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天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳(3)

天保11年四国納経帳表紙

この納経帳は天保11年(1840)旧11月から12月にかけて四国八十八ヶ所を巡拝したものである。冒頭に京都の仁和寺と東寺の納経があることから京都もしくはその近辺の人であろうと考えられる。四国霊場の納経は第78番道場寺(現在の郷照寺)から順打ちしており、大阪から丸亀に渡ったのではないかと思われる。

以下に土佐国の札所を見ていく。土佐国は本札所のみで、番外札所の納経はない。

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土佐の札所(最御崎寺~延光寺)

最御崎寺・津照寺

最御崎寺・津照寺の納経

【右】24番 最御崎寺(東寺)
室戸山 明星院 最御崎寺
本尊:虚空蔵菩薩
所在地:土佐国安芸郡東寺村(高知県室戸市室戸岬町)

墨書は「奉納/本尊虚空蔵/土州 東寺」、日付は「子十一月朔日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に虚空蔵菩薩の種字「タラーク」。右上の印は「四國廿四番」、左下は「最御崎寺」。

【左】25番 津照寺(津寺)
宝珠山 真言院 津照寺
本尊:地蔵菩薩
所在地:土佐国安芸郡津寺村(高知県室戸市室津)

墨書は「奉納/本尊地藏大士/土州 津寺」、日付は「十一月朔日」。中央の宝印は宝珠に地蔵菩薩の種字「カ」。右上の印は「廿五番」、左下は白抜きで「寶珠山」。

金剛頂寺・神峯寺

金剛頂寺・神峯寺の納経

【右】26番 金剛頂寺(西寺)
龍頭山 光明院 金剛頂寺
本尊:薬師如来
所在地:土佐国安芸郡西寺村(高知県室戸市元)

墨書はなく朱印のみ。中央の宝印は宝珠に薬師如来の種字「ベイ」と「土州/医王尊/西寺」。右上の印は「四國第二十六番」、左下は「龍頭山 金剛頂寺」。

【左】27番 神峯寺
竹林山 地蔵院 神峯寺
本尊:十一面観世音菩薩
所在地:土佐国安芸郡唐浜村(高知県安芸郡安田町唐浜)

墨書は「奉納/本尊十一面觀世音/土佐/竹林山/神峯」、日付は「子霜月二日」。中央の宝印は「佛法僧寶」の三宝印。三宝印は浄土宗や禅宗寺院でよく使われるが、当時、神峯寺を管理していた安田村の常行寺(現・廃寺)が禅宗であったことによると思われる。右上の印は「四國二十七番」、左下は「竹林山 神峯寺」。

大日寺・土佐国分寺

大日寺・土佐国分寺の納経

【右】28番 大日寺
法界山 高照院 大日寺
本尊:大日如来
所在地:土佐国香美郡母代寺村(高知県香南市野市町母代寺)

墨書は「奉納/本尊大日如来/土州/大日寺」、日付は「子十一月三日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に金剛界大日如来の種字「バン」。右上の印は「四國二十八番」、左下は「法界山 高照院 大日寺」。

【左】29番 土佐国分寺
摩尼山 宝蔵院 国分寺
本尊:千手観世音菩薩
所在地:土佐国長岡郡国分村(高知県南国市国分)

墨書は「奉納/本尊千手觀音/土州摩尼山/国分寺」、日付は「十一月四日」。中央の宝印は勅願所であることを示す十六八重菊の御紋。右上の印は「第二十九番」、左下は判読できない。

高賀茂大明神/神宮寺・竹林寺

神宮寺・竹林寺の納経

【右】30番 高賀茂大明神/神宮寺
高賀茂大明神(土佐神社)
祭神:味耜高彦根神・一言主神
百々山 無量寿院 神宮寺(現在の30番札所は百々山 東明院 善楽寺
本尊:阿弥陀如来
所在地:土佐国土佐郡一宮村(高知県高知市一宮しなね)

墨書は「奉納一宮/本尊阿彌陀如来/別當(当)百々山 無量寿院/神宮寺」、日付は「子十一月四日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に阿弥陀如来の種字「キリーク」。右上の印は「四國三十番」、左下は「神宮密寺」。
※江戸時代の30番札所は高賀茂神社(現在の土佐神社)で、納経は別当の神宮寺と善楽寺で行っていた。神宮寺の本尊・阿弥陀如来は高賀茂大明神の本地仏で、現在は高知市洞ヶ島町の安楽寺に祀られている。

【左】31番 竹林寺
五台山 金色院 竹林寺
本尊:文殊菩薩
所在地:土佐国長岡郡五台山村(高知県高知市五台山)

墨書は「奉納經/マン(文殊菩薩の種字)文殊大士/土州/五臺山」、日付は「十一月四日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に文殊菩薩の種字「マン」。右上の印は「第三十一番」、左下は「竹林密寺」。

禅師峰寺・雪蹊寺

禅師峰寺・雪蹊寺の納経

【右】32番 禅師峰寺
八葉山 求聞持院 禅師峰寺
本尊:十一面観世音菩薩
所在地:土佐国長岡郡十市村(高知県南国市十市)

墨書は「奉納/本尊十一面観世音/土佐国/禅師峰寺」、日付は「子霜月五日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に十一面観音の種字「キャ」。右上の印は「四國三十二番」、左下は白抜きで「禅師峰寺」。

【左】33番 雪蹊寺
少林山 雪蹊寺(高福山 幸福院 雪蹊寺
本尊:薬師如来
所在地:土佐国吾川郡長浜村(高知県高知市長浜)

墨書は「奉納/本尊薬師如来/土州 少林山/雪蹊寺」、『四国徧礼霊場記』など江戸時代の資料では雪蹊寺の山号を「保寿山」としていることが多いのだが、この納経では「少林山」となっている。日付は「十一月五日」。中央の宝印は十六菊と五三桐の御紋を重ねたもの。右上の印は「第三十三番」、左下は「雪蹊」。

種間寺・清瀧寺

種間寺・清瀧寺の納経

【右】34番 種間寺
本尾山 朱雀院 種間寺
本尊:薬師如来
所在地:土佐国吾川郡秋山村(高知県高知市春野町秋山)

墨書は「奉納/金堂薬師如来/種間寺」、日付は「十一月五日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に薬師如来の種字「ベイ」。右上の印は「第三十四番」、左下は「本尾山 朱雀院 種間寺」。

【左】35番 清瀧寺
医王山 鏡池院 清瀧寺
本尊:薬師如来
所在地:土佐国長岡郡長岡村(高知県土佐市高岡町)

墨書は「奉納/本尊藥師如来/清瀧寺/役者」、日付は「子十一月六日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に薬師如来の種字「ベイ」。右上の印は「四國三十五番」、左下は「醫王山 鏡池院」。

青龍寺・五社大明神/岩本寺

青龍寺・岩本寺の納経

【右】36番 青龍寺
独鈷山 伊舎那院 青龍寺
本尊:波切不動明王
所在地:土佐国高岡郡竜村(高知県土佐市宇佐町竜)

墨書は「奉納/本尊不動明王/青龍寺」、日付は「霜月六日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に不動明王の種字「カーン」。右上の印は「第卅六番」。左下は判読しづらいのだが「独鈷山 龍寶院 青龍寺」のようである。青龍寺の山号は江戸時代の資料でも「伊舎那院」なのだが「龍宝院」と称していた時期があるのだろうか。

【左】37番 五社大明神岩本寺
五社大明神(高岡神社)
祭神:大日本根子彦太迩尊・磯城細姫命・大山祇命・吉備彦狭嶋命・伊予二名洲小千命・伊予天狭貫尊
所在地:土佐国高岡郡仕出原村(高知県高岡郡四万十町仕出原)
藤井山 五智院 岩本寺
本尊:不動明王・聖観世音菩薩・阿弥陀如来・薬師如来・地蔵菩薩
所在地:土佐国高岡郡窪川村(高知県高岡郡四万十町茂串町)

墨書は「奉納経/五社大明神/別當(当)藤井山/岩本寺」。中央の宝印は菊の御紋。右上の印は「四國三十七番」、左下は「○○宮 五智院 役者印」で、「○○」の部分は判読できない。
※江戸時代、37番札所は五社大明神(現在の高岡神社)で、納経は別当である窪川村の岩本寺で行っていた。

金剛福寺・延光寺

金剛福寺・延光寺の納経

【右】38番 金剛福寺
足摺山 補陀洛院 金剛福寺(蹉陀山 補陀洛院 金剛福寺
本尊:三面千手観世音菩薩
所在地:土佐国幡多郡伊佐村(高知県土佐清水市足摺岬)

墨書は「奉納/寶樓(宝楼)千手觀音/土州 足摺山」、日付は「子十一月十一日」。「宝楼」は本堂・金堂のことであろう。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に千手観音の種字「キリーク」。右上の印は「第三拾八番」、左下は「金剛福寺」。

【左】39番 延光寺
赤亀山 寺山院 延光寺
本尊:薬師如来
所在地:土佐国幡多郡平田村(高知県宿毛市平田町)

墨書は「奉納/本尊薬師如来/土州 寺山」、日付は「子十一月十二日」。中央の宝印は蓮華座上の火炎宝珠に薬師如来の種字「ベイ」。右上の印は「四国三拾九番」、左下の院は判読しづらいが白抜きで「院○ 寺山」のようである。○の部分はわからない。

天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳
天保11年(1840)に四国八十八ヶ所を巡拝した納経帳。京都近辺の人らしく、仁和寺・東寺から初めて四国に渡り、78番道場寺(郷照寺)から順打ちで四国を一周している。

天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳(1)京都・讃岐国前半
天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳(2)阿波国
■天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳(3)土佐国
天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳(4)伊予国
天保11年(1840)四国八十八ヶ所の納経帳(5)讃岐国後半

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