明治38年(1905)に四国八十八ヶ所を巡った納経帳。巡ったのは女性で、住所の村の名前も書いてあるのだが、どこの村かはわからない。1番霊山寺から回っているが、12番を除く阿波の札所は印が二つあるので、88番まで巡った後、継続して阿波国内をもう一度巡拝したとも考えられる。とすると、徳島県南部か高知県東部、もしくは近畿地方の人の可能性が高いのではないかと思われる。表の表紙にタイトルはない。
時期的には日露戦争の最中と思われる。すでに幕末から明治維新の混乱は過ぎ去り、四国霊場においてもほぼ現在の札所で定着している時期である。現在と違うのは、井戸寺がまだ旧称の妙照寺であること、30番善楽寺が再興しておらず、安楽寺が札所であること、横峰寺の名称が大峰寺であることぐらいであろう。
この納経帳を見ると、八十八ヶ所のほぼすべてを巡拝しているが、60番のみ本札所の大峰寺(現・横峰寺)ではなく前札所の清楽寺と前札旧跡の大儀寺(現・妙雲寺)に参拝している。番外札所としては、篠山神社と歓喜光寺、十夜ヶ橋永徳寺、65番奥之院仙龍寺に詣っている。
また、すでに剥がれている頁も多いのだが、各頁に本尊の御影を貼っている(ただし、納経そのものが見えなくなるため、画像では御影を捲り上げている)。現在と同じ図柄も多く、興味深い。
【1】明治38年(1905)四国八十八ヶ所の納経帳(阿波)
【2】明治38年(1905)四国八十八ヶ所の納経帳(土佐)
【3】明治38年(1905)四国八十八ヶ所の納経帳(伊予)
【4】明治38年(1905)四国八十八ヶ所の納経帳(讃岐)
明治三十八年・四国八十八ヶ所納経帳の納経一覧
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1.霊山寺(右)・極楽寺(左)
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2.金泉寺(右)・大日寺(左)
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3.地蔵寺(右)・安楽寺(左)
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4.十楽寺(右)・熊谷寺(左)
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5.法輪寺(右)・切幡寺(左)
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6.藤井寺(右)・焼山寺(左)
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7.大日寺(左)・常楽寺(左)
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8.国分寺(右)・観音寺(左)
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9.妙照寺(右)・恩山寺(左)
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10.立江寺(右)・鶴林寺(左)
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11.太龍寺(右)・平等寺(左)
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12.薬王寺(右)・最御崎寺(左)
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13.津照寺(右)・金剛頂寺(左)
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14.神峯寺(右)・大日寺(左)
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15.国分寺(右)・安楽寺(左)
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16.竹林寺(右)・禅師峰寺(左)
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17.雪蹊寺(右)・種間寺(左)
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18.清瀧寺(右)・青龍寺(左)
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19.岩本寺(右)・金剛福寺(左)
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20.延光寺(右)・観自在寺(左)
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21.歓喜光寺(右)・篠山神社(右)
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22.龍光寺(右)・仏木寺(左)
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23.明石寺(右)・十夜ヶ橋(左)
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24.大宝寺(右)・岩屋寺(左)
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25.浄瑠璃寺(右)・八坂寺(左)
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26.西林寺(右)・浄土寺(左)
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27.繁多寺(右)・石手寺(左)
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28.太山寺(右)・円明寺(左)
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29.延命寺(右)・南光坊(左)
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30.泰山寺(右)・栄福寺(左)
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31.仙遊寺(右)・国分寺(左)
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32.大儀式寺(右)・清楽寺(左)
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33.香園寺(右)・宝寿寺(左)
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34.吉祥寺(右)・前神寺(左)の納経
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35.三角寺(右)・仙龍寺(左)
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36.雲辺寺(右)・大興寺(左)
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37.神恵院(右)・観音寺(左)
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38.本山寺(右)・弥谷寺(左)
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39.曼荼羅寺(右)・出釈迦寺(左)
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40.甲山寺(右)・善通寺(左)
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41. 金倉寺(右)・道隆寺(左)
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42.郷照寺(右)・高照院(左)
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43.国分寺(右)・白峯寺(左)
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44.根香寺(右)・一宮寺(左)
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45.高野山出張所(右)・屋島寺(左)
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46.八栗寺(右)・志度寺(左)
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47.長尾寺(右)・大窪寺(左)