水主神社(大内)

水主神社

水主神社は式内の古社で、重要文化財の大般若経の経箱底書に宝亀年中(770~80)の創祀と記されている。水徳自在の神として古くから尊崇され、讃岐国では最も早い承和3年(836)に神階従五位下を奉授された。国衙関係者の参拝、社領の寄進もたびたびであったという。
香川県の神社

正式名称 水主神社〔みずし じんじゃ〕
御祭神 倭迹々日百襲姫命
社格等 式内社 旧県社
鎮座地 香川県東かがわ市水主1418 [Mapion|googlemap]
諸国神社御朱印集
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御朱印

  • 水主神社の御朱印

    (1)

(1)平成24年拝受の御朱印。中央の朱印は「水主神社」。右上は「さぬき十五社第二番」、左下は「水主神社社務所印」。

御由緒

水主神社は与田川のほとり、大内ダムにほど近い山裾に鎮座する。

創建年代については、重要文化財に指定されている大般若経の経箱底書に宝亀年中(770~80)の創祀という記録がある。

御祭神の倭迹々日百襲姫命は第7代孝霊天皇の皇女で、8歳の時に大和を出て讃岐国引田の安戸の浦に着き、水主の里に居を定め、与田に水を引き、この里の農業・文化の興隆を図ったという。

水徳自在の神として尊崇され、讃岐国ではもっとも早く承和3年(836)に神階従五位下を奉授される。以後、貞観8年(866)には従五位上、天慶3年(940)には藤原純友の乱の平定祈願により正五位下、さらに正一位まで進み大水主大明神と称された。延喜の制では小社に列する。国衙関係者の参拝・社領の寄進がたびたびあり、寿永年間(1182~84)には源義経が雷紋螺鈿鞍を奉納したと伝えられる。

社蔵の重要文化財・大般若経は平安末期に書写されたといい、至徳3年(1386)に経箱60箱が作られた。また、東かがわ市指定有形文化財の若王寺大般若経や京都北野社一切経(大報恩寺蔵)に残る奥書から、写経活動が盛んだったことがわかるという。

天正11年(1583)長宗我部の兵火により本殿を残して焼失。その後、領主となった生駒氏は当社を篤く崇敬し、大内郡の総鎮守として、社殿の造営は郡内全域の拠出によったという。しかし、その後高松藩主となった松平頼重は水主神社に対して白鳥神社を重んじ、社殿を修造して社領も御朱印地とした。そのため、多くの氏子が白鳥神社の氏子となり、かつては社家75員、僧坊42宇を誇った当社も次第に衰微したという。

明治初年、郷社に列格。明治35年(1902)県社に昇格した。

別当は、古くは虚空蔵院(與田寺)であったというが、室町時代には円光寺、江戸時代には大水寺が勤めたという。虚空蔵院の末寺で、もとは水徳山宝珠院神宮寺と称したが、寛文年間(1661~72)大水寺に改めたという。創建は不詳だが、応永年間(1394~1427)増吽僧正が再興したとされる。本尊は阿弥陀如来。

延暦9年(790)伝教大師が24歳の時、水主神社・大水寺に参籠したという。また、弘法大師の手掘りという閼伽井が境内南側の閼伽谷にあり、水神社が祀られている。

また、増吽僧正は弘法大師の再来といわれた名僧で、深く熊野三山を信仰し、熊野新宮再興の遷宮導師を勤めている。当社南東の虎丸山に新宮神社、西の本宮山に本宮神社、北の那智山に那智神社を勧請した。当社の脇宮に水主三山として祀られている。

写真帖

  • 鳥居

    鳥居

  • 神橋と随神神社

    神橋と随神神社

  • 天の磐船

    天の磐船

  • 閼伽井と水神社

    閼伽井と水神社

  • 拝殿

    拝殿

  • 水主三社

    脇宮・水主三社

  • 国玉神社

    脇宮・国玉神社

  • 本殿

    本殿

  • 孝霊天皇社

    裏宮・孝霊天皇社

メモ

雨の中での参拝。着いた頃は小降りだったのだが、写真を撮りながら本殿の前に進んだ頃には大雨となり、午後3時過ぎというのにすっかり暗くなったため、写真も思うように撮れなかった。
のどかな田園地帯の山裾に鎮座する。それほど大きな神社というわけではないのだが、見事な春日造りの本殿をはじめ、かつての社頭の繁栄ぶりを偲ばせる。
御祭神は倭迹々日百襲姫命、讃岐国一宮の田村神社の御祭神でもあるが、田村神社も水と深い関わりを持つ神社である。一般には三輪山・箸墓の伝説で知られる倭迹々日百襲姫命ではあるが、水に関わる信仰があったのだろうか。三輪山には聖水思想があったとはいうが…
弘法大師ゆかりの閼伽井が残っていることはもちろん、弘法大師の再来とされた増吽僧正との関わりからも、四国八十八ヶ所の番外札所に数えてよい由緒といえるではないだろうか。大水寺が残っていればと残念ではある。

水主神社の概要

名称 水主神社
旧称 大水主大明神 大内大明神 大水主社
御祭神 倭迹々日百襲姫命〔やまとととひももそひめのみこと〕
〈裏宮御父宮・孝霊天皇社〉
大倭根子彦太瓊命〔おおやまとねこひこふとにのみこと〕
〈脇宮・国玉神社〉
倭国香姫命〔やまとくにかひめのみこと〕
〈脇宮・水主三社〉
新宮神社 伊邪那美命〔いざなみのみこと〕
本宮神社 速玉男命〔はやたまおのみこと〕
那智神社 事解男命〔ことさかおのみこと〕
鎮座地 香川県東かがわ市水主1418番地
創建年代 宝亀年間(770~80)
社格等 式内社 旧県社
延喜式 讃岐國大内郡 水主神社
例祭 4月18日(春季例大祭・農具市)
10月9日・10日(秋季例大祭・御神幸祭)
神事・行事 1月1日/元旦祭(庭燎祭・おみかんやき)
7月17日/夏祭(夏越祭)
8月第1日曜日/虫送り
文化財 〈重文〉木造御神像3躯(倭迹々日百襲姫命坐像・倭国香姫命坐像・大倭根子彦太瓊命坐像) 木造男神坐像1躯 木造女神坐像4躯 木造狛犬1対 雷文螺鈿鞍 大般若経(附:経箱60箱・内底・経箱勧進記録等墨書)〈県有形文化財〉木造狛犬1対 木造獅子頭1口
巡拝 さぬき十五社第二番

交通アクセス

□JR高徳線「三本松駅」より車で10分程度(徒歩約1時間)

香川県の神社
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