御朱印をいただく際、必ず必要になるのが御朱印帳です。
昨今では各地の神社仏閣が次々にセンスのよいデザインの御朱印帳を頒布するようになり、御朱印帳自体がコレクションの対象になっています。
御朱印帳の形式や歴史、購入方法など、御朱印帳に関する基本的な情報をまとめました。
御朱印帳の形式
御朱印帳は大きく分けて折り本式のものと綴じ本式のものがあります。通常の御朱印拝受では折り本式の御朱印帳を使うのが一般的ですが、四国八十八ヶ所や西国三十三カ所など霊場巡拝の納経帳は綴じ本式が主流です。
折り本式の御朱印帳(集印帖)は、経本などでよく見る折り本形式(蛇腹式)です。
ただし、通常の折り本が長い紙を継いでいくのに対し、折り本式の御朱印帳は二つ折りの紙を裏表で交互に貼り合わせる折帖二枚重ねという形式です。
これは、ページの途中に継ぎ目が来ないように工夫された御朱印帳独自の形式です。
綴じ本式の御朱印帳(納経帳)は、二つ折りの和紙を糸で綴じる「袋綴じ」形式が一般的で、金襴錦を表紙に使った豪華なものもあります。
御府内八十八ヶ所や関東三十六不動など、一部の霊場では差し替え式(バインダー式)の御朱印帳(納経帳)が用意されています。
小規模な回向寺院(菩提寺)が多いため、ご住職が不在の場合でも、事前に記帳押印された用紙と交換する形で拝受できるよう工夫されています。
御朱印帳の歴史
江戸時代から明治・大正にかけては、和紙を紙縒りなどで綴じた納経帳(順拝帳)を自作するのが一般的でした。ただし、明治になると、市販されたものらしい和綴じの帳面を使っている例も見られます。
現在のような折り本式の御朱印帳(集印帖)が登場するのは大正の半ばで、江戸時代から使われていた画帖(スケッチブック)を転用したものと考えられます。
登場した当初は画帖と同じく長い紙を継いだ一重のもの(折帖一枚)でしたが、まもなく現在のような折帖二枚重ねの集印帖が工夫され、急速に普及しました。
ほぼ同時期に、四国や西国でも市販の納経帳が登場しています。
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「集印帖」と「朱印帳」
大正から戦前の頃は「集印帖」または「蒐印帖」という呼び方が一般的で、寺社の御朱印に限らず、スタンプ全般の収集に用いられていました。
集印帖を朱印帳と呼ぶようになったのは戦後のことと思われます。「帖」が当用漢字から外れたために「帳」で代用されたこと、スタンプブームが下火になり寺社の御朱印だけが継続したこと、寺社のオリジナルの朱印帳が登場したことなどの理由が考えられます。
御朱印帳の購入方法
御朱印帳は神社やお寺、文具店・仏具店・紙専門店などの実店舗、インターネットでの通販などで購入するのが一般的ですが、中には自作する形もいるようです。
神社やお寺で購入する
もっとも一般的なのは、神社や寺院での購入でしょう。以前は東京都内でも御朱印帳を置いているのは数ヶ所しかありませんでしたが、現在では数十ヶ所で頒布しています。ただし、オリジナルではなく汎用品を置いている場合もあります。
オリジナルの御朱印帳はそれ自体が参拝の記念になります。以前は寺社のオリジナル御朱印帳といえば、汎用の集印帖に寺社名を箔押ししたものや、社殿や門など境内の風景を描いた比較的地味なものが主流でしたが、最近は若い女性にも喜ばれるようなセンスのよいデザインが多くなりました。
デメリットとしては、必ずしも紙質にこだわっているためではないため、集印帖そのものとして見た場合には当たり外れがあるという点でしょう。
また、サイズがまちまちなので、保管の際にちょっと困るかもしれません。
御朱印帳を頒布している神社やお寺については、状況が刻々と変わっているため、ネットで検索して確認するのがもっとも確実です。
文具店・仏具店・紙専門店
まだ、それほどオリジナルの御朱印帳が多くなかった頃、都内の寺社については浅草の念珠堂さんで購入した汎用品の御朱印帳を使っていました。当時は大きな紙専門店や文具店、巡礼用品の関係から仏具店などにしか置いてなかったように思います。
最近は御朱印ブームのおかげで御朱印帳を置く店舗も増え、専門店ができるほどになっています。デザインも豊富になりました。
紙質にこだわったり、サイズを揃えたりしたいのであれば、こういった店舗に足を運び、きちんと現物を確認して購入するのがよいと思います。
インターネットでの通販
もっとも手軽な方法です。さまざまなデザインや材質の御朱印帳が扱われ、アマゾンや楽天でも購入することができます。近くに御朱印帳を置いている寺社や店舗がない場合は特に便利です。
難点は実物を手にとって確認できないことです。
御朱印帳の処分方法
御朱印帳の処分の仕方は特に決まっていませんが、神仏に関わるものですからきちんと敬意をもって扱いたいものです。
四国八十八ヶ所や西国三十三所などの納経帳は、亡くなったときに副葬品として棺に納めるとよいとされます。一般の御朱印帳も同じようにしてよいでしょう。その際、神社の御朱印が含まれていても問題はありません。
ただ、これは火葬を前提としていますし、江戸時代や明治時代の納経帳が大量に残っていることからも、それほど古い習慣ではないのではないかと考えられます。火葬が主流になった昭和以降ではないでしょうか。
ですから、一緒に荼毘に付さなければならないと決まっているわけではなく、記念として保管していても問題はありません。
また、理由があって御朱印帳を処分しなければならないという場合、お守りなどと同様に神社やお寺でお焚き上げしていただくのがよいでしょう。引き取っていただく場合には、きちんと初穂料やお布施を納めましょう。