御陵印は歴代天皇陵の参拝記念の印である。御朱印ほど一般には知られていない御陵印だが、平成から令和への御代替わりなどもあり、関心が高まるのではないかと思われる。
本来は各御陵を参拝していただくべきものであろうが、現在は5ヶ所の陵墓監区事務所で保管されているため、比較的簡単にいただくことができる。ただし、御朱印と違って自分で押印するため、事前の準備も必要となる。
御陵印のいただき方について紹介しよう。
御陵印がいただける場所と時間
もともと御陵印は各御陵もしくは御陵を管理する部事務所で管理しており、御陵印をいただくためには1都2府5県にある御陵に行かなければならなかった。しかし現在は陵墓監区事務所(多摩・桃山・月輪・畝傍・古市)の管理となっているため、5ヶ所の事務所ですべての御陵印をいただくことができる。
いただける場所…陵墓監区事務所
1.多摩陵墓監区事務所
所在地:東京都八王子市長房町1833〔Mapion|googlemap〕
最寄駅:高尾駅(JR中央線・京王電鉄高尾線)
※大正天皇陵・昭和天皇陵のある武蔵陵墓地(多摩御陵)に入ったところにある。
管理している御陵印:2印
2.桃山陵墓監区事務所
所在地:京都市伏見区桃山町古城山〔Mapion|googlemap〕
最寄駅:桃山駅(JR奈良線)・桃山御陵前駅(近鉄京都線)・伏見桃山駅(京阪本線)桃山南口駅(京阪宇治線)
※明治天皇伏見桃山陵の拝所のそばにある。
管理している御陵印:26印及び神代三陵の3印、計29印
3.月輪陵墓監区事務所
所在地:京都市東山区泉涌寺山内町34-2〔Mapion|googlemap〕
最寄駅:東福寺駅(JR奈良線・京阪本線)
※泉涌寺の惣門を入り、観音寺陵・後月輪東山陵参道の手前の道を今熊野観音寺方向に入ると、すぐ右奥に見える。
管理している御陵印:18印
4.畝傍陵墓監区事務所
所在地:奈良県橿原市大久保町71-1〔Mapion|googlemap〕
最寄駅:畝傍御陵前駅(近鉄橿原線)
※神武天皇畝傍山東北陵の拝所のそばにある。
管理している御陵印:30印
5.古市陵墓監区事務所
所在地:大阪府羽曳野市誉田6-11-3〔Mapion|googlemap〕
最寄駅:土師ノ里駅・道明寺駅・古市駅(近鉄南大阪線)
※応神天皇惠我藻伏崗陵の参道西側にある。
管理している御陵印:17印
いただける時間
各陵墓監区事務所は御陵の敷地内にあるため、いただける時間は各御陵の参拝時間に準じると思われる。
各御陵の参拝時間については以下の通り。
1.多摩:午前9時~午後4時(参入は午後3時30分まで)
2.桃山・月輪・畝傍・古市:午前8時30分~午後5時
多摩以外の4ヶ所は御陵印の数が多いため、押印にかなりの時間がかかる。先にいただいている人がいる場合、かなり待つことになる可能性があるため、時間には余裕を持っておいたほうがよいだろう。
準備するもの
御陵印は自分で押印するので、必ず準備するべきものと、準備しておいたほうが便利なものがある。なお、押印は無料なので、金銭を準備する必要はない。
必ず準備するべきもの
1.集印帳
特に制限はされていないが、御朱印に準じるものとして集印帳などを準備すべきだろう。白紙のノートでもダメとは言えないが、用紙が薄いので裏写りするのではないかと思われる。御陵印専用の集印帳も販売されているが、一般の御朱印帳でも問題ない。
2.当て紙
準備されているのが練り朱肉ですぐには乾かず、しかも一度に多くの印を押すことになるため、当て紙は多めに準備しておくことをお勧めする。コピー用紙または安い半紙を集印帳のサイズに切断すればよい。
3.ティッシュペーパー
多摩陵墓監区事務所以外は印の数が多く、朱肉も本格的な練り朱肉なので、気をつけていても手に朱肉がつく。陵墓監区事務所でもティッシュペーパーを準備してくださっているが、マナーとして自分で準備しておいたほうがよいだろう。
準備しておいたほうが便利なもの
私自身が拝受したときには準備しておらず、なくても拝受に支障はないが、あったほうが便利ではないかと思うもの。
1.ウェットティッシュ
手についた朱肉は落ちにくいので、普通のティッシュよりウェットティッシュを持参したほうがよいかもしれない。
2.掃除用のブラシ
多摩陵墓監区事務所以外の事務所では練り朱肉を使っているため、印面に朱肉や埃がつまっていることがあり、印影がぼやけてしまう。きれいに押印したければ、押印前に印鑑用のブラシ(あるいは毛先の柔らかい歯ブラシなど)や柔らかい布で掃除したほうがいいだろう。ただし爪楊枝など固いものは印面を傷め、欠けの原因にもなるので絶対に避けること。
※R4.5.17.追記…上記はネット上の情報を参考にして書いたのだが、実際に歯ブラシを使ってみると固まった印肉にはあまり役に立たなかった。一方、爪楊枝は乱暴な使い方をせず、固まった印肉を取り除くことだけに使えば印面を痛める心配はそれほどないと思われる。扱いに慎重は要するが、爪楊枝とブラシを併用するのが効率的であろう。
3.捺印マット
一応、陵墓監区事務所でも準備されているが、汚れなどが気になる場合は自分で準備しておくのがよいだろう。
4.朱肉
朱肉は陵墓監区事務所で準備されているが、必ずしも状態がいいとは限らない。確実にきれいに押印したいのであれば、自前の朱肉を準備するのも一つの方法であろう。
御陵印のいただき方
まず御陵に参拝する。
御陵印は歴代天皇陵の参拝記念印であり、本来は全国各地の御陵に参拝していただくものである。現在は5つの陵墓監区事務所で保管されており、各御陵を参拝しなくてもいただくことができる。しかし、各事務所は御陵の敷地内にあるので、本来の趣旨を考えれば、まず事務所のある御陵に参拝してから拝受すべきである。
次に陵墓監区事務所を訪ね、窓口で御陵印を拝借したい旨伝える。
多摩陵墓監区事務所の場合、窓口で御陵印と朱肉を貸してくれるので、その場で押印する。それ以外の陵墓監区事務所では、事務所の一角に机が準備されており、係の人が御陵印と朱肉を持ってきてくれる。
多摩はスポンジ式の朱肉だが、他は練り朱肉など3種準備されている。御陵印は木箱などに収められており、それを自分で押していく。押印が終わると係の人に声をかけ、御陵印を返却する。
準備するもので述べた通り、御陵印には朱肉や誇りが付着していることがあるので、きれいに押印したければ印鑑用のブラシなどで掃除してから押したほうがいいだろう。ただし、その分時間も余分にかかることに注意。
畝傍や桃山は印の数が多く、特に集印帳の両面を使う場合は大変なので、可能ならば2,3回に分けて押印するのがよいかもしれない。