伊豆美神社は、寛平元年(889)北谷村大塚山(現・元和泉2)に創建されたと伝えられる。元は六所宮と称していた。天文19年(1550)多摩川の洪水のため、現社地に遷座した。明治2年(1869)社号を伊豆美神社と改めた。
正式名称 | 伊豆美神社〔いずみじんじゃ〕 |
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御祭神 | 大国魂大神 小野大神 小河大神 氷川大神 秩父大神 金鑚大神 杉山大神 |
社格等 | 旧郷社 |
鎮座地 | 東京都狛江市中和泉3-21-8 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 狛江・和泉多摩川(小田急線) バス停:南和泉・狛江市立緑野小学校 |
御由緒
伊豆美神社は、古くは六所宮・六所明神社と称し、和泉村の鎮守であった。旧別当は本山修験で小田原松原大明神別当・玉瀧院末の行宝院(廃寺)。
社伝によれば、寛平元年(889)9月20日、北谷村大塚山(現在の元和泉2丁目、境外末社の水神宮があるところ)に奉斎されたとされる。特に由緒書には触れられていないが、府中の六所宮(大國魂神社)を勧請したものであろう。
天文19年(1550)多摩川の洪水で社地が流失したため、現社地に遷座した。この時、現在御霊神社が祀られている場所に仮宮が営まれたと伝えられる。
江戸時代、和泉村は旗本の石谷氏・松下氏と彦根藩井伊氏の三給支配となっており、毎年9月20日の例祭には若干の金穀の奉納があった。特に石谷氏は村内泉龍寺近くに陣屋を構え、当社を保護したという。
寛永18年(1641)石谷清政と弟の石谷貞清、及び和泉・猪方両村の氏子が社殿を再建した。慶安4年(1651)には石谷貞清が石鳥居(二の鳥居)を奉納している。
明治元年(1868)神仏分離令により行宝院が復飾して神職となった。翌明治2年(1869)社号を知名に因んで伊豆美神社と改称した(当初は伊津美乃神社と書いたという)。明治4年(1871)村社に列格、明治16年(1883)郷社に昇格。
明治41年(1908)村内の天神社と熊野神社を末社・神明宮に合祀。明治42年(1909)水神社を本社に、白幡神社を末社・稲荷神社に合祀している。
御朱印
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(1)
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(2)
(1)平成18年拝受の御朱印。中央の朱印は「伊豆美神社印」、右上は十六菊の神紋。
(2)平成29年拝受の御朱印。上の朱印は「伊豆美神社印」、下は中央に万葉歌碑(玉川碑)、周囲に「史跡狛江伊豆美神社」。右上の墨書は「六合攸曜」で、二の鳥居に刻まれた文字の一節。
写真帖
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一の鳥居
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二の鳥居
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手水舎
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靖国神社・神明宮
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福徳稲荷神社・諏訪神社
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開港記念碑
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神楽殿
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石祠
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拝殿
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社号額
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本殿(覆殿)
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御霊神社(仮宮跡)
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玉川碑跡
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水神社(旧社地)
見どころ
■二の鳥居
狛江市指定重宝。慶安4年(1651)石谷貞清が奉納した市内最古の石鳥居。小ぶりで、世田谷区の喜多見氷川神社にある承応3年(1654)寄進のものとよく似ている。
石谷貞清は当地を領した石谷清政の弟で、島原の乱や慶安の変で活躍し、江戸北町奉行を務めた旗本である。
■開港記念碑(故正四位上左近衛中将井伊直弼公敬慕碑)
彦根藩主で大老を務めた井伊直弼の功績と、井伊家に儒者として仕えた小町雄八の遺徳を顕彰するため、明治34年(1901)に建立された高さ約4mの石碑。井伊直弼を顕彰する碑としては初めてのものであるという。和泉村の一部が井伊家の所領であったこと、小町雄八が和泉村の出身だったことなどによるという。平成27年、狛江市の重宝に指定された。
■玉川碑跡
東京都指定旧跡。伊豆美神社の西方約400mの神社所有地(中和泉4)にある。
元の玉川碑は、文化2年(1805)元土浦藩士・平井薫威によって建立された。『万葉集』の東歌の歌碑で、碑文は松平定信の筆であったが、文政12年(1892)洪水で流失した。
大正11年(1922)定信を敬慕する三重県の篤志家・羽場順承が碑の拓本を入手して再建を計画、渋沢栄一に協力を求めた。同年、東京府が碑の所在地を認定し、大正13年(1924)除幕式が行われた。
メモ
住宅地の中に鎮守の森がある。社殿は府中の大國魂神社と同じく北向きで、北に向かって約120mの参道が延びる。細長い境内なのだが、緑が多いため、実際より広く感じられる。
初めての参拝時に驚いたのは井伊直弼の顕彰碑。なぜ狛江にというのも不思議だったが、明治に井伊直弼の顕彰碑を建てるというのは大変なことだと思われたからだ。調べてみると、井伊直弼を顕彰する碑としては最初に建てられたものだとのこと。
なお、当社は調布市の式内論社・虎狛神社を兼務しており、御朱印をいただくことができる。
伊豆美神社の概要
名称 | 伊豆美神社 |
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旧称 | 六所宮 六所明神社 |
御祭神 | 大国魂大神〔おおくにたまのおおかみ〕(大国主尊) 〈一の宮〉 小野大神〔おののおおかみ〕 〈二の宮〉 小河大神〔おがわのおおかみ〕 〈三の宮〉 氷川大神〔ひかわのおおかみ〕 〈四の宮〉 秩父大神〔ちちぶのおおかみ〕 〈五の宮〉 金鑚大神〔かなさなのおおかみ〕 〈六の宮〉 杉山大神〔すぎやまのおおかみ〕 〈相殿〉 水波能咩大神〔みずはのめのおおかみ〕 |
鎮座地 | 東京都狛江市中和泉三丁目21番8号 |
創建年代 | 寛平元年(889) |
社格等 | 旧郷社 |
例祭 | 9月敬老の日の前日 |
神事・行事 | 1月1日/歳旦祭 2月3日/節分祭 2月初午日/初午祭 2月20/祈年祭 8月1日/諏訪八雲神社例祭 9月15日/靖國神社例祭 11月20日/新嘗祭 12月31日/大祓祭・除夜祭 |
文化財 | 〈都旧跡〉玉川碑跡 |
交通アクセス
□小田急小田原線「狛江駅」より徒歩約13分、またはバス
■小田急バス多摩川住宅中央行き「南和泉」下車徒歩2分
□小田急小田原線「和泉多摩川駅」より徒歩約15分
□京王線「調布駅」よりバス
■北口より小田急バス狛江駅北口行き「狛江市立緑野小学校」下車約8分
■南口より小田急バスつつじヶ丘駅南口行き「狛江市立緑野小学校」下車約8分