新町御嶽神社は、元和2年(1616)武蔵野台地で最初期に成立した新田集落である青梅新町村が開かれた際、開拓を主導した吉野織部之助が大和国金峯山大権現を勧請し、村の鎮守として奉斎したことに始まる。境内には明治19年(1886)勧請の鹽竈神社、昭和61年(1986)勧請の新町天神社などがあり、広く信仰を集めている。
正式名称 | 御嶽神社〔みたけじんじゃ〕 |
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通称 | 新町御嶽神社〔しんまちみたけじんじゃ〕 |
御祭神 | 広國押武金日命 日本武尊 〈合祀〉木花咲耶姫命 |
社格等 | 旧村社 |
鎮座地 | 東京都青梅市新町2丁目28-26 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 小作(JR青梅線) バス停:新町天神社 |
御朱印
(1)
(2)
(1)平成19年拝受の御朱印。朱印は「御嶽神社」。
(2)平成30年拝受の御朱印。朱印は平成19年のものと同じ「御嶽神社」。
境内社の御朱印
(3)
(1)平成30年に拝受した境内社・鹽竈神社の御朱印。朱印は「鹽竈神社之印」。
御由緒
御祭神
■広國押広武金日命(安閑天皇)
■日本武尊
江戸時代以前は蔵王権現社と称し、蔵王権現を御祭神とした。
『和漢三才図会』に、安閑天皇崩御から4年後の安閑天皇4年(538)蔵王権現が金峯山に現れて「吾は廣國押武金日丸なり」と告げたので、蔵王権現が安閑天皇であることが知られたという伝承が記されている。このため、蔵王権現は安閑天皇と同一視されるようになり、明治維新以降、蔵王権現を祀る神社では御祭神を広國押広武金日命(安閑天皇)としたところが多い。
また、日本武尊も蔵王権現と習合し、同一視されていた。
■木花咲耶姫命
大正2年(1913)に合祀された富士大神社の御祭神。
御由緒(歴史)
新町御嶽神社は青梅新町村の鎮守で、明治の神仏分離以前は蔵王権現社、御嶽大権現などと称していた。青梅新町村は江戸時代初頭に成立した武蔵野台地では最初期の新田集落である。
青梅新町村の開拓を主導した吉野織部之助正清は、元は武蔵国忍城の城主・成田氏に仕える武士であった。しかし天正18年(1590)豊臣秀吉の小田原征伐で成田氏が没落したため、多摩郡下師岡村(現在の青梅市師岡町・東青梅あたり)に移り住んで帰農し、名主として手腕を発揮した。
慶長16年(1611)織部之助は幕府代官に武蔵野の新田開発を願い出、許可を得て新町村の開拓に着手した。元和2年(1616)開拓が完成、この時、織部之助が大和国金峯山大権現を勧請し、村の鎮守として奉斎した。これが当社の創祀である。
元禄2年(1689)社殿を再建、明和7年(1770)に改修。幕府より朱印地3石を賜った。『新編武蔵風土記稿』には「当郡羽村の神職宮川左京の持なり」とあり、羽村の武蔵阿蘇神社の神主が兼務していたようである。
明治維新に際して御嶽神社と改称、明治6年(1873)村社に列格した。大正2年(1913)富士大神社を合祀した。昭和46年(1971)鉄筋コンクリート造の現社殿を造営。昭和61年(1986)には御鎮座370年を祈念して大鳥居その他を整備した。
境内社
鹽竈神社
御祭神は塩土老翁神と神功皇后で、安産・子授け・子育ての御神徳で広く信仰を集める。
明治8年(1875)新町村の吉野弥兵衛ら15名が村内及び近隣の村々に呼びかけ、鹽竈神社の講社を結集した。明治10年(1877)宮城県の国幣中社・鹽竈神社より御分霊を奉迎。同社宮司が出張し、御嶽神社において講社の結集入社式の神事が執り行われた。以来、毎年4月5日・6日に講社の神事が行われたという。
明治16年(1883)神奈川県に分社の設立を願い出た(三多摩の東京府移管は明治26年)。当時、信徒は村内から埼玉県にまで及び、その数2千5百人を超えていたという。明治17年(1884)再び出願したが、本社の承諾証が必要である旨の指導があったため、明治18年(1885)鹽竈神社より分社承諾証を受領して申請、明治19年(1886)分社設立が許可された。
昭和43年(1968)社殿を改修、さらに昭和61年(1986)御嶽神社鎮座370年の記念事業として更に大改修を施した。
新町天神社
御祭神は菅原道真公。昭和61年(1986)3月25日、御嶽神社鎮座370年記念事業の一環として、太宰府天満宮より御分霊を勧請・創建した。7月25日の例祭には青梅少年剣道選手権大会や七夕祭りが行われる。
新町水神社
御祭神は水波能売神と各井戸乃水神。昭和50年2月25日、多摩川の水波能売神を勧請、御嶽神社旧社殿に奉斎したことを創祀とする。同年3月1日、町内10ヶ所の井戸神を遷霊・合祀した。
また、榛名神社・三峯神社・古峯神社の三社を相殿に祀っている。
写真帖
メモ
東京都の史跡に指定されている青梅新町の大井戸の北に鎮座する。吉野織部之助は新町村の開拓に着手すると同時に井戸を掘ったと伝えられ(一説には江戸時代以前から井戸があり、開村の際に再整備したのであろうともいう)、このあたりが新田開発の中心であったことがわかる。
境内には御神木のしだれ桜や鹽竈桜をはじめ多くの桜があり、春先には美しい姿を見せるだろうと思われる。吉野織部之助の顕彰碑や「村社 みたけ神社 しほがま神社分社」と書かれた社号標など昔を偲ばせるものも多い。
新町御嶽神社の概要
名称 | 御嶽神社 |
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通称 | 新町御嶽神社 |
旧称 | 蔵王権現社 御嶽大権現 |
御祭神 | 広國押武金日命〔ひろくにおしたけかねひのみこと〕(安閑天皇) 日本武尊〔やまとたけるのみこと〕 〈合祀〉 木花咲耶姫命〔このはなさくやひめのみこと〕 |
鎮座地 | 東京都青梅市新町二丁目28番26号 |
創建年代 | 元和2年(1616)9月26日 |
社格等 | 旧村社 |
例祭 | 5月5日 |
神事・行事 | 1月1日/元旦祭 1月25日/初天神 2月節分/節分祭 2月下旬/祈年祭 6月1日/門除(かどふさぎ) 7月25日/新町天神社例大祭 9月29日/水神社例大祭・開村記念式 10月5日/鹽竈神社例大祭 11月不定期/新嘗祭 12月25日/終い天神 12月31日/大祓式 ※『平成「祭」データ』による |
交通アクセス
□JR青梅線「小作駅」より徒歩20分
□JR青梅線「青梅駅」よりバス
■都営バス花小金井駅北口行き「新町天神社」下車徒歩4分
更新履歴
2008.05.25.公開
2018.06.12.改訂:WPに移行、御朱印追加。