板橋七福神

西光院大黒天

西光院 大黒天

板橋七福神は、旧板橋区(現在の板橋区・練馬区)の七ヶ寺を巡る七福神霊場で、昭和12年(1937)に開創された。七福神の御尊像は区内に住んでいた町彫師の田中金太郎氏の手になるもの。

■文殊院:毘沙門天
■観明寺:恵比寿神
■西光院:大黒天
■西光寺:布袋尊
■長命寺:福禄寿
■安養院:弁財天
■能満寺:寿老人

以上、真言宗豊山派の寺院7ヶ寺で構成される。回り方によるが全行程10km余り、二十三区内の七福神では最長とされる健脚向けのコースである。

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板橋七福神について

板橋七福神の開創は、昭和11年(1936)町彫師の彫金こと田中金太郎氏が、自作の七福神像を菩提寺の西光院に奉納したことが発端。田中氏は中丸(現・熊野町)の熊野神社前に住み、寺社や神輿の彫刻に腕を振るっていた。当時の住職が、彫師として技量が高く信仰心も篤い彫金さんの七福神の御利益を広めようと近隣寺院に一体ずつ寄贈し、昭和12年(1937)から巡拝が始まったという。
※板橋経済新聞2018.01.04.「新年恒例の『板橋七福神』開帳始まる 西光院への奉納から82年」 https://itabashi.keizai.biz/headline/270/ による。

このような経緯から、札所はすべて真言宗豊山派の寺院で構成されている。また板橋七福神といいながら1ヶ寺は練馬区内にあるが、これは当時、現在の練馬区が板橋区の一部だったことによる。いずれも板橋区成立以前の板橋町・上板橋村にあり、現在の板橋区より本来的な意味での板橋地域といえよう。因みに練馬区が板橋区から分離・発足したのは昭和22年(1947)のことである。

当初は各寺院の檀家を対象としたものであったが、次第に広く知られるようになり、今では新春の恒例行事として区内外から多くの人が参拝客が訪れている。

巡拝情報

七福神の御開帳は1月1日から7日。期間中は御朱印の授与、色紙への押印のほか、散華風のステッカーの授与がある。御開帳期間以外の御朱印対応については未確認。

巡拝ルートは決まっていないので、どこからどういう順番で参拝してもよい。札所は明確なコースが決められるような配置ではなく、特にモデルコースもないようだ。よく見るのは板橋の文殊院か観明寺から始め、江古田の能満寺で終えるコースだが、途中の回り方はいろいろである。以下に2例ほど挙げておく。

①文殊院-②観明寺-③西光院-④西光寺-⑤長命寺-⑥安養院-⑦能満寺 
①観明寺-②文殊院-③長命寺-④安養院-⑤西光寺-⑥西光院-⑦能満寺

文殊院と観明寺は都営三田線の板橋区役所前駅、能満寺は西武池袋線の江古田駅が最寄りになる。因みに、私自身は上のコースを逆に回った(能満寺→文殊院)。

すべて歩くと3~4時間かかるとされる。公共交通機関を使っての時間短縮もあまり期待できないので、一度に回る自信がない方は、日にちを分けて巡拝するのもよいだろう。

能満寺(寿老人)

能満寺寿老人

■夏雪山 広原院 能満寺
御本尊:不動明王
札所本尊:寿老人
創建年代:元和年間(1615~24)
開山:法印源心
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都練馬区旭丘2-15-5 [Mapion|googlemap]

略縁起

能満寺本堂

能満寺は、板橋七福神で唯一の練馬区内にある札所だが、所在地の旭丘はかつての江古田新田で、『新編武蔵風土記稿』では上板橋村の小名とされている。

寺伝によれば、「夏に雪が降って美しい場所がある」という話を聞いた僧・源心が当地を訪れて教えを説き、堂宇を建立して不動明王を安置したことに始まるという。夏雪山という珍しい山号の由来でもあるが、この「夏に雪が降る云々」というのは当時が別当を務めていた茅原浅間神社の由緒によるのではないかと思われる。豊島八十八ヶ所第61番。

現在の本堂は平成15年(2003)の造営。参道入口に安置された地蔵菩薩は「千川地蔵」と呼ばれ、元は千川上水の近くに祀られていたが、水路の暗渠化に際して能満寺境内に遷された。

札所本尊の寿老人は、庫裏にて開帳されていた。

御朱印

能満寺板橋七福神寿老人の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央上の朱印は寿老人の尊像と「七福即生」。右上の印は「板橋七福神」、左下は「能満寺印」。

アクセス

□安養院(弁財天)より徒歩約30分
□西光寺(布袋尊)より徒歩約20分
□西光院(大黒天)より徒歩約30分

□西武池袋線「江古田駅」より徒歩約8分

安養院(弁財天)

安養院弁財天

■武王山 最明寺 安養院
御本尊:阿弥陀如来
札所本尊:弁財天
創建年代:正嘉元年(1257)
開山:北条時頼
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都板橋区東新町2-30-23 [Mapion|googlemap]

略縁起

安養院本堂

安養院は豊島八十八ヶ所の第一番札所で、最明寺入道と呼ばれた鎌倉幕府の執権・北条時頼によって開創されたという古刹である。

寺伝によれば、正嘉元年(1257)時頼が諸国行脚の途中で当地に立ち寄り、一宇を建立して持仏の摩利支天を奉安したことに始まる。寺号は時頼に因んで最明寺、山号は武徳を表して武王山と号した。

延宝年間(1673~81)火災で堂宇等全焼するが、元禄元年(1688)湯島・霊雲寺の浄厳律師の高弟・祐淳大比丘が再興、伽藍を整えるとともに、阿弥陀如来を本尊として安養院と号した。さらに大正6年(1917)本堂と鐘楼を改築、麹町にあった旧松平基則伯爵邸を移築して庫裏とした。緑豊かな境内に本堂・大師堂・多宝塔などの諸堂が並び、歴史と格式を感じさせる。

安養院大師堂

札所本尊の弁財天は、本堂左側の大師堂にて開帳されていた。

御朱印

安養院板橋七福神弁財天の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央の朱印は弁財天の尊像に「安養院」。右上の印は「板橋七福神」、左下は「安養院印」。

アクセス

□能満寺(寿老人)より徒歩約30分
□長命寺(福禄寿)より徒歩約8分
□西光寺(布袋尊)より徒歩約17分

□東武東上線「上板橋駅」より徒歩約15分
□東武東上線「ときわ台駅」より徒歩約15分

長命寺(福禄寿)

長命寺福禄寿

■東光山 医王院 長命寺
御本尊:薬師如来
札所本尊:福禄寿
創建年代:江戸時代前期
開山:長栄
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都板橋区東山町48-5 [Mapion|googlemap]

略縁起

長命寺本堂

長命寺は、豊島八十八ヶ所の第50番。川越街道と環七通りの交差点に面した交通量の多い場所にあるが、一段高くなった場所にあるためか、境内に入るとそれほど騒がしい感じがしない。

創建などについては詳らかでないが、開山の長栄が寛文10年(1670)の入寂で、寺に伝わる過去帳が承元元年(1652)から書き始められていることから、江戸時代の前期には創建されていただろうという。明治の神仏分離以前は東新町氷川神社や常盤台天祖神社の別当を務めていた。

宝永8年(1711)と正徳5年(1715)の地蔵菩薩像に「長福寺」と刻まれていることから、当時は長福寺と称していた可能性があるという。享保の頃(1716~36)9代将軍・徳川家重の幼名(長福丸)をはばかり、各地の長福寺が改称しているので、この頃に当寺も長命寺と改めた(復称か?)のであろう。

札所本尊の福禄寿は本堂正面で開帳されていた。

御朱印

長命寺板橋七福神福禄寿の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央の朱印は福禄寿の尊像に「福寿 福禄寿」「板橋 東光山長命寺」。右上の印は「板橋七福神」、左下は「宗教法人長命寺之印」。

アクセス

□安養寺(弁財天)より徒歩約8分
□西光寺(布袋尊)より徒歩約15分
□文殊院(毘沙門天)より約25分

□東武東上線「ときわ台駅」より徒歩約7分

西光寺(布袋尊)

西光寺布袋尊

■宝樹山 盛徳院 西光寺
御本尊:聖観世音菩薩
札所本尊:布袋尊
創建年代:不詳(江戸時代初期?)
開山:大阿闍梨権大僧都法印覚印
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都板橋区大谷口2-8-7 [Mapion|googlemap]

略縁起

西光寺本堂

西光寺は豊島八十八ヶ所の第80番札所で、宝樹山盛徳院と号す。江戸時代には大谷口氷川神社の別当を務めていた。

寺伝によれば、古くから当地にあった観音堂に大野清右衛門という者が田畑を寄進、堂宇を建立して一寺としたことに始まるという。開山は、西光寺所蔵の文書では大阿闍梨権大僧都法印覚印、『新編武蔵風土記稿』では宥音とする。ただ、覚印は慶安4年(1651)寂、宥音は承応3年(1654)寂と伝えられるので、徳川家光の時代に開創されたであろうと考えられている。

境内には昔話で知られる「代かき地蔵」がある。昔、ある百姓が、田植えの季節を目の前にしながら代かきを終えることができずに頭を抱えていた。通りかかった若い僧侶に相談すると、翌朝にはきれいに代かきが終わっていた。驚いた百姓が泥のついた足跡をたどっていくと村の地蔵堂まで続いており、中のお地蔵様の足が泥で汚れていたという。この地蔵は、区の有形民俗文化財に指定されている。

札所本尊の布袋尊は本堂で開帳されていた。

御朱印

西光寺板橋七福神布袋尊の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央の朱印は布袋尊の尊像に「開運 布袋尊」「板橋 宝樹山西光寺」。右上の印は「開運招福」、左下は「板橋区 大谷口町 西光寺」。

アクセス

□長命寺(福禄寿)より徒歩約15分
□能満寺(寿老人)より徒歩約20分
□西光院(大黒天)より徒歩約20分

□東京メトロ有楽町線・副都心線「千川駅」より徒歩約12分
□東武東上線「大山駅」より徒歩約17分

西光院(大黒天)

西光院大黒天

■医王山 薬円寺 西光院
御本尊:阿弥陀如来
札所本尊:大黒天
創建年代:元和2年(1616)以前
開山:覚慧
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都板橋区南町31-1 [Mapion|googlemap]

略縁起

西光院本堂

西光院は、豊島八十八ヶ所の第82番。彫金こと田中金太郎氏から七福神の尊像が奉納され、各寺院に一体ずつ寄贈して七福神巡りを始めた、板橋七福神の発祥ともいうべきお寺である。

創建についてはほとんどわかっておらず、『新編武蔵風土記稿』には「開山は覚慧とのみ言い伝う」とある。ただ、本寺である根生院の過去帳に「法師是空元和二丙辰二月寂」と記されていることから、元和2年(1616)以前には開創されていたであろうと考えられている。

境内の薬師堂は、正徳年間(1711~16)松平尚庸が妻の眼病平癒を祈願して建立したと伝えられ、秘仏の薬師如来や日光・月光菩薩、十二神将などを祀る。山号の医王山、寺号の薬円寺はこの薬師如来に因むのではないかと思われる。

札所本尊の大黒天は本堂で開帳されていた。

御朱印

西光院板橋七福神大黒天の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央の朱印は大黒天の尊像と「招壽 大黒天」「板橋 醫王山西光院」、右の印は「板橋七福神」、左下は「醫王山 西光山」。

アクセス

□西光寺(布袋尊)より徒歩約20分
□能満寺(寿老人)より徒歩約30分
□観明寺(恵比寿神)より徒歩約24分

□東武東上線「大山駅」より徒歩約12分
□東京メトロ有楽町線・副都心線「要町駅」より徒歩約13分

観明寺(恵比寿神)

観明寺恵比寿神

■如意山 観明寺
御本尊:聖観世音菩薩
札所本尊:恵比寿神
創建年代:暦応元年(1338)
開山:不詳/中興開山:慶浄
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都板橋区板橋3-25-1 [Mapion|googlemap]

略縁起

観明寺本堂

観明寺は板橋宿の南の端にある豊島八十八ヶ所の第八十八番札所。開創は南北朝時代の暦応元年(1338)と伝えられるが、よくわかっていない。延宝5年(1677)に入寂した慶浄を中興開山とする。江戸時代には板橋宿の寺として信仰を集めたという。

「出世不動」として知られる脇本尊の不動明王は、明治6年(1873)板橋宿の繁栄を願い、成田山新勝寺から勧請したもの。当時、毎月1・7・15・28日に行われる縁日は城北一盛んな縁日といわれるほどの賑わいだったそうだ。商店街の名称となっている不動通りもこのお不動様に因む。

参道入口の庚申塔は寛文元年(1661)の建立で、青面金剛が彫られた庚申塔としては都内最古で、板橋区の有形文化財に指定されている。境内の赤門や稲荷社は、加賀藩下屋敷から遷されたもの。豊島霊場の結願所に相応しい古刹である。

観明寺大黒天

札所本尊の恵比寿神は庫裏で開帳されていた。また、歴史を感じさせる大黒天の尊像も祀られていた。

御朱印

観明寺板橋七福神恵比寿神の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央上の朱印は「福神」、下は恵比寿神の尊像に「招福 恵比寿」「板橋 如意山観明寺」。左下の印は「板橋観明寺印」。

アクセス

□西光院(大黒天)より徒歩約24分
□文殊院(毘沙門天)より徒歩約10分

□都営三田線「板橋区役所前駅」より徒歩約4分

文殊院(毘沙門天)

文殊院毘沙門天

■幡場山 大聖寺 文殊院
御本尊:文殊菩薩
札所本尊:毘沙門天
創建年代:寛永2年(1625)以前
開山:権大僧都慶恵
宗派:真言宗豊山派
所在地:東京都板橋区中宿28-5 [Mapion|googlemap]

略縁起

文殊院本堂

文殊院は、旧中山道板橋宿の中ほどにある。江戸時代の初め、板橋宿の本陣を務めた飯田家の菩提寺として、元から信仰を集めていた延命地蔵の境内を広げる形で開創された。開山の慶恵は寛永2年(1625)寂と伝えられるので、それ以前のことであろうという。

天保6年(1835)に火災で全焼、安政年間(1854~60)以降は正住職を置かない時期が続いた。赴任した仮住職も多くが短期間で大寺院に転任したことから「出世寺」と呼ばれたという。大正時代以降に順次復興し、現在の姿になった。境内には延命地蔵や閻魔堂、足腰の守り神とされる子大権現などがある。

文殊院閻魔堂

札所本尊の毘沙門天は、山門脇の閻魔堂内で開帳されていた。

御朱印

文殊院板橋七福神毘沙門天の御朱印

平成24年拝受の御朱印。中央の朱印は毘沙門天の尊像に「招福 毘沙門天」「板橋 幡場山文殊院」。右上の印は「板橋七福神 毘沙門天」、左上は「幡場山」、左下は「文殊院印」。

アクセス

□観明寺(恵比寿神)より徒歩約10分
□文殊院(毘沙門天)より徒歩約25分

□都営三田線「板橋区役所前駅」より徒歩約6分


※掲載の情報は最新のものとは限りません。ご自身で確認をお願いします。

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