梨木神社は、明治18年(1885)久邇宮朝彦親王の発議により、明治維新の実現に大きな功績のあった三条実萬を御祭神として創建された。大正4年(1915)大正天皇のご即位に際し、実萬の子で尊攘派の公家として活躍し、議定・副総裁・右大臣・太政大臣を歴任した三条実美を合祀した。
正式名称 | 梨木神社〔なしのきじんじゃ〕 |
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御祭神 | 三条実萬公 三条実美公 |
社格等 | 旧別格官幣社 (単立神社) |
鎮座地 | 京都市上京区染殿町680 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 神宮丸太町・出町柳(京阪電鉄) 丸太町・今出川(市営地下鉄) バス停:府立医大病院前 |
公式サイト | http://nashinoki.jp/ |
御朱印
(1)平成18年拝受の御朱印。中央の朱印は雲に「梨木神社」。右上は唐花菱の神紋(三条家の家紋、三条花角とも)、左下は「梨木神社之印」。
(2)平成28年拝受の御朱印。朱印・揮毫ともに平成18年のものとほぼ同じだが、右上に「奉拝」の文字が入っている。
昔の御朱印
(1)大正15年の御朱印。中央の朱印は「別格官幣社梨木神社」、下は「梨木神社社務所印」。
(2)昭和5年の御朱印。上の朱印は(1)と同じ「別格官幣社梨木神社」。右の印は「京都御苑東側鎮座」、下は「参拝記念」。
(3)時期不詳の御朱印、昭和5年~10年頃のものと思われる。上の朱印は雲に「梨木神社」。
(4)昭和17年の御朱印。朱印は雲に「梨木神社」で、(3)とよく似ているが少し違う。昭和17年発行の『惟神の礎』にもこの印が掲載されている。
御由緒
梨木神社は、大政奉還・明治維新に大きな功績を残した三条実萬・実美父子を祀る。鎮座地は三条家の旧邸があった旧梨木町(現・染殿町)で、社号もこれに因む。
三条実萬は光格天皇・仁孝天皇・孝明天皇の三大に仕え、権大納言・武家伝奏・内大臣などを歴任。王政復古の大義を唱え、明治維新の実現に大きな功績があった。安政6年(1859)、安政の大獄により謹慎、同年薨去した。文久2年(1862)右大臣、明治32年(1899)正一位を追贈。才色兼備で菅原道真公の生まれ変わりといわれ、今天神様と称されたという。
三条実美は父の後を継いで姉小路公知などとともに尊王攘夷派の公卿として活躍し、文久3年(1963)八月十八日の政変のために京都を脱出、長州に逃れた(七卿落ち)。慶応3年(1867)王政復古により政治の表舞台に復帰し、議定・副総裁・右大臣を歴任した後、明治4年(1871)太政大臣に任命された。同18年(1885)内閣制が発足すると内大臣となる。同24年(1891)薨去。
明治17年(1884)久邇宮朝彦親王の令旨により、三条実萬を祀る神社が創建されることとなり、翌18年(1885)社殿を建立、旧邸のあった梨木町に因み、梨木神社の社号を賜る。
大正4年(1915)、大正天皇の御大典に際し、三条実美を合祀した。
写真帖
平成18年9月、萩の季節
見どころ
■染井
京都の三名水(醒ヶ井・県井・染井)の一つで、唯一現存している。現在の梨木神社境内は藤原良房の娘・明子(清和天皇の母、染殿后)の里御所の跡で、この屋敷を染殿と称した。染井の水は宮中御用の染所の水として用いられたという。甘くまろやかな水で、茶の湯に適しているとされ、今も多くの人が水を汲みに来ている。
■萩の宮
梨木神社は京都を代表する萩の名所で、「萩の宮」とも呼ばれる。毎年9月第3または第4日曜日の前後に行われる萩まつりには多くの参詣者が訪れ、さまざまな伝統芸能の奉納などが行われる。
メモ
初めての参拝は平成18年の9月。ちょうど萩の花が盛りで、多くの参拝者が訪れていた。
2度目の参拝は平成28年の12月。この間の平成25年に、社殿修復等の費用を捻出するために参道を含む境内地をマンション開発業者に貸し、その地代を必要な費用に充てることにしたのだが、神社本庁の承認を得られず、包括関係を解消して単立神社になった。それがどうなっているか確認したいという興味もあっての参拝だった。
一の鳥居と二の鳥居の間、ちょうど上の参道の写真の辺りにマンションができていた。望ましいことではないのだろうが、神社の維持が大変な中ではやむを得ない面もあるのだろう。
梨木神社の概要
名称 | 梨木神社 |
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通称 | 萩の宮 |
御祭神 | 贈右大臣正一位 三条実萬公〔さんじょう さねつむこう〕 内大臣正一位大勲位公爵 三条実美公〔さんじょう さねとみこう〕 |
鎮座地 | 京都市上京区寺町通広小路上ル染殿町680番地 |
創建年代 | 明治18年(1885) |
社格等 | 旧別格官幣社 (単立神社) |
例祭 | 4月18日(春季例祭) 10月10日(秋季例祭) |
神事・行事 | 1月最終日曜日または2月最初の日曜日/元服式(小笠原流礼法) 9月中旬から下旬/萩まつり 10月最終日曜日/袴着の祝・帯直しの祝(小笠原流礼法) |
交通アクセス
□京阪本線「神宮丸太町駅」もしくは「出町柳駅」より徒歩15分
□地下鉄烏丸線「丸太町駅」もしくは「今出川駅」より徒歩20分
□JR「京都駅」よりバス
■市バス4系統・17系統・205系統「府立医大病院前」下車徒歩3分