂駅の西、徒歩約5分のところに鎮座する。高砂宮前児童遊園の西側に鳥居があり、参道を進むと正面に木造神明造の社殿がある。境内は社殿のすぐ背後を京成本線が走り、その北側には旧別当の観蔵院がある。

昭和11年(1936)の『葛飾区史』の写真を見ると、当時はかなり樹木が生い茂っていたようだが、現在はほとんど残っていないようである。周囲にも高い建物が少ないため、空が広く感じられる。すっきりとした印象の境内である。

『新編武蔵風土記稿』には、曲金村のほか細田村・新宿町・鎌倉新田の鎮守とあるが、一方で細田村の稲荷社(細田神社)、新宿町の山王社(新宿日枝神社)、鎌倉新田の八幡社(鎌倉八幡神社)もそれぞれの村(町)の鎮守として記されている。思うに三社明神(天祖神社)はこれらの村々が曲金村から分立する以前からの鎮守であったため、この地域の総鎮守的な社とされていたのではないだろうか。

境内には今では都区部ではほとんど見かけることのなくなった火の見櫓が残っている。見張り台にはちゃんと半鐘も吊されている。

高砂天祖神社の概要

名称 天祖神社
通称 高砂天祖神社
旧称 三社大明神 三社明神社 三社神社
御祭神 天照坐皇大神〔あまてらすすめおおかみ〕
〈相殿〉
建甕槌命〔たけみかづちのみこと〕
経津主命〔ふつぬしのみこと〕
鎮座地 東京都葛飾区高砂二丁目13番13号
創建年代 不詳
社格等 旧村社
例祭 10月1日
神事・行事 1月6日/新年祭
2月上午の日/稲荷祭
6月15日/八雲祭
※『平成「祭」データ』による

交通アクセス

□京成本線「京成高砂駅」より徒歩約5分。

コメント

  1. 高橋 利明 より:

    始めまして。大変勉強になりました。縁があり天祖神社の絵馬「雨乞い絵馬」の修理をさせて頂きました。今は滋賀大津に住んでいますが。天祖神社の元氏子です。実家は高砂です。絵馬は天保十年に描かれたものです。神楽殿の中に納められていたので、ほとんどの方が知りません。今回修理後は拝殿の中に掲げられるそうです。また訪ねてみてください。

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