歴代天皇陵の現代の御陵印と過去に用いられた旧御陵印を紹介する。ここでは神代三陵と初代神武天皇畝傍山東北陵から第17代履中天皇百舌鳥耳原南陵まで、計20の御陵印を取り上げる。各御陵は宮内庁の治定によるものである。
なお、旧御陵印は私の手許の資料によるが、御陵によっては御陵印を作り替えることがあったため、ここで紹介するもの以外にも存在したことがわかっている。ネット上で紹介されているものについてはリンクを貼っておく。
可愛山陵(瓊瓊杵尊)
御陵名:可愛山陵(えのみささぎ)
被葬者:天津日高彦火瓊瓊杵尊
所在地:鹿児島県薩摩川内市宮内町1935-1 [Mapion|googlemap]
陵印保管:桃山陵墓監区事務所
備考:神代三陵の一。薩摩国一宮・新田神社の境内にあり、明治7年(1874)明治政府によって治定された。
現在の御陵印だが、印は戦前から使われているもの。印文は「可愛山陵」。亀は御陵のある神亀山に因むと思われる。
筆者の手許に戦前の御陵印はないが、おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
https://www.shuincho.tk/ryoin/kagoshimaken/enoyamanomisasagi/
高屋山上陵(彦火火出見尊)
御陵名:高屋山上陵(たかやのやまのえのみささぎ)
被葬者:天津日高彦火火出見尊
所在地:鹿児島県霧島市溝辺町麓菅口 [Mapion|googlemap]
陵印保管:桃山陵墓監区事務所
備考:神代三陵の一。明治7年(1874)明治政府によって治定された。
現在の御陵印だが、印は戦前から使われているもの。印文は「高屋山上陵印」。
筆者の手許に戦前の御陵印はないが、おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
https://www.shuincho.tk/ryoin/kagoshimaken/takayanoyamanoenomisasagi/
吾平山上陵(鸕鶿草葺不合尊)
御陵名:吾平山上陵(あひらのやまのえのみささぎ)
被葬者:天津日高彦彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊
所在地:鹿児島県鹿屋市吾平町上名字吾平山 [Mapion|googlemap]
陵印保管:桃山陵墓監区事務所
備考:神代三陵の一。明治7年(1874)明治政府によって治定された。
現在の御陵印だが、印は戦前から使われているもの。印文は「吾平山上陵」。
筆者の手許に戦前の御陵印はないが、おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
https://www.shuincho.tk/ryoin/kagoshimaken/airanoyamanoenomisasagi/
畝傍山東北陵(神武天皇)
御陵名:畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)
被葬者:第1代 神武天皇
陵形:円丘
所在地:奈良県橿原市大久保町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「神武天皇畝傍山東北陵」。
(2)大正13年に朝日新聞社から出版された『神社山陵参拝記』の付録「神社山陵印譜」に収録された神武天皇畝傍山東北陵の御陵印。同じ印譜に収録された明治天皇伏見桃山陵の御陵印とともに、現在確認できるもっとも古い御陵印。印文は「神武天皇畝傍山東北陵」。
(3)昭和初年(時期不詳)。大正末から昭和初期に用いられたものと思われる。上の印は十六八重菊と五七の桐。下は「畝傍山東北陵」。
(4)昭和初年(時期不詳)。(2)と同じ集印帖に収められている。黒印だが(5)と同じもののようである。印文は「畝傍山東北陵」。
(5)昭和3年。(4)と同じ印のようで、この後も長く使われた。
桃花鳥田丘上陵(綏靖天皇)
御陵名:桃花鳥田丘上陵(つきだのおかのえのみささぎ)
被葬者:第2代 綏靖天皇
陵形:円丘
所在地:奈良県橿原市四条町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「綏靖天皇桃花鳥田丘上陵」。
(2)昭和6年頃。印文は「綏靖天皇桃花鳥田丘上陵」。
(3)時期不詳、昭和10年頃か。新しく作成されたもののようで、書体が違う。印文は「綏靖天皇桃花鳥田丘上陵」。
畝傍山西南御陰井上陵(安寧天皇)
御陵名:畝傍山西南御陰井上陵(うねびやまのひつじさるのみほどのいのえのみささぎ)
被葬者:第3代 安寧天皇
陵形:山形
所在地:奈良県橿原市吉田町252 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「安寧天皇畝傍山西南御陰井上陵」。
(2)昭和3年。上の印は十六八重菊と五七の桐。下は「安寧天皇畝傍山西南御陰井上陵」。
(3)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「安寧天皇畝傍山西南御陰井上陵」。
畝傍山南織沙渓上陵(懿徳天皇)
御陵名:畝傍山南織沙渓上陵(うねびやまのみなみのまなごのたにのえのみささぎ)
被葬者:第4代 懿徳天皇
陵形:山形
所在地:奈良県橿原市西池尻町401 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「懿徳天皇畝傍山南織沙渓上陵」。
(2)昭和3年。上の印は十六八重菊に五七の桐、下は「懿徳天皇織沙渓上陵」。
(3)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「懿徳天皇畝傍山南織沙渓上陵」。
掖上博多山上陵(孝昭天皇)
御陵名:掖上博多山上陵(わきのかみのはかたのやまのえのみささぎ)
被葬者:第5代 孝昭天皇
陵形:山形
所在地:奈良県御所市大字三室378 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「孝昭天皇掖上博多山上陵」。
(2)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「孝昭天皇掖上博多山上陵」。
玉手丘上陵(孝安天皇)
御陵名:玉手丘上陵(たまてのおかのえのみささぎ)
被葬者:第6代 孝安天皇
陵形:円丘
所在地:奈良県御所市大字玉手 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「孝安天皇玉手丘上陵」。
(2)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「孝安天皇玉手丘上陵」。
片丘馬坂陵(孝靈天皇)
御陵名:片丘馬坂陵(かたおかのうまさかのみささぎ)
被葬者:第7代 孝霊天皇
陵形:円丘
所在地:奈良県北葛城郡王寺町本町3丁目 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「孝靈天皇片丘馬坂陵」。
(2)昭和5年。前方後円墳の形をした印。印文は「孝霊天皇片丘馬坂陵」。
(2)時期不詳、昭和10年頃か。(2)とほぼ同じだが細部が違っており、印を新調しているようだ。
劔池嶋上陵(孝元天皇)
御陵名:剣池嶋上陵(つるぎのいけのしまのえのみささぎ)
被葬者:第8代 孝元天皇
陵形:前方後円
所在地:奈良県橿原市石川町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「孝元天皇劔池嶋上陵」。
(2)昭和6年。印文は「孝元天皇劔池島上陵」。
春日率川坂上陵(開化天皇)
御陵名:春日率川坂上陵(かすがのいざかわのさかのえのみささぎ)
被葬者:第9代 開化天皇
陵形:前方後円
所在地:奈良県奈良市油阪町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「開化天皇春日率川坂上陵」。
(2)時期不詳、昭和10年代か。印文は「開化天皇春日率川坂上陵」。
山邊道勾岡上陵(崇神天皇)
御陵名:山辺道勾岡上陵(やまのべのみちのまがりのおかのえのみささぎ)
被葬者:第10代 崇神天皇
陵形:前方後円
所在地:奈良県天理市柳本町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「崇神天皇山邊道勾岡上陵」。
(2)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「山邊道勾岡上陵」、枠は八稜鏡を模している。
菅原伏見東陵(垂仁天皇)
御陵名:菅原伏見東陵(すがわらのふしみのひがしのみささぎ)
被葬者:第11代 垂仁天皇
陵形:前方後円
所在地:奈良県奈良市尼辻西町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「垂仁天皇菅原伏見東陵」。
(2)昭和10年代。印文は「垂仁天皇 菅原伏見東陵」、菊と台形で前方後円墳を象っている。
山邊道上陵(景行天皇)
御陵名:山辺道上陵(やまのべのみちのえのみささぎ)
被葬者:第12代 景行天皇
陵形:前方後円
所在地:奈良県天理市渋谷町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「景行天皇山邊道上陵」。
(2)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「山邊道上陵」、景行天皇陵の御陵印と同形で、枠は張り稜鏡を象っている。
狹城盾列池後陵(成務天皇)
御陵名:狹城盾列池後陵(さきのたたなみのいけじりのみささぎ)
被葬者:第13代 成務天皇
陵形:前方後円
所在地:奈良県奈良市山陵町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:畝傍陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「成務天皇狹城盾列池後陵」。
(2)昭和10年代。印文は「成務天皇狹城盾列池後陵」。
惠我長野西陵(仲哀天皇)
御陵名:恵我長野西陵(えがのながののにしのみささぎ)
被葬者:第14代 仲哀天皇
陵形:前方後円
所在地:大阪府藤井寺市藤井寺4丁目 [Mapion|googlemap]
陵印保管:古市陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文「仲哀天皇惠我長野西陵」。
(2)昭和10年代。印文は「惠我長野西陵」。
惠我藻伏崗陵(応神天皇)
御陵名:恵我藻伏崗陵(えがのもふしのおかのみささぎ)
被葬者:第15代 応神天皇
陵形:前方後円
所在地:大阪府羽曳野市誉田3・5・6丁目 [Mapion|googlemap]
陵印保管:古市陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「応神天皇惠我藻伏崗陵」。
(2)大正14年、まだ御陵印はなかったようである。右上の印は「古市勤番所」、現在の古市陵墓監区事務所に当たる。
(3)昭和10年代。印文は「応神天皇惠我藻伏崗陵」。
百舌鳥耳原中陵(仁德天皇)
御陵名:百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)
被葬者:第16代 仁徳天皇
陵形:前方後円
所在地:堺市堺区大仙町 [Mapion|googlemap]
陵印保管:古市陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「仁徳天皇百舌鳥耳原中陵」。
(2)昭和10年代。印文は「仁徳天皇百舌鳥耳原中陵」。
※おかもと氏の「昔の集印帖」には上の御陵印以前に使われていたと思われる印が掲載されている。
https://www.shuincho.tk/ryoin/osakafu/mozunomimiharanonakanomisasagi/
百舌鳥耳原南陵(履中天皇)
御陵名:百舌鳥耳原南陵(もずのみみはらのみなみのみささぎ)
被葬者:第17代 履中天皇
陵形:前方後円
所在地:大阪府堺市西区石津ヶ丘 [Mapion|googlemap]
陵印保管:古市陵墓監区事務所
(1)現在の御陵印。印文は「百舌鳥耳原南陵」。
(2)昭和4年。印文は「履中天皇百舌鳥耳原南陵参拝之章」。
(3)時期不詳、昭和10年頃か。印文は「履中天皇百舌鳥耳原南陵」。
※おかもと氏の「昔の集印帖」には上の御陵印以前に使われていたと思われる印が掲載されている。
https://www.shuincho.tk/ryoin/osakafu/mozunomimiharanominaminomisasagi/