止め天神 北野神社 | 東京都大田区

止め天神北野神社

大田区仲六郷に鎮座する北野神社は、八代将軍徳川吉宗の落馬を止めたという伝承から「落馬止め天神」と呼ばれ、大名や武士から文武の拠り所にされたという。また、近郷の人は「落馬」を省いて「止め天神」と呼び、人の身に降りかかる一切の悪事を止めてくださる天神様として信仰を集めている。

正式名称 北野神社〔きたのじんじゃ〕
通称 止め天神 落馬止め天神 浮嶋天神
御祭神 菅原道真
社格等 旧無格社
鎮座地 東京都大田区仲六郷4-29-8 [Mapion|googlemap]
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目次

御朱印

止め天神北野神社の御朱印
(1)
止め天神北野神社の御朱印
(2)

(1)平成25年に拝受した御朱印(参拝記念スタンプ)。社殿と梅、「止め天神参拝記念」。

(2)令和6年に拝受した御朱印。朱印は「止め天神」。

※現在は本務社の六郷神社で拝受できる。

北野神社について

拝殿の扁額

御祭神

■菅原道真

御由緒

社殿

「止め天神」「落馬止め天神」の通称で知られる仲六郷の北野神社は多摩川の畔、六郷橋の北の袂近くに鎮座している。現在は多摩川の堤防の内側にあるが、明治の頃までは堤防の外側にあった。

この地はかつて八幡塚村字浮嶋と呼ばれた土地である。『新編武蔵風土記稿』によると、浮嶋は特別に高い土地ではなかったが、多摩川の洪水のとき、周囲の土地が水没してもこの土地に水があふれることはなかったため、浮嶋と呼ばれたという。

また、土地の人は当社を「浮嶋天神」とよび、洪水のときに当地に水があふれることがないのは、この天神があるからだと言っていると記されている。

天神社 除地二畝二十歩、字浮嶋にあり、本社九尺に二間、九尺に二間、土人浮嶋天神と呼ぶ、此地洪水のときも水の溢るゝことなきは天神あるゆへなりと云、勧請の年代詳ならず、村内宝珠院持。

『新編武蔵風土記稿』荏原郡 八幡塚村

創建に関しては詳らかでない。ただ、『大田区の文化財 第30集』には、戦国時代、現在の六郷神社付近に建てられた八幡塚行方氏居館の鬼門が六郷神社、裏鬼門が浮嶋の北野神社と考えられるとあるので、それ以前に遡るのではないかと思われる。

当社の別当は、六郷神社の別当である御幡山宝珠院(仲六郷4-34-8)が兼ねていた。

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伝承によれば、当社近くの東海道で八代将軍徳川吉宗の乗馬が暴走し、馬から落ちそうになった。しかし、当社の天神の加護により落馬を免れた。

将軍様の「落馬を止めた」天神様の評判は東海道を行き来する人によって遠くまで広がった。特に武士や大名は「落馬止め天神」と称し、文武の拠り所として崇敬したという。また、当社近くの東海道沿いに将軍指南役柳生家の留守居役馬別当の屋敷と馬屋があったが、これは当社の加護にあやかったものと伝えられている。

一方、近郷の人々は「落馬」を省いて「止め天神」と呼び、人の身に降りかかる苦難や悪事を止めてくださる天神様として、現代に至るまで信仰を集めている。また「落ちない」ことを祈願し、受験生から人気を集めているという。

明治になり、社号が「北野神社」と改められた。

昭和20年(1945)空襲で社殿が焼失。現在の社殿は昭和58年(1983)に再建されたものである。

出世祈願

木馬

「落馬止め天神」の由緒から、毎月25日の縁日に神前で等身大の木馬にまたがり、天神様のご加護にあやかる神事が行われている。江戸時代には出世祈願と称し、学業成就・就職等を祈願する若者に人気の神事であったという。

昭和58年(1983)現在の社殿が再建された際に復活したとのこと。

境内風景

鳥居

社頭風景、鳥居と社号標。左側は多摩川の堤防である。

社号標

社号標、「止め天神」とある。

参道

参道。

手水舎

手水舎。手水鉢には貞享元年(1684)の銘がある。八幡塚南町の人々によって奉納されたもののようである。

由緒碑

落馬止め天神の由来碑。

平癒塚・止め塚

境内には「平癒塚」「止め塚」「学成就塚」があり、祈願の絵馬が掛けられている。左は病苦を止める「平癒塚」、右の「止め塚」は諸々の苦難や災いを止めるということか。

学成就塚

学業成就を願う「学成就塚」、試験に「落ちないように」という意味もあるのだろう。令和6年の参拝時に写真を撮り忘れたので、これは平成25年の参拝時に撮った写真。

河原橋の踏み石

参道脇に置かれた「河原橋」の踏み石。当社の前から多摩川の六郷の渡しまでは、両側を葦藪に覆われた河原の中の道だった。その途中にあった踏み石が保存されている。

神楽殿

神楽殿。

狛犬。

力石

千年石(鶴さん)と万年石(亀さん)。祭礼のときに力自慢の氏子が担いだり抱えたりした力石であるが、村人が相談して右の石を千年石(鶴さん)、左の石を万年石(亀さん)と名付け、自分たちが一生達者で働けるよう、天神様の縁日には鶴亀の力石を撫でて御利益を願ったという。

社殿

社殿。瓦葺きで、拝殿と本殿が一体となっている。

拝殿の扁額

社殿に掲げられた扁額「落馬止め天神」。

メモ

社殿
(平成25年撮影)

多摩川の畔、六郷橋と京急電鉄の間に鎮座する。京急の六郷土手駅から歩いてすぐ。

初めての参拝は平成25年10月。ネットで毎月25日の縁日に御朱印がいただけるという情報を見かけて参拝した。当日は雨。ネットでの情報は「御朱印」ということだったが、実際には記念スタンプだった。

その後、御朱印の対応はしなくなったという話だったのだが、数年後に本務社の六郷神社でいただけるという情報が。それで令和6年の春に再度参拝した。

北野神社の概要

名称 北野神社
通称 止め天神 落馬止め天神
旧称 天神社 浮嶋天神社
御祭神 菅原道真〔すがわらのみちざね〕
鎮座地 東京都大田区仲六郷4丁目29番8号
創建年代 不詳
社格等 旧無格社
例祭 2日25月
神事・行事 2月上午の日/初午祭
毎月25日/縁日

交通アクセス

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