月讀宮は、皇大神宮(内宮)の別宮。同一境内に四つの別宮が並んでいる。延暦23年(804)の『大神宮儀式帳』によれば四つの宮が一つの瑞垣内に祀られていたという。『延喜式神名帳』には「伊佐奈岐宮二座・月読宮二座」とあり、伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮、月読宮と月読荒御魂宮がそれぞれ一つの瑞垣のうちに祀られていた。現在の形になったのは明治6年(1873)である。
正式名称 | 皇大神宮別宮 月讀宮〔つきよみのみや〕 月讀荒御魂宮〔つきよみあらみたまのみや〕 伊佐奈岐宮〔いざなぎのみや〕 伊佐奈弥宮〔いざなみのみや〕 |
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御祭神 | 〈月読宮〉月読尊 〈月読荒御魂宮〉月読尊荒御魂 〈伊佐奈岐宮〉伊弉諾尊 〈伊佐奈弥宮〉伊弉冉尊 |
社格等 | 皇大神宮別宮 式内社 |
鎮座地 | 三重県伊勢市中村町742-1 [Mapion|googlemap] |
御朱印
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(1)平成18年拝受の御朱印。朱印は「月読宮印」。
(2)平成28年拝受の御朱印。
昔の御朱印
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(1)昭和4年の御朱印。御正宮と同様の「月読宮参拝」の丸印。
(2)昭和14年の御朱印。朱印は現在のものと同じ「月読宮印」の角印。
御由緒
月讀宮は皇大神宮(内宮)の別宮。内宮の北約2kmのところに鎮座する。
境内には月讀宮のほか、月讀荒御魂宮〔つきよみあらみたまのみや〕(御祭神:月讀尊荒御魂)・伊佐奈岐宮〔いざなぎのみや〕(御祭神:伊弉諾尊)・伊佐奈弥宮〔いざなみのみや〕(御祭神:伊弉冉尊)の合わせて四宮が鎮座しており、いずれも皇大神宮の別宮である。延喜式では大社に列せられ、月次・新嘗の官幣に預かった。
延暦23年(804)の『大神宮儀式帳』によれば一つの瑞垣の中に正殿が四区あり、合わせて月讀宮と呼ばれていた。現在と同じ四柱の神々を祀っていたようである。
宝亀3年(772)異常な風雨があり、樹木が根こぎにされ、家屋が壊された。これを卜ったところ伊勢の月読尊の祟りであるということであったので、荒祭宮に準じて毎年9月に馬を奉納するとともに、荒御魂社・伊佐奈岐社・伊佐奈弥社を官社に列した。
仁寿3年(853)洪水のために月讀宮と伊佐奈岐社が流されたため、斉衡2年(855)現在の地に遷座した。それ以前の鎮座地については諸説あるが、もう少し五十鈴川に近い場所で会っただろうと考えられている。
貞観9年(867)伊佐奈岐社と伊佐奈弥社に空号宣下があった。その後、伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮、月讀宮と月讀荒御魂宮がそれぞれ一つの瑞垣の内に祀られるようになった。延喜式神名帳には「伊佐奈岐宮二座・月讀宮二座」とある。当時は伊佐奈弥宮と月讀荒御魂宮を小殿と呼んでいたようである。
四宮がそれぞれ一院として瑞垣を持つ現在のような形になったのは、明治6年(1873)のことという。
向かって右から月読荒御魂宮、月読宮、伊佐奈弥宮、伊佐奈岐宮の順で鎮座しているが、月読宮→月読荒御魂宮→伊佐奈岐宮→伊佐奈弥宮の順で参拝するのがよいとされる。
また境内には皇大神宮の末社・葭原神社も鎮座している。田畑を守護する佐佐津比古命、宇加乃御玉御祖命、伊加利比売命の三柱が祀られている。
写真帖
メモ
住宅地の中にこんもりと森が繁り、その中に鎮座する。横長の敷地に横一列で社殿が並ぶため、四宮を1枚の写真に納めることは非常に難しい。社殿の向かいでは、どこかのスピリチュアル系のグループらしい人たちが思い思いの場所で瞑想をしていた。確かに、いかにもパワースポットという印象を受ける清浄な境内だが…。こういうのが新しい神社との接し方なのかと思いながら、でも、自分はそうしないだろうとも思いつつ参拝。
月読宮の概要
名称 | 月読宮 月読荒御魂宮 伊佐奈岐宮 伊佐奈弥宮 |
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御祭神 | 〈月読宮〉 月読尊〔つきよみのみこと〕 〈月読荒御魂宮〉 月読尊荒御魂〔つきよみのみことのあらみたま〕 〈伊佐奈岐宮〉 伊弉諾尊〔いざなぎのみこと〕 〈伊佐奈弥宮〉 伊弉冉尊〔いざなみのみこと〕 |
鎮座地 | 三重県伊勢市中村町742番地1号 |
創建年代 | 不詳 |
社格等 | 皇大神宮別宮 式内社 |
延喜式 | 伊勢國度會郡 伊佐奈岐宮二座 伊佐奈彌命一座 並大 月次新嘗 月讀宮二座 荒御魂命一座 並大 月次新嘗 |
神事・行事 | 1月1日/歳旦祭 1月3日/元始祭 2月11日/建国記念祭 2月18日/祈年祭 5月14日/風日祈祭 6月18~19日/月次祭 8月4日/風日祈祭 10月18~19日/神嘗祭 11月24日/新嘗祭 12月18~19日/月次祭 |
交通アクセス
□近鉄鳥羽線「五十鈴川駅」より徒歩10分
□JR・近鉄「伊勢市駅」または近鉄「宇治山田駅」よりバス
■徴古館経由外宮・内宮循環バス「中村」下車徒歩5分