御朱印とは、神社やお寺を参拝した証として集印帖(朱印帳)などに朱印(宝印)を押していただいたものです。
一般的には朱印(宝印)と揮毫を組み合わせた形式が多いのですが、朱印のみ、あるいはまれに揮毫のみということもあります。揮毫する代わりにスタンプを用いることもあります。また、朱印ではなく黒印やその他の色の印を押すこともありますが、これらも含めて御朱印と総称します。
古くは神社やお寺に納経(写経を奉納すること)した証としていただいたことから「納経」と呼ばれていました。
「江戸時代には全国六十余州の代表的な寺社に一部の経典を納め、その受取をもらう風が盛んとなった。後に経典の携帯の不便から金銭を奉納してこれにかえ、納経帳に仏号・日月・寺号を記入し、三宝印・寺印を受ける風習が起こった。集印帖はこれが変形したもので、やはり納経と称する」
上記の内容は一部問題もあるのですが、ともかく納経帳が集印帖(朱印帳)になったこと、古くは御朱印そのものも納経と呼んでいたことがわかります。
「御朱印」という呼び方が定着したのは昭和初期からのようですが、現在でも四国八十八ヶ所などでは御朱印をいただくこと、あるいはいただいた御朱印そのものを「納経」と呼んでいます。
近年は御朱印が広く注目され、静かなブームとなっています。以前は「御朱印」というと「何それ?」という反応が多かったのですが、最近ではテレビや新聞、雑誌などのメディアに取り上げられる機会も増えています。
メディアによって作られた「御朱印ガール」という言葉が一人歩きしていますが、実際には老若男女を問わずさまざまな人が御朱印をいただいており、最近は外国の方にも広がっています。
また、授与される御朱印もカラフルなものや手書きの絵を入れたものなど、さまざまな工夫を凝らしたものが登場しています。それがまた御朱印の新しいファンを増やしているようです。
ただし、御朱印はあくまで参拝の証しであり、単なる観光記念のスタンプやアート作品ではありません。あまり仰々しく構える必要はありませんが、御朱印をいただくこと自体が一つの宗教行為ですから、いただく際には必ず参拝するなど最低限のマナーは守りたいものです。