正一位岩走神社は伊奈村の鎮守で、仁平2年(1152)信濃国伊那郡の住人12名が当地に移り住んで一村を開き、故郷の戸隠大明神より御分霊を勧請したことに始まると伝えられる。12名の一人である宮沢左近進藤原季周が神主となり、その子孫が社家として奉仕している。寛政6年(1794)光格天皇より神階正一位の勅許を受け、以来、正一位岩走神社と称するようになった。
正式名称 | 正一位岩走神社〔しょういちい いわばしりじんじゃ〕 |
---|---|
御祭神 | 稚日女尊 手力男命 棚機姫命 |
社格等 | 旧村社 |
鎮座地 | 東京都あきる野市伊奈1575 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 武蔵増戸・武蔵五日市(JR五日市線) バス停:伊奈坂上 |
御朱印
御朱印は神社境内に隣接する宮司様宅にていただける。
(1) | (2) |
(1)平成20年拝受の御朱印。中央の朱印は雲と神鏡、左下の印は「正一位岩走神社宮司印」。
(2)平成30年拝受の御朱印。中央の朱印は雲と神鏡で、神鏡の中に「正一位岩走神社」。右下に「武州伊奈邑鎮座」。
御由緒
御祭神
■稚日女尊
■手力男命
■棚機姫命
東京都神社庁のサイトによる。神社明細帳では上記三柱を主祭神とし、天照大神・久久能智命・保食神・誉田別尊を配祀としている。
『平成「祭」データ』は棚機姫命の代わりに栲幡千千姫命が入り稚日女尊・天力男命・栲幡千千姫命の三柱、『新編武蔵風土記稿』は天思兼神・天手力雄神・天棚機姫の三柱とする。
由緒(歴史)
正一位岩走神社は伊奈村の鎮守。岩走の名は秋川の激しく流れ落ちる滝の様に因むとされる。古くは宮沢明神、あるいは岩上大明神、岩三大明神とも称したともいう。
『新編武蔵風土記稿』によれば、伊奈村は信濃国伊那郡より多くの石工が移り住んで業としたといい、伊奈の名も伊那郡に因むという。江戸城の石垣などの御用も務めたが、文政の頃には石工とする者は残っていなかったと記されている。
社伝によれば、平安時代末期の仁平2年(1152)信濃国伊那郡の住人12名が当地に移住して村を拓き、鎮守として故国に鎮座する戸隠神社より手力男命を勧請したことを創祀とする。その後、稚日女尊と棚機姫命を合祀した。
保元3年(1158)12名のうち宮沢左京藤原季周が神主となり、毎年7月7日を例祭日として、以後その子孫が社家として奉仕するようになった。
江戸時代の寛政5年(1793)29代の子孫に当たる藤原豊前守宮沢安通が京都に赴き、翌寛政6年(1794)9月13日、吉田良倶の斡旋により、中院通知の奏聞を以て光格天皇より神階正一位の位記口宣案を給わった。以来、正一位岩走神社と称するようになった。
社殿は寛文12年(1672)に再建された後、明治32年(1899)に造替された。昭和41年(1966)屋根が銅板葺きに改められた。
9月の例大祭は非常に盛大で、二宮神社の生姜まつり、阿伎留神社の五日市まつりとともにあきる野三大祭に数えられる。神社の神輿に山車や太鼓車・囃子車、町内神輿などが供奉して氏子町内を巡行し、夕方の宮入で最高潮となる。
摂末社
『新編武蔵風土記稿』には境外末社として日吉山王社が記され、その他に熊野権現・稲荷・金毘羅等の小社が本社の背後にあるとしている。神社明細帳には八雲神社として速須佐之男神・椎名毘売神・保食命・金山彦命・熊野久須毘命・伊弉諾命・伊弉冉命が合殿で祀られている。
現在は、拝殿左側に疱瘡神社(伊弉諾尊・伊弉冉尊)・熊野神社(伊弉諾尊・伊弉冉尊)・八雲神社(素盞嗚尊)・稲荷神社(倉稲魂命)・琴平神社(大物主命・崇徳天皇)が合殿で祀られている。また、本殿背後には稲荷神社三社が合殿で祀られている。
写真帖
メモ
旧五日市街道沿いに鎮座する。近年、境内が整備されたようだ。鳥居をくぐると正面に拝殿、その後ろに大きな覆殿がある。金網越しに本殿が見えるが、壁面にも見事な彫刻が施されている。
神階正一位を賜った神社は少なからずあるが、当社がわざわざ社号に「正一位」と冠しているのは、それが天皇の「勅許」であることによると思われる。
江戸時代に正一位に列した神社の多くは神祇管領・吉田家の宗源宣旨によるものであった。『五日市町史』には宗源宣旨によって正一位を授かったとあるのだが、神社明細帳に「御位記口宣案ヲ給ヒ」とあるので、宗源宣旨ではなく勅許によって給わったと考えるべきだろう。社号額や御朱印の墨書に記された「勅宣」の文字が、今にその誇りを伝えている。
正一位岩走神社の概要
名称 | 正一位岩走神社 |
---|---|
通称 | 勅宣正一位岩走神社 |
旧称 | 岩走神社 宮沢明神 岩上大明神 岩三大明神 |
御祭神 | 稚日女尊〔わかひるめのみこと〕 手力男命〔たぢからおのみこと〕 棚機姫命〔たなばたひめのみこと〕 |
鎮座地 | 東京都あきる野市伊奈1575番地 |
創建年代 | 仁平2年(1152) |
社格等 | 旧村社 |
例祭 | 9月15日 |
神事・行事 | 1月1日/歳旦祭 4月上旬日曜/祈年祭 11月23日/新嘗祭(秋祭) ※『平成「祭」データ』による |
交通アクセス
□JR五日市線「武蔵増戸駅」より徒歩15分
□JR五日市線「武蔵五日市駅」より徒歩19分、またはバス
■西東京バス秋川駅・上川霊園・福生駅西口行き「伊奈坂上」下車徒歩3分
更新履歴
2009.01.11.公開
2018.08.13.改訂、WPへ移行、御朱印追加、画像差し替え