皇大神宮(伊勢神宮内宮)は、天照大御神を祀る日本の総氏神。御神体は三種の神器の一・八咫鏡で、垂仁天皇の皇女・倭姫命を御杖代として各地を巡った後、垂仁天皇26年(A.D.4)現在の地に鎮座されたと伝えられる。古代においては皇室の氏神として私幣は禁じられ、皇后・皇太子といえども天皇の許しなく幣帛を奉ることはできなかった。江戸時代には広く庶民の信仰を集め、数十年に一度の御蔭参りには数百万の参詣者を集めた。
正式名称 | 皇大神宮〔こうたいじんぐう〕 |
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通称 | 伊勢神宮 内宮〔ないくう〕 |
御祭神 | 天照大御神 〈相殿〉天手力男命 万幡豊秋津姫命 |
社格等 | 神宮 式内社(大) 二十二社 |
鎮座地 | 三重県伊勢市宇治館町1 [Mapion|googlemap] |
公式サイト | http://www.isejingu.or.jp/ |
御朱印
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(1)平成5年拝受の御朱印。朱印は「内宮之印」。
(2)平成18年拝受の御朱印。
(3)平成25年拝受の御朱印。サイズが違うように見えるのは御朱印帳のサイズが違うため。
別宮の御朱印
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昔の御朱印
大正~昭和の御朱印
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(8)大正15年(1926)の御朱印。大正末期から昭和10年代の初めまで使われた「内宮参拝」の丸印。
(9)昭和11年(1936)の御朱印。(1)と同じ「内宮参拝」の丸印。
(10)昭和10年代の御朱印。現在と同じ「内宮之印」の角印。昭和10年代前半から使われている。
江戸時代の納経(御朱印)
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(11)文政5年(1822)の納経(御朱印)。文字部分は版木押しで「奉納経」「伊勢内宮」「天照皇太神宮 法楽舎」。中央に朱印はない。下の黒印は「日照山神宮寺」。
※宇治法楽舎は、建治元年(1275)朝廷が異国降伏のため創建した真言密教の祈祷所である。江戸時代以前、内宮での納経は宇治法楽舎で行われていたことがわかる。
御由緒
皇大神宮は、皇祖天照皇大神(神宮では天照坐大皇御神とお呼びする)を祀り、豊受大神宮とともに神宮(一般に伊勢神宮と呼ばれることが多いが、正しくは神宮)と称され、古くから国家の宗廟、国民の総氏神として崇められてきた。
御神体は三種の神器の一つ・八咫鏡〔やたのかがみ〕。もとは宝鏡奉斎の神勅により宮中に祀られていたが、第10代崇神天皇の御代、神威を畏れて皇居の外に祀ることとし、豊鋤入姫命〔とよすきいりひめのみこと〕を御杖代〔みつえしろ〕として大和の笠縫邑〔かさぬいむら〕(檜原神社)に祀らしめた。
さらに理想の鎮座地を求めて丹後国吉佐宮(籠神社)や紀伊国奈久佐浜宮(濱宮、日前神宮國懸神宮旧社地)などを巡幸した。その後、御杖代は倭姫命〔やまとひめのみこと〕に引き継がれ、伊賀・美濃・尾張などを経て伊勢国に入り、垂仁天皇26年(紀元前4年)現在の地に鎮座されたと伝えられる。
天武天皇の御代に斎宮や二十年に一度の式年遷宮が制度化された。古代においては、皇室の氏神として私幣は禁じられ、皇后・皇太子といえども天皇の許しなく幣帛を奉ることはできなかった。
中世になると武家によって崇敬され、全国に広大な神領(御厨)を所有した。江戸時代には御師〔おんし〕の活躍によって広く庶民の信仰を集めた。ことに数十年に一度、自然発生的に起こった御蔭参りには、数百万人という人々が伊勢に押し寄せた。
現代も年間800万人もの人々が参詣する、名実ともに日本の総氏神・総鎮守である。
なお、神宮とは内宮・外宮の両正宮と14の別宮、43の摂社、24の末社、42の所管社の総称であるが、正宮に次いで尊いとされるのが別宮である。内宮の別宮は以下の10社である。
・荒祭宮(御祭神:天照大御神荒御魂 内宮域内)
・月讀宮(御祭神:月讀尊 伊勢市中村町)
・月讀荒御魂宮(御祭神:月讀尊荒御魂 月讀宮境内)
・伊佐奈岐宮(御祭神:伊弉諾尊 月讀宮境内)
・伊佐奈弥宮(御祭神:伊弉冉尊 月讀宮境内)
・瀧原宮(御祭神:天照坐皇大御神御魂 度会郡大紀町)
・瀧原竝宮(御祭神:天照坐皇大御神御魂 瀧原宮境内)
・伊雑宮(御祭神:天照坐皇大御神御魂 志摩市磯部町)
・風日祈宮(御祭神:級長津彦命・級長戸辺命 内宮域内)
・倭姫宮(御祭神:倭姫命 伊勢市楠部町)
内宮の宮域内には荒祭宮と風日祈宮がある。
別宮第一位の荒祭宮〔あらまつりのみや〕は天照大御神の荒御魂を祀り、祭典も御正宮に準じて特別丁重に行われる。また春秋の神御衣祭〔かんみそさい〕も皇大神宮と荒祭宮のみにおいて行われ、豊受大神宮やその他の宮社では行われないことからも、荒祭宮が特別な宮であることをうかがわせる。
風日祈宮〔かざひのみのみや〕は古くは風神社と称した。元寇の際の神風の神威により、正応6年(1293)太政官符をもって宮号宣下が発せられ、風日祈宮と称するようになった。この名は4月と7月(現在は5月と8月)に行われる風日祈祭〔かざひのみさい〕に因むようである。
五十鈴川の御手洗場近くにある瀧祭神〔たきまつりのかみ〕は別宮・摂社・末社に次ぐ内宮の所管社の第一位であるが、祭典は別宮に準じて行われる。皇大神宮の御正宮では個人的な願い事はできないが、先に瀧祭神に参拝して願い事を伝えると、天照大御神に取り次いでくださるという信仰があるそうで、地元では「おとりつぎさん」と呼ばれているという。
写真帖
メモ
初めて参拝したのが平成5年、初めて拝受した神社の御朱印である(寺院はそれ以前に四国を巡拝していたので)。しかし、せっかく戴いた御朱印帳も約10年間、ほとんど空白のままであった。
これまで伊勢に参拝したのは、いつも春秋の一番よい季節のため(しかも好天)、参拝者が非常に多かった。ことに平成18年の参拝は三連休の中日で、しかも遷宮のお木曳き行事の奉賛で、西条まつりの屋台の奉納があったため(というか、私自身もそれが目的で伊勢に行ったのだが)、大変な人出であった。
「伊勢の宮に詣づる人の日にまして あとをたたぬがうれしかりけり」(昭和天皇御製)
(※追記:その後、式年遷宮が行われた平成25年と、伊勢志摩サミットが行われた平成28年に参拝した)
皇大神宮(内宮)の概要
名称 | 皇大神宮 |
---|---|
通称 | 伊勢神宮 内宮 |
御祭神 | 天照大御神〔あまてらすおおみかみ〕 〈相殿〉 天手力男命〔あめのたぢからおのみこと〕 万幡豊秋津姫命〔よろずはたとよあきつひめのみこと〕 |
鎮座地 | 三重県伊勢市宇治館町1番地 |
創建年代 | 伝・垂仁天皇26年(B.C.4年) |
社格等 | 神宮 式内社 二十二社 |
延喜式 | 伊勢國度會郡 大神宮三座 相殿坐神二座 並大 預月次新嘗等祭 荒祭宮 大 月次新嘗(別宮 荒祭宮) 瀧原宮 大 月次新嘗(別宮 瀧原宮) 伊佐奈岐宮二座 伊佐奈彌宮一座 並大 月次新嘗(別宮 伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮) 月讀宮二座 荒御魂命一座 並大 月次新嘗(別宮 月読宮・月読荒御魂宮) 朝熊神社 (摂社 朝熊神社) 蚊野神社 (摂社 蚊野神社) 鴨神社 (摂社 鴨神社) 狭田國生神社 (摂社 狭田国生神社) 田之家神社 (摂社 田之家神社) 園相神社 (摂社 園相神社) 多伎原神社 (摂社 多岐原神社) 湯田神社 (摂社 湯田神社) 奈良波良神社 (摂社 奈良波良神社) 大水神社 (摂社 大水神社) 津長大水神社 (摂社 津長神社) 大國玉比売神社 (論:摂社 堅田神社/摂社 宇治山田神社) 大土御祖神社 (摂社 大土御祖神社) 國津御祖神社 (摂社 国津御祖神社) 坂手國生神社 (摂社 坂手国生神社) 粟皇子神社 (摂社 粟皇子神社) 久々都比売神社 (摂社 久具都比売神社) 江神社 (摂社 江神社) 神前神社 (摂社 神前神社) 朽羅神社 (摂社 朽羅神社) 榎村神社 (論:摂社 堅田神社) 川原神社 (摂社 川原神社) 棒原神社 (摂社 棒原神社) 大神乃御船神社 (摂社 御船神社) 雷電神社 (論:摂社 湯田神社) 荻原神社 (末社 葭原神社) 志摩國答志郡 粟嶋坐伊射波神社二座 並大 (論:別宮 伊雑宮) 同嶋坐神乎多乃御子神社(伊雑宮所管社 佐美長神社) |
三節祭 | 6月16~17日/月次祭 10月16~17日/神嘗祭(大祭) 12月16~17日/月次祭 |
神事・行事 | 1月1日/歳旦祭 1月3日/元始祭 1月11日/一月十一日御饌 2月4日/御鍬祭 2月17日/祈年祭 3月春分の日/御園祭 3月下旬~4月上旬/神宮奉納大相撲 4月上旬/神田下種祭 4月15日/蚕糸祭 4月28~30日/春の神楽祭 4月下旬/植樹祭 5月上旬/神田御田植初 5月1日/神御衣奉織始祭 5月5日/児童福祉祭 5月13日/神御衣奉織鎮謝祭 5月14日/風日祈祭 5月14日/神御衣祭 5月下旬/延寿大々神楽 5月下旬~6月上旬/皐と盆栽の奉納展示 6月1日/御酒殿祭 6月15日/興玉神祭 6月30日/大祓式 7月中旬/神宮奉納花火大会 8月4日/風日祈祭 9月上旬/抜穂祭 9月仲秋/神宮観月会 9月22~24日/秋の神楽祭 10月1日/御酒殿祭 10月1日/神御衣奉織始祭 10月5日/御塩殿祭 10月13日/神御衣奉織鎮謝祭 10月14日/神御衣祭 10月15日/興玉神祭 10月16日/初穂曳 10月下旬~11月中旬/菊花の奉納 11月23日/新嘗祭 11月中旬~12月下旬/新穀感謝祭 12月1日/御酒殿祭 12月15日/興玉神祭 |
文化財 | 〈国宝〉玉篇巻第廿二 〈重文〉神宮祭主職舎本館(旧慶光院客間) 紙本著色伊勢新名所絵歌合 神宮古神宝類 太刀・銘吉信(附・糸巻太刀拵) 太刀・銘俊忠(附・糸巻き太刀拵) 太刀・銘次家 刀・折返銘有国 毛抜形太刀 古文尚書 古事記裏書 古事記上巻 神宮法楽和歌・霊元天皇以下歴代天皇宸翰 日本書紀私記 日本書紀私見聞(春瑜自筆本)・日本書紀私見聞(道祥自筆本) 皇大神宮儀式帳残巻・止由気神宮儀式帳・紙背文永弘安年間文書 渡会氏系図 天養記 金銅透彫金具 据台付子持はそう 角屋家貿易関係資料(アジア航海図・御朱印旗・大湊角屋家旗・角屋家文書) 渋川春海天文関係資料(附・貞享暦議)・日本古今交食考・春海先生実記 〈選択無形民俗文化財〉伊勢の「お木曳き」行事 伊勢の「白石持ち」行事 〈登録有形文化財〉神宮農業館 神宮徴古館 〈史跡〉旧林崎文庫 〈県有形文化財〉神宮祭主職舎(旧慶光院) 紙本着色伊勢両宮曼荼羅図 紙本墨書御塩殿文書(附・荒木田氏顕書写御塩殿古文書1点・二見郷刀禰職譲状ほか1巻) 〈県無形民俗文化財〉伊勢神宮のお田植え |
巡拝 | 神仏霊場特別参拝 |
交通アクセス
□JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」よりバス
■外宮内宮循環バス「内宮前」下車
※おかげ横丁・おはらい町から歩く場合は「神宮会館前」下車が便利