丹生官省符神社は、高野山領官省符荘の総鎮守で、弘仁7年(816)弘法大師によって創建された。大師は高野山の開創にあたり、麓に一山の庶務を司る高野政所を設けた。弥勒仏を祀る慈氏寺の壇(現在の慈尊院)と丹生明神・高野明神を祀る神通寺の壇(丹生官省符神社)からなり、合わせて万年山慈尊院と称した。
正式名称 | 丹生官省符神社〔にうかんしょうぶじんじゃ〕 |
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御祭神 | 〈第一殿〉丹生都比売大神 高野御子大神 天照大御大神 〈第二殿〉大食都比売大神 誉田別大神 天児屋根大神 〈第三殿〉市杵島比売大神 |
社格等 | 旧郷社 (世界遺産) |
鎮座地 | 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院835 [Mapion|googlemap] |
公式サイト | http://niujinja.sakura.ne.jp/ |
御朱印
平成16年拝受の御朱印。中央の朱印は「丹生官省符神社」。右の印は「高野町石道登山口」、左は「官省符」「紀州九度山町神楽尾山鎮座」。揮毫は「丹生神社」。
御由緒
丹生官省符神社は、九度山町の万年山慈尊院の境内から石段を上ったところに鎮座する。明治の神仏分離までは慈尊院と一体であった。高野山へ向かう町石道の出発点であり、石段の中ほどに最初の町石である百八十町石がある。
古くは丹生神社・丹生七社大明神などと呼ばれたが、高野山の官省符荘の総鎮守であったことから丹生官省符神社と称する。官省符荘とは太政官符と民部省符によって不輸の権(租を徴収されない権利)を得た荘園のことである。
弘仁7年(816)弘法大師空海は高野山を開創するに際し、その麓に一山の庶務を司る高野政所を開いた。弥勒仏を祀る慈氏寺の壇と丹生・高野明神(高野山の地主神である丹生都比売神社の御祭神)を祀る神通寺の壇からなり、合わせて万年山慈尊院と称した。この神通寺の壇に祀られていた丹生高野明神社が現在の丹生官省符神社である。当初は北の紀ノ川近くの宮の橋というところにあったという。
建久2年(1191)気比明神・厳島明神を勧請し、四所明神とする。ただし『紀伊続風土記』は文明年間(1469~87)一宮・二宮を遷座したとき、天野社(丹生都比売神社)に準じて新たに勧請したとしている。
天文9年(1540)紀ノ川の氾濫で伽藍・社殿の大半が流されてしまったため、翌天文10年(1541)現在地に移転・再建された。この時、古くから官省符荘の氏神として当地に祀られていた天照大神・八幡大神・春日大神を合祀。丹生七所大明神と称し、官省符荘の総鎮守とされた。なお、旧社地は天文13年(1544)の再度の洪水で完全に流され、紀ノ川の川床になってしまった。
明治初年、社号を丹生神社と改めた。江戸時代には、本殿5棟(一宮・二宮・三宮・四宮・三社宮)の他、十二王子、百二十番神、本地堂、舞台、鐘楼堂、神輿堂、大黒堂、御供所、大鳥居などが建ち並んでいたが、神仏分離により多くの建物が取り除かれた。
維新までは近郷35ヶ村の総鎮守であったが、明治6年(1873)河南の村社とされ、明治13年(1880)郷社に昇格した。明治43年(1910)九度山・入郷・慈尊院にあった諸社を合祀。昭和21年(1946)丹生官省符神社と改称する。
平成16年(2004)「紀伊半島の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。
写真帖
見どころ
■本殿
3棟のうち2棟が永正14年(1517)、1棟が天文10年(1541)の建造。昭和40年(1965)国の重要文化財に指定された。
■町石
慈尊院から高野山への参道は町石道と呼ばれ、壇上伽藍の根本大塔を起点として1町(約109m)ごとに町石(高さ約3mの石柱)が建てられている。約22kmに180基の町石が置かれているが、慈尊院から丹生官省符神社への石段の途中に最初の180町石がある。次の179町石は社殿右脇から外の道路に出たところ。町石道は「高野参詣道」として史跡に指定されており、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産にもなっている。
メモ
初めての参拝は平成13年。仕事の関係で高野山に向かったのだが、橋本に着いた時間が早かったので九度山で途中下車、慈尊院とともに参拝した。朝早い時間だった上、まだ本格的に御朱印拝受を始める前だったので、御朱印はいただかず。世界遺産に指定される前で、それほど注目されている感じではなかった。
御朱印をいただいたのは平成16年の2度目の参拝時。世界遺産に指定された年で、参詣者も増えているようだった。ただ、この時は団体での参拝だったので、あまり自由に行動できず、写真もあまり撮れなかったのが残念である。
丹生官省符神社の概要
名称 | 丹生官省符神社 |
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通称 | 九度山丹生神社 |
旧称 | 丹生高野明神社 丹生七社大明神 丹生神社 |
御祭神 | 〈第一殿〉 丹生都比売大神〔にうつひめのおおかみ〕(丹生明神) 高野御子大神〔たかのみこのおおかみ〕(高野明神) 〈第一殿・配祀〉 天照大御神〔あまてらすおおみかみ〕(天照大神) 〈第二殿・配祀〉 大食都比売大神〔おおげつひめのおおかみ〕(気比明神) 誉田別大神〔ほんだわけのおおかみ〕(八幡大神) 天児屋根大神〔あめのこやねのおおかみ〕(春日大神) 〈第三殿・配祀〉 市杵島比売大神〔いちきしまひめのおおかみ〕(厳島明神) 〈第三殿・合祀〉 宇迦魂大神 猿田彦大神 保食大神 金山彦大神 木花開耶姫大神 八王子大神 迦具土大神 飯炊大神 菅原道真 金刀比羅大神 蛭子大神 大黒天神 槙尾大神 子守大神 |
鎮座地 | 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院835番地 |
創建年代 | 大同年間(806~810) |
社格等 | 旧郷社 (世界遺産) |
例祭 | 10月第4日曜日(官省符祭) |
神事・行事 | 1月1日/元旦祭・新年祈願祭・新年初祈祷 2月3日/節分祭 2月17日/祈年祭 3月中日/春季霊祭 4月/十三詣 4月第2日曜日/花盛祭 6月30日/大祓式 7月31日/夏祭(火ともし) 9月中日/秋季霊祭 10月31日/旧例祭日 11月23日/新嘗祭 12月31日/大祓式 |
文化財 | 〈重要文化財〉本殿3棟(附:宮殿4基・棟札2面) 〈史跡〉高野山町石道に係る丹生官省符神社境内地 〈県有形文化財〉鼎(御湯釜) 獅子頭2面 |
巡拝 | 神仏霊場(11番) |
交通アクセス
□南海高野線「九度山駅」より徒歩約30分
□JR和歌山線「高野口駅」より徒歩40分、またはタクシー約10分