新宮神社は賀茂別雷神社(上賀茂神社)の第二摂社で、「貴布禰新宮」とも称する。江戸時代以前、貴船神社は上賀茂神社の第二摂社として格別の崇敬を受けた。しかし北方の山中に鎮座し、水害その他で度々参拝不能となったため、上賀茂神社境内に御分霊を勧請したものと考えられている。江戸時代以前は第三摂社だったが、明治4年(1871)貴船神社が独立したのに伴って第二摂社となった。
正式名称 | 賀茂別雷神社摂社 新宮神社〔しんぐうじんじゃ〕 |
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御祭神 | 高龗神命 |
社格等 | 旧官幣大社賀茂別雷神社摂社 |
鎮座地 | 京都市北区上賀茂本山339 [Mapion|googlemap] |
公式サイト | https://www.kamigamojinja.jp/shaden/shingu/ |
御朱印
(1)令和4年拝受の御朱印、書き置き。朱印は「賀茂新宮神社」。台紙に龍神の図。
※御朱印は毎月第2・第4日曜日に行われる御神楽祈願のとき、新宮神社神門内の授与所でいただくことができる。
新宮神社について
御祭神
■高龗神
生命の源である水を司る龍神として崇敬されている。貴船神社からの勧請である。
由緒
新宮神社は上賀茂神社の第二摂社であり、「貴布禰新宮」とも称された。
上賀茂神社の北方約7km、賀茂川の水源に鎮座する貴船神社(貴布禰神社)は祈雨の神として朝廷から尊崇されたが、平安時代中期以降上賀茂神社の摂社となった。貴船神社は深い山中にあり、冬期や洪水その他の理由で参拝できないことが度々あったため、本社境内に御分霊を勧請したのが新宮神社の始まりと考えられている。
勧請の時期は詳らかでないが、『賀茂史略』には永承3年(1048)初めて貴布禰新宮の名が文献に現れたとされているとのことである。
寛仁元年(1017)には片岡社(上賀茂神社の第一摂社)・河合社(下鴨神社の第一摂社)とともに貴船社が正二位を奉授されている。また、天喜3年(1055)洪水により貴船神社の社殿が移転した際には貴船神社と上賀茂神社に奉幣使が使わされていることから、この頃までには貴船神社が上賀茂神社の摂社になっていたと考えられている。よって、この頃には貴布禰新宮も奉斎されたのであろう。
なお、貴船神社は上賀茂神社において格別の崇敬を受け、上賀茂神社の社家の邸内には貴船神社が祀られていたという。
嘉承元年(1106)上賀茂神社の本殿が火災で焼失した。この時、本社の御神体を貴布禰新宮に、貴布禰新宮の御神体を若宮社(上賀茂神社の摂社、本殿の東に鎮座する)に遷したという。
江戸時代以前、貴船神社が第二摂社、新宮神社が第三摂社だったが、明治4年(1871)貴船神社が独立したため、新宮神社が第二摂社となった。
境内風景
新宮神社は境内の奥、本社の東に鎮座している。普段は神門が閉まっており、門前から参拝することになる。
門の外から見た新宮神社の拝殿。ただし毎月第2・第4日曜日には御神楽祈願が行われ、中へ入って参拝ができる。また、御朱印をいただける。
新宮神社へは楼門の前を東へ、御物忌川沿いに進んでいく。
少し進むと御物忌川を背にして末社の川尾神社が鎮座する。御祭神は罔象女神(水神)で、御物忌川を守護する神である。
さらに進むと伊勢神宮の遙拝所がある。
石段の上に新宮神社が鎮座する。普段閉まっている扉が開いていた。
御神楽祈願後の様子。御神楽祈願は写真撮影禁止である。鈴を持った巫女さんが御神楽を上げ、参列者のお祓いをする。終了後、参列者は順に本殿前に進み、参拝する。御朱印は右側の授与所にて。
一通り参拝が終わって参拝者がいなくなった後、社殿の写真を撮り直し。本殿・拝殿ともに寛永5年(1628)の造営で、昭和42年(1967)重要文化財に追加指定された。
メモ
以前は御朱印はなかったのだが、平成31年に参拝したときに御朱印授与が行われるようになったことを知った。なかなか機会がなかったのだが、令和4年12月にようやく参拝。朝9時前に上賀茂神社到着し、午前10時の御神楽祈願に参列できた。
新宮神社の概要
名称 | 新宮神社 |
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旧称 | 貴布禰新宮 |
御祭神 | 高龗神〔たかおかみのかみ〕 |
鎮座地 | 京都市北区上賀茂本山339 |
創建年代 | 平安時代中期 |
社格等 | 旧官幣大社賀茂別雷神社摂社 |
神事・行事 | 4月21日/春祭 5月12日/御掃除祭 11月12日/御掃除祭 11月21日/秋祭 ※『平成「祭」データ』による |
文化財 | 〈重文〉本殿及び拝殿 |
交通アクセス
□地下鉄烏丸線「北山駅」より徒歩25分、またはバス
■市バス4系統「上賀茂神社前」下車すぐ
□JR・近鉄「京都駅」よりバス
■市バス9系統・快速9系統「上賀茂御園橋」下車徒歩5分
■市バス4系統「上賀茂神社前」下車すぐ
参考文献
・上賀茂神社公式サイト
・『賀茂社祭神考』座田司氏(神道史学会)
・日本歴史地名大系『京都府の地名』(平凡社)
・平成「祭」データ