現代では考えられないことだが、明治の終わりから昭和の初めにかけて、絵はがきに御朱印を押している例が少なからずある。
従来、あまり注目されてこなかった御朱印の押された絵はがきを、手許の資料から紹介してみようと思う。
凡例
掲載基準
絵はがきに押された朱印には、御朱印として集印帖に押されている印もあるが、集印帖には見られない印もある。資料の少ない時期なので単にその印が押された集印帖が残っていない、あるいは折り本式集印帖が登場する以前に使われていた印ということもあるだろうが、明らかに御朱印としては使われていない印もある。
明らかな記念スタンプは除くとして、以下のものを「絵はがきに押された御朱印」として扱うことにする。
1.集印帖や納経帳に押された例があり、御朱印として用いられたことが明らかな印。社務所印や霊場の番号印等も含む。
2.集印帖や納経帳に押された例は見られないが、御朱印として用いられたと考えられる印。
3.集印帖には用いられず、絵はがき等の記念印と使われていた可能性が高いが、ゴム製のスタンプではなく印鑑だと思われる印。社号印・寺号印・社務所印なども含む。
4.ゴム製のスタンプである可能性は高いが、御朱印に添えて集印帖に押されている例がある印。
掲載順序
1.神社・寺院の区別なく都道府県順に掲載し、同一都道府県は通称の五十音順で掲載する。
2.同一寺社の絵はがきは、年代順に掲載する。
項目
1.寺社の名称…当時の正式名称。その後、改称した場合は括弧内に現在の名称。
2.所在地…絵はがきが発行されたと推測できる時点の所在地。その後、市区町村の合併や町名の変更があった場合は括弧内に現在の所在地。
3.創建年代…寺社の由緒・縁起を優先する。
4.社格…戦前の社格と列格・昇格年代。
5.宗派…絵はがきが発行されたと推測できる時点の宗派。現在と違う場合は括弧内に現在の宗派
6.発行時期…絵はがきが発行された時期。明治から昭和20年までの絵はがきは、宛名面の形式によって4期に分けることができる(詳細は後述)。これに従って「明治40年以前」「明治40年~大正7年」「大正7年~昭和8年」「昭和8年~20年」に分類し、消印その他で押印の時期が限定されるものについては、そのことを追記する。
7.絵はがき…絵はがきの写真・絵などの説明。基本的に絵はがきのキャプションをそのまま使うが、必要に応じて補足する。
8.朱印…印文。必要に応じて説明を補足する。
絵はがきの年代の見方
御朱印の押された絵はがきは郵便物として投函された例が少なく(投函されていれば、消印から正確な年代をほぼ決定することができる)、多くは正確な年代がわからない。ただ、絵はがきの形式からだいたいの年代は推定することができる。絵はがきの形式から年代を推定する方法については下記ページを参考にしている。
絵葉書の年代推定(探検コム)
1.~明治40年3月…宛名面に通信欄がなく、上に右から「郵便はかき」。
2.明治40年4月~大正7年3月…宛名面の下3分の1が通信欄で、上に右から「郵便はかき」。
3.大正7年3月~昭和8年2月…宛名面の下2分の1が通信欄で、上に右から「郵便はかき」。
4.昭和8年2月~終戦…宛名面の下2分の1が通信欄で、上に右から「郵便はがき」。
5.戦後…宛名面の下2分の1が通信欄で、上に左から「郵便はがき」。
ただし、絵はがきの発行年代は上記の通りであっても、実際の押印はさらに時代が下る可能性もある。
また、絵はがきの写真や御朱印からさらに年代を絞り込むことができる場合もある。