大國魂神社

大國魂神社

大國魂神社は、武蔵国の総社。出雲臣の同族が武蔵の国造に任じられて以来、大國魂大神を武蔵の国魂の神として奉斎した。大化の改新後、国衙の斎場となり、国内の諸神を祀って総社とした。さらに国内著名の六社の神を祀り、総社六所宮・六社明神と称されるようになった。源頼朝の崇敬を受け、徳川氏は朱印領500石を寄進した。

正式名称 大國魂神社〔おおくにたまじんじゃ〕
御祭神 大國魂大神 国内諸神 御霊大神 小野大神 小河大神 氷川大神 秩父大神 金佐奈大神 杉山大神
社格等 旧官幣小社 元准勅祭社 式内論社 武蔵国総社 別表神社
鎮座地 東京都府中市宮町3-1 [Mapion|googlemap]
最寄り駅 府中(京王)
府中本町(JR)
公式サイト https://www.ookunitamajinja.or.jp/
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御朱印

  • 大國魂神社の御朱印

    (1)

  • 大國魂神社の御朱印

    (2)

  • 大國魂神社の御朱印

    (3)

(1)平成16年拝受の御朱印。中央の朱印は「大國魂神社印」、左下は「大國魂神社社務所印」。

(2)平成26年拝受の御朱印。朱印・揮毫ともに平成16年のものと同じ。

(3)令和元年拝受の御朱印。朱印・揮毫ともに平成16年のものと同じ。

昔の御朱印

江戸時代の納経帳

  • 大國魂神社の納経

    (1)

  • 武蔵国府八幡宮の納経

    (2)

(1)文政4年(1821)の納経。揮毫は「奉納経」「月番 社僧」「武州 府中 総社六所宮」。中央の宝印は梵字なのだが、よくわからない。右上、右下の印も判読できない。

(2)同じ日の武蔵国府八幡宮の御朱印。揮毫は「奉納経」「同 社僧」「同所 正八幡宮」。中央の法印は八幡宮の本地である阿弥陀如来の種字「キリーク」のようである。右上・右下の印は六所宮のものと同じようだが、判読できない。これも(1)と同時に大國魂神社(六所宮)でいただいたもののようだ。

明治の順拝帳

  • 大國魂神社の御朱印

    (3)

  • 武蔵国府八幡宮の御朱印

    (4)

(3)明治17年の御朱印。揮毫は「北多磨郡府中」「武蔵國総社 大國魂神社」。中央の朱印は「総社政所」、左下の印は「大國魂神社宿直所印」。

(4)明治17年、(1)と同日の武蔵国府八幡宮の御朱印。揮毫は「同国同郡同所」「八幡神社」。朱印は(1)と同じで、中央が「総社政所」、左下が「大國魂神社宿直所印」。大國魂神社の社務所で、大國魂神社の御朱印と一緒に拝受したもののようである。

昭和の御朱印

  • 大國魂神社の御朱印

    (5)

  • 大國魂神社の御朱印

    (6)

  • 大國魂神社の御朱印

    (7)

(5)昭和5年頃の御朱印。中央上の朱印は「官社國魂大神」、下は「大圀魂神社々務所印」。右上に「東京府下府中町鎮座」。

(6)昭和9年頃の御朱印。中央上の印は「大國魂神社」、下は「東京府府中町官幣小社大國魂神社社務所」。

(7)昭和16年の御朱印。中央の朱印は「大國魂神社印」で、現在のものと同じようである。昭和17年発行の『惟神の礎』にもこの印が掲載されている。

御由緒

大國魂神社は武蔵国の総社で、古くは総社六所宮、六所明神などと称した。大國魂大神を武蔵国の国魂の神として奉斎したもので、景行天皇41年(111)5月5日、大神の託宣により鎮座したと伝えられる。天穂日命の後裔で出雲臣の同族である兄多毛比命が武蔵国造に任じられて以来、歴代の国造が奉仕したという。

大化の改新の後、この地に武蔵国の国府が置かれ、当社は国衙の斎場とされた。また、国司による国内諸社の奉幣巡拝、神事執行の便宜を図るため、国内の諸神を配祀。これが武蔵総社の起源である。

さらに、武蔵国内の著名な六社の神を本殿の両側に祀り、六所宮と称されるようになった。

一之宮には多摩市の小野神社(小野大神、一説に府中市住吉町の小野神社)、二之宮にあきる野市の二宮神社(小河大神)、三之宮にさいたま市大宮区の氷川神社(氷川大神)、四之宮に秩父市の秩父神社(秩父大神)、五之宮に児玉郡神川町の金鑽神社(金佐奈大神)、六之宮に横浜市緑区の杉山神社(杉山大神、他に港北区内の杉山神社など諸説あり)を祀る。

ただし、江戸時代にはその由緒は忘れられ、『江戸名所図会』などを見ると、延喜式神名帳所載の大麻止乃豆乃天神社〔おおまとのつのてんじんじゃ〕と考えられていたようだ(※現在、大麻止乃豆乃点神社は、稲城市の大麻止乃豆乃天神社や青梅市の武蔵御嶽神社が有力な論社と考えられており、大國魂神社は式内社であることを主張していない)。

寿永元年(1182)源頼朝は葛西三郎清重を遣わして北条政子の安産の祈祷を行わせ、無事頼家が誕生すると、礼幣として神馬や太刀などを奉納した。文治2年(1186)平賀義信を奉行として社殿を造営。その後、貞永元年(1232)にも武藤資頼を奉行として社殿の修造が行われた。

天正18年(1590)徳川家康が江戸に入府すると、当社が武蔵国の総社であることから深く崇敬し、朱印領500石を寄進、社殿その他の造営を行った。現在の社殿は寛文7年(1667)徳川家綱の命により久世広之が造営したものである。

明治元年(1868)勅祭社に準じ、明治4年(1871)社号を大國魂神社に改める。明治7年(1874)県社に列格し(当時は神奈川県だった)、明治18年(1885)官幣小社に昇格した。

5月5日の例大祭は武蔵の国府祭を起源としており、「くらやみ祭」の名で知られる。かつては深夜、町中の明かりが消された暗闇の中を、神輿が静かに御旅所まで渡御したことに由来する。御旅所から還御のときは、町中に明かりが灯されてさながら昼のように明るい中、勇ましく神輿を担いだという。

江戸時代は神領民によって奉仕されていたが、明治以降は府中の町衆が担うようになった。府中近郊のみならず旧武蔵国内各地に講中が組織され、祭を支えていた。

しかしトラブルも多かったため、昭和30年代になると午後4時に出御する昼間の祭となってしまった。平成14年(2002)午後6時出発に改められ、約40年ぶりに「くらやみ祭」の名にふさわしい祭となった。

武蔵国府八幡宮

武蔵国府八幡宮

武蔵国府八幡宮は、大國魂神社の東約1kmに鎮座する。聖武天皇の御代、各国に創建された一国一社の八幡宮であると伝えられる。御祭神は応神天皇。現在は大國魂神社の所管社となっている。

山城国の石清水八幡宮が平安京の守護神であるように、諸国の八幡宮も国府の守護神として祀られたため、当社は国府のあった西を向いて鎮座している。

写真帖

  • 大鳥居

    大鳥居

  • 宮乃咩神社

    摂社 宮乃咩神社

  • 手水舎

    手水舎

  • 鼓楼

    鼓楼

  • 神楽殿

    神楽殿

  • 中雀門

    中雀門

  • 松尾神社

    末社 松尾神社

  • 巽神社

    末社 巽神社

  • 住吉神社・大鷲神社

    末社 住吉神社・大鷲神社

  • 東照宮

    末社 東照宮

  • 拝殿

    拝殿

  • 本殿

    本殿

  • 御旅所

    御旅所

  • 坪宮

    境外摂社 坪宮

武蔵国府八幡宮

  • 参道入口

    参道入口

  • 参道

    参道を電車が横切る

  • 中門

    中門

  • 本殿

    本殿

見どころ

■本殿
三間社流造の社殿三棟を横に連結した三殿一棟の九間社流造で、相殿造ともいう特異な形式である。外部総朱塗りで、元は檜皮葺であったが、幕末に銅板葺に改められた。東京都の有形文化財に指定されている。
中殿に大國魂大神・国内諸神・御霊大神、東殿に小野大神・小河大神・氷川大神、西殿に秩父大神・金佐奈大神・杉山大神を祀る。

■宮乃咩神社
摂社。源頼朝が妻・北条政子の安産祈願をしたことで知られる。7月に行われる宮乃咩神社例祭は青袖・杉舞祭と称し、かつては源頼朝の命により、武蔵国中の神職が参集して舞楽を奏したという。

■東照宮
末社。徳川家康は現在の府中本町駅付近に鷹狩りの屋敷を建てるなど当社との縁が深かった。家康の霊輿が久能山から日光に向かう途中、府中の斎場で一泊し、六所宮の宮司が祭祀を務めた。これを後世に伝えるため、元和4年(1618)徳川秀忠の命により奉斎された。

■坪宮
境外摂社。国造神社とも称し、兄多毛比命を祀る。くらやみ祭では、すべての神輿が出御した後、坪宮で奉幣が行われる。

■馬場大門欅並木
源頼義・義家父子は、前九年の役で奥州に赴く途中、当社で戦勝を祈願した。その奉賽として、凱旋時に欅の苗1,000本を寄進したのが、馬場大門の欅並木の起源と伝えられる。当時の木は残っておらず、現存する最古の木は樹齢600年である。慶長年間(1596~1615)徳川家康が関ヶ原と大坂の陣の戦勝の御礼として欅を補植、馬場を寄進した。大正13年(1924)国の天然記念物に指定されている。

メモ

旧甲州街道に面して広大な神域が広がる。府中の中心部にあるためか、平日でも参拝者が多い。府中の町自体が大国魂神社を中心として栄えてきた歴史も反映している思われる。
初めての参拝は平成14年のくらやみ祭。翌年から数年間府中に住んだため、初詣をはじめ、たびたび参拝するようになった。

大國魂神社の概要

名称 大國魂神社
通称 武蔵総社 六社さま
旧称 総社六所宮 府中六所宮 六社明神
御祭神 〈中殿〉
大國魂大神〔おおくにたまのおおかみ〕
国内諸神
御霊大神〔ごりょうのおおかみ〕
〈東殿〉
小野大神(天下春命・瀬織津比咩命・倉稲魂命)
小河大神(国常立尊)
氷川大神(須佐之男命・稲田姫命・大己貴命)
〈西殿〉
秩父大神(八意思金命・知知夫彦命・天之御中主神)
金鑚大神(天照大神・素戔嗚尊・日本武尊)
杉山大神(五十猛命・大日孁貴命・素盞嗚尊)
鎮座地 東京都府中市宮町三丁目1
創建年代 景行天皇41年(111)
社格等 旧官幣小社 元准勅祭社 式内社(論) 武蔵国総社 別表神社
延喜式 武蔵国多磨郡 大麻止乃豆乃天神社
例祭 5月5日(くらやみ祭)
※4月30日/品川海上禊祓式
※5月1日/祈晴祭
※5月2日/御鏡磨式
※5月3日/競馬式
※5月4日/御綱祭・萬燈大会・山車巡行
※5月5日/例祭・神輿渡御
※5月6日/神輿還御・鎮座祭
神事・行事 1月1日/歳旦祭・年祝祭・初太鼓打初式祭
1月2日/海幸山幸祭
1月3日/元始祭
1月15日/日吉神社例祭
2月3日/節分祭
2月11日/建国祭(紀元節祭)
2月15日/坪宮例祭
2月17日/祈年祭
2月25日/天神社例祭
3月4日/氷雨祭・稲荷神社例祭
3月10日/春季祭
3月春分の日/春季皇霊祭遙拝式
4月1日/滝神社例祭・巽神社例祭
6月1日/東照宮例祭
6月夏至の日/夏至祭
6月30日/大祓式
7月12日/宮乃咩神社例祭・青袖祭
7月13日/杉舞祭
7月20日/すもも祭
8月1日/八朔相撲祭
8月7日/風祭
8月15日/国府八幡宮例祭
9月13日/松尾神社例祭
9月秋分の日/秋季皇霊祭遙拝式
9月24日/忠魂碑慰霊祭
9月27日・28日/秋季くり祭
10月1日/住吉神社例祭
11月3日/文化祭
11月酉の日/大鷲神社例祭(酉の市)
11月23日/新嘗祭
12月16日/水神社例祭
12月冬至の日/冬至祭
12月27日/煤払祭
文化財 〈重要文化財〉狛犬一対〈天然記念物〉馬場大門欅並木 〈重要美術品〉木彫仏像5体 古鏡4面 古写本3種 〈史跡〉武蔵国府跡 〈選択無形文化財〉武蔵府中の太鼓講の習俗 〈都有形文化財〉本殿 〈都旧跡〉府中高札場 〈都無形民俗文化財〉武蔵府中のくらやみ祭
巡拝 東京五社

交通アクセス

□京王線「府中駅」より徒歩5分
□JR武蔵野線・南武線「府中本町駅」より徒歩5分


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