月夜見宮は豊受大神宮(外宮)の別宮で、天照大御神の弟神・月夜見尊とその荒御魂を祀る。外宮の別宮では唯一、外宮の宮域外にある。延喜式の「太神宮式」では外宮摂社の首位とされるが、承元4年(1240)別宮に昇格した。境内には外宮摂社の高河原神社も鎮座する。
正式名称 | 豊受大神宮別宮 月夜見宮〔つきよみのみや〕 |
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御祭神 | 月夜見尊 月夜見尊荒御魂 |
社格等 | 豊受大神宮別宮 式内社 |
鎮座地 | 三重県伊勢市宮後1-3-19 [Mapion|googlemap] |
御朱印
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(1)平成18年拝受の御朱印。朱印は「月夜見宮印」。
(2)平成28年拝受の御朱印。
御由緒
月夜見宮は、豊受大神宮(外宮)別宮の第三位。内宮別宮の月讀宮と同じく月夜見尊(月読尊)を祀るが、月夜見宮では「月夜見」の文字を用いる。
創祀については不詳だが、延暦23年(804)の『止由気宮儀式帳』には月読神社、延長5年(927)の『延喜大神宮式』には月夜見社として外宮摂社の首位に置かれている(延喜式神名帳では「月夜見神社」)。すでに奈良時代には別宮第一位の高宮(多賀宮)に次ぐ処遇を受けていたという。承元4年(1210)宮号宣下を受けて月夜見宮と称するようになり、別宮に昇格した。
古くは広い宮域を誇り、瑞垣から四方各33丈(約66m)で、周囲に壕をめぐらしていた。内宮の月讀宮と同じように正殿が二区あり、月夜見尊と月夜見尊荒御魂を別の殿舎にお祀りしていた。
しかし応永26年(1419)の火災で月夜見宮・小殿・忌火屋殿等が焼失。その後、月夜見尊荒御魂を祀る小殿は再興されず、現在に至るまで月夜見尊と月夜見尊荒御魂を同じ社殿に奉斎している。また、宮域の境界も不明確になり、江戸時代に整理や改修が行われた。
昭和22年(1947)地元崇敬者を中心に月夜見講が発足。現在は月夜見宮奉賛会として4月19日と9月19日に大祭が行われている。
高河原神社
宮域内に鎮座する高河原神社〔たかがわらじんじゃ〕は外宮摂社で、延喜式神名帳所載の川原坐国生〔かわらにますくなり〕神社に比定される。御祭神は月夜見尊御魂だが、異説もある。
延暦23年(804)の『止由気宮儀式帳』に高河原社として記載されていることから、それ以前の創建とされる。宮川の高河原といわれたこの辺りの守護神を祀る。
中世に廃絶したが、寛文3年(1663)大宮司・河辺精長により現在地に再興された。旧地については須原大社など諸説ある。
写真帖
メモ
伊勢市駅の西、外宮北御門から神路通りを北に500mほど進むと月夜見宮が鎮座している。神路通りは夜更けに月夜見尊が通う道とされ、道の中央を歩くことを避ける習慣がある。
宮の周囲は繁華街だが、境内は堀に囲まれた森で、周囲の喧噪とは打って変わった静かな神域となっている。宮殿の脇には木の洞に稲荷が祀られていたりして、興味深い場所である。
宮域西に隣接して、山田産土八社の一つ・須原大社が鎮座する。須原大社の境内は高河原神社の旧社地とする説がある。
月夜見宮の概要
名称 | 月夜見宮 |
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御祭神 | 月夜見尊〔つきよみのみこと〕 月夜見尊荒御魂〔つきよみのみことのあらみたま〕 |
鎮座地 | 三重県伊勢市宮後一丁目3番19号 |
創建年代 | 不詳/延暦23年(804)以前 |
社格等 | 豊受大神宮別宮 式内社 |
延喜式 | 伊勢國度會郡 月夜見神社 |
神事・行事 | 1月1日/歳旦祭 1月3日/元始祭 2月11日/建国記念祭 2月18日/祈年祭 4月19日/春季大祭 5月14日/風日祈祭 6月18~19日/月次祭 8月4日/風日祈祭 9月19日/秋季大祭 10月18~19日/神嘗祭 11月24日/新嘗祭 12月18~19日/月次祭 |
交通アクセス
□JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」より徒歩5分