拝島の日吉神社は、創建年代は不詳だが、大日堂の伽藍鎮守として近江国の日吉大社から勧請されたことにはじまる。江戸時代までは山王社と称したが、明治2年(1869)日吉神社と改称した。当社の境内は大日堂とともに神仏習合時代の天台寺院の様相をよく残すことから、東京都の史跡に指定されている。
正式名称 | 日吉神社〔ひよしじんじゃ〕 |
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御祭神 | 大山咋命 羽山戸命 香山戸命 |
社格等 | 旧村社 |
鎮座地 | 東京都昭島市拝島町1-10-19 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 昭島・拝島(JR青梅線) バス停:拝島大師前 |
公式サイト | http://hiyoshi-jinja.or.jp/ |
御由緒
昭島市拝島町に鎮座する日吉神社は、拝島村の鎮守で、古くは拝島山王社と称した。元は大日堂(拝島山密厳浄土寺)の伽藍鎮守で、近江国日吉大社より勧請された。
創建年代は不詳。大日堂が開創された天暦6年(952)とも、北条氏照の重臣・石川土佐守によって大日堂が再建され、大日八坊(普明院、拝島大師本覚院など)が建立された天正年間(1573~92)のことともいう。
寛保元年(1741)宗源宣旨により拝島山王大権現の称号を許される。これを記念して、氏子が毎月1文の積み立てを行い、明和4年(1767)まで26年かけて社殿を再建した。さらに神輿・祭具を新調・奉納し、9月19日、盛大に第一回目の神幸祭を執り行った。このことは、大日堂の別当であった普明寺に所蔵される『山王祭礼図絵』の奥書に記されている。
嘉永4年(1851)9月1日、社殿再建の工を起こし、翌嘉永5年(1852)9月9日竣工した。これが現在の本殿である。安政2年(1855)社殿(拝殿・神楽殿・幣殿)の修築と鳥居・神橋の再建完成の大法要が営まれた。
明治2年(1869)神仏分離により密厳浄土寺から独立、日吉神社と改称した。
平成4年(1992)大日堂と日吉神社の境内が、歴史的建造物を中心に旧態をよく留め、典型的な天台宗一規一画の寺域を構成する都内でも数少ない場所として、都の史跡に指定された。
平成17年(2005)社殿の修復工事に着手、平成20年(2008)に完成した。
9月に行われる例大祭は、明和4年の第一回神幸祭に倣って行われるが、その先頭を行く榊の神輿がいつの頃からか独立し、神幸祭当日の未明に渡御するようになった。これが榊祭で、都の無形民俗文化財に指定されている。
午前0時より、高さ約5mの榊神輿が若者に担がれ、約4時間かけて町内を巡行する。明け方近く、榊神輿が社前に戻ると、担ぎ手たちが榊を引き倒し、榊の枝を奪い合う。この榊の枝を取ると、1年間無病息災で過ごせるという。
御朱印
(1)平成19年拝受の御朱印。書き置きで文字は印刷。朱印は「日吉神社」。
(2)平成28年拝受の御朱印。中央の朱印は「日吉神社」、上に三つ巴の神紋。榊祭に因み、紙垂をつけた榊の枝を配す。
(3)平成30年拝受、桜の季節の限定御朱印。
写真帖
見どころ
■社殿
本殿は嘉永5年(1852)、拝殿は安政2年(1855)の竣工。本殿の彫刻と拝殿格天井花鳥画70面・板壁絵2面、幣殿杉戸絵4面が昭島市の文化財に指定されている。
本殿は全面に見事な極彩色の彫刻が施されている。壁面には九賢人、下部には獅子や水鳥、亀や魚など。彫師は拝島村の矢部建次郎良長、塗師は同じく拝島村の谷部重次郎。
拝殿格天井の花鳥図は、常習館林藩の絵師・坪山洞山が描いたものとされる。
メモ
8月も終わりに近づいた日の夕刻に参拝。隣の拝島大師で時間がかかったため、日吉神社に着くと宮司さんが帰宅しようとしているところだった。お願いして、御朱印を拝受。病気で手が不自由になったため、文字はパソコンで打ち出したものを使うことにしたそうである。社殿や祭礼のこと、他所の御朱印のことなど、しばらく雑談をする。参拝時は、ちょうど本殿(昭島市の文化財)が改修中だったので、工事の完了後にまた参拝するよう誘っていただいた。
追記:再度の参拝は平成28年。交通の便があまりよくないこともあり、結局、9年も経ってしまっていた。本殿の見事な彫刻をゆっくり拝観した。
日吉神社の概要
名称 | 日吉神社 |
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通称 | 拝島山王社 |
旧称 | 山王大権現 山王社 |
御祭神 | 大山咋命〔おおやまくいのみこと〕 羽山戸命〔はやまどのみこと〕 香山戸命〔かがやまどのみこと〕 |
鎮座地 | 東京都昭島市拝島町一丁目10番19号 |
創建年代 | 天暦年間(947~57)?/天正年間(1573~92)? |
社格等 | 旧村社 |
例祭 | 9月19日に近い土・日曜日 |
神事・行事 | 1月1日/元旦祭 2月3日/節分祭 5月5日/児童生育祈願祭 11月23日/新穀感謝祭 12月31日/除夜祭 ※『平成「祭」データ』による |
文化財 | 〈都史跡〉大日堂境域及び日吉神社境域 〈都無形民俗文化財〉文榊祭 |
交通アクセス
□JR青梅線「昭島駅」より徒歩約20分
□JR青梅線「拝島駅」より徒歩約25分、またはバス
■立川バス立川駅北口行き「拝島大師」下車徒歩2分
□JR中央線「立川駅」よりバス
■立川バス拝島営業所・拝島駅行き「拝島大師」下車徒歩2分