八坂神社は、全国の八坂神社・八雲神社など牛頭天王信仰に関わる神社の総本社。江戸時代以前は祇園社、感神院などと称された。社伝では、斉明天皇6年(656)に高句麗の調進副使・伊利之使主が新羅の牛頭山の素戔嗚尊を勧請したことに始まるという。7月に行われる祇園祭は日本三大祭の一に数えられる。
正式名称 | 八坂神社〔やさかじんじゃ〕 |
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旧称 | 祇園社〔ぎおんしゃ〕 |
御祭神 | 素戔嗚尊 〈配祀〉櫛稲田姫命 神大市比売命 佐美良比売命 八柱御子神 八島篠見神 五十猛神 大屋比売神 抓津比売神 大年神 宇迦之御魂神 大屋毘古神 須勢理毘売命 稲田宮主須賀之八耳神 |
社格等 | 二十二社 旧官幣大社 別表神社 |
鎮座地 | 京都市東山区祇園町北側625 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 祇園四条(京阪) 河原町(阪急) バス停:祇園 |
公式サイト | http://www.yasaka-jinja.or.jp/ |
御朱印
(1)平成16年拝受の御朱印。中央の朱印は「八坂神社」、その上に三つ巴と五瓜唐花の神紋。揮毫は八坂神社の旧称である「祇園社」。
(2)平成27年拝受の御朱印。朱印・揮毫ともに平成16年のものと同じ。
限定御朱印
(1)青龍の御朱印、平成21年拝受。青龍が描かれた台紙に墨書・押印されたもの。墨書は「青龍」、朱印は「八坂神社」。
(2)祇園御霊会(祇園祭)の御朱印、平成24年拝受。山鉾が描かれた台紙に墨書・押印されたもの。墨書は「御霊会」、朱印は「八坂神社」。7月のみ授与される。祇園祭の宵山では、各山鉾の御朱印も授与されている。
(3)平成29年恵方の御朱印、拝受は平成28年12月。歳徳神が描かれた台紙に墨書・押印されたもの。墨書は「歳徳神」、朱印は「八坂神社」。授与は12月13日から2月3日まで。
(4)無病息災の御朱印、令和2年拝受。新型コロナウイルス感染拡大により授与された期間限定の御朱印で、茅の輪の神事に因む。墨書は「祈/無病息災」。中央の朱印は茅の輪と「蘇民将来子孫」。
(5)疫病退散の御朱印、令和2年拝受。(4)と同じく新型コロナウイルス感染拡大により授与された期間限定の御朱印で、朱印は同じもの。墨書は「祈/疫病退散」。
(4)三社詣での御朱印、平成28年拝受。北向蛭子社の宵蛭子・本蛭子にのみ、専用の色紙に御本社・北向蛭子社・大国主社の朱印をいただくことができる。
摂末社の御朱印
(1)摂社・悪王子社の御朱印、平成21年拝受。中央の朱印は「悪王子社」。
(2)境外摂社・冠者殿社の御朱印、平成21年拝受。中央の朱印は「冠者殿社」。
(3)境外末社・又旅社(御供社)の御朱印、平成21年拝受。中央の朱印は「八坂神社御供社」。
(4)末社・美御前社の御朱印、平成27年拝受。中央の朱印は「美御前社」。拝受当時は正月三が日のみの限定御朱印だった。
(5)摂社・疫神社の御朱印、平成31年拝受。書き置き。中央の朱印は「疫神社」。
(6)末社・北向蛭子社の御朱印、平成31年拝受。書き置き。中央の朱印は「北向蛭子」。
(7)末社・大国主社の御朱印、平成31年拝受。書き置き。中央の朱印は「大國主社」。
(8)末社・大神宮社の御朱印、平成31年拝受。書き置き。中央の朱印は「大神宮社」。
(9)末社・玉光稲荷社の御朱印、平成31年拝受。書き置き。中央の朱印は「玉光稲荷社」。
(10)末社・刃物神社の御朱印、平成31年拝受。書き置き。中央の朱印は「刃物神社」。
昔の御朱印
江戸・明治の御朱印
(1)明和6年(1769)の納経(御朱印)。墨書は「奉納經 全/洛東 祇園社/本願 成就院/役者/行者丈」。中央の朱印は「佛法僧寶」の三宝印か。左下の印は判読できない。
(2)嘉永5年(1852)の納経(御朱印)。墨書は「奉納経/勅願所/祇園社 廣殿/本願 成就院/役者」。中央の朱印は火炎宝珠の中に梵字が書かれているが、判読できない。下、左下の印も判読できない。
(3)明治13年の御朱印。墨書は「八坂神社/社務所」。中央の朱印は「八坂神社」か。右上の印は「官幣中社」、左下は「社務所」。
大正・昭和の御朱印
(1)大正9年の御朱印。中央の朱印は「八坂神社」、左下は「社務所」。どちらも明治に使われた印とよく似ているように思われる。
(2)大正10年の御朱印。小判の集印帳に押されたもので、御朱印というより記念印・スタンプのようなものかもしれない。「官幣大社 八坂神社 参拝記念章」。
(3)大正10年代の御朱印。中央と左下の朱印は(1)と同じ「八坂神社」「社務所」。右上は「官幣大社」。
(4)昭和2年の御朱印。上の朱印は「京都祇園」、下は「官幣大社 八坂神社 参拝記念」。
(5)昭和5年の御朱印。上の朱印は「京都祇園」、下は「官幣大社 八坂神社」。
(6)昭和10年の御朱印。上の朱印は「官幣大社 八坂神社」だが(5)とは少し書体が違っている。下は「京都祇園」。
(7)昭和10年(1935)の御朱印。朱印は(6)と同じ「官幣大社 八坂神社」。
(8)昭和10年(1935)の御朱印。朱印は(4)と同じ「官幣大社 八坂神社 参拝記念」「京都祇園」。
(9)昭和10年(1935)の御朱印。上の朱印は(2)と同じ「官幣大社 八坂神社 参拝紀念章」。中央の朱印は唐花木瓜の神紋。下は「八坂神社」。(7)~(9)は同一の集印帖に連続して押されており、新旧の御朱印を一通り押してもらったものと思われる。
御由緒
京都・祇園の八坂神社は、古くは祇園社・祇園感神院・祇園牛頭天王などと称し、祇園天神・牛頭天王を祀っていた。全国の祇園社・牛頭天王社・天王社(現在は八坂神社・八雲神社須賀神社などと称するところが多い)の総本社である。現在は祭神を素戔嗚尊とするが、神仏分離以前は牛頭天王(祇園天神とも)であった。
八坂神社=祇園社の創祀についてはいくつかの説がある。社伝では斉明天皇6年(656)に高句麗の調進副使・伊利之使主が新羅の牛頭山の素戔嗚尊を迎えて山城国愛宕郡八坂郷に祀ことに始まるという。
また一説には、貞観18年(876)僧円如が播磨国広峯の牛頭天王を遷し、天慶年間(877~84)藤原基経が精舎を建立して観慶寺(別名・祇園寺)と称したとし、あるいは延長4年(926)ある修行僧が祇園天神堂を建てたともいう。
八坂神社の公式サイトによれば、祇園社の前身は観慶寺(祇園寺)境内にあった天神堂だとする。いつの頃からか観慶寺は衰微し、天神堂が信仰を集めるようになったという。
当初は興福寺の別院とされたが、天延2年(974)延暦寺の別院となった。
承平5年(935)の太政官符によれば、天神堂の祭神は天神・婆梨女・八王子であった。その後、牛頭天王が祀られるようになったようである。牛頭天王は武塔天神とも称し、祇園精舎の守護神とされた。さらに神道では素盞嗚尊とされ、本地は薬師如来とされる。仏教・道教・陰陽道・神道のさまざまな神格を習合し、強大な神威を誇る神となった。さらに蘇民将来の説話により、疫病除けの神として朝野の絶大な信仰を集め、全国に祇園信仰が広まった。
延喜式には列していないが、二十二社の一とされている。後三条天皇以後は伏見稲荷大社とともに行幸・御幸が行われるようになった。
現在の祇園祭につながる祇園御霊会は、貞観11年(869)疫病退散のために神泉苑で行われた御霊会を起源とする。当初は疫病が流行したときに行われたが、後に祇園社の祭礼として毎年行われるようになった。江戸の天下祭(日枝神社・神田神社)、大阪の天神祭(大阪天満宮)とともに日本三大祭りの一とされる。(祇園祭・山鉾の御朱印)
室町時代になると豪華な山や鉾が出るようになった。応仁の乱により中絶したが、明応5年(1496)再興した。ただし、それ以前の規模に復することはできなかったようである(中世京都の町衆の力、また、応仁の乱による被害の大きさを思い知らされる)。
江戸時代には朱印領140石を寄進された。また、門前町は遊里として繁栄した。
慶応4年(1868)神仏分離令に伴い、神祇官の通達により、社名を地名から八坂神社と改めた。そのため、各地の祇園社も社名を改めることとなり、本社に倣って八坂神社としたり、素盞嗚尊に因んで八雲神社・須賀神社・素盞嗚神社などとしたりした。
明治4年(1871)官幣中社に列格。式外社ではあるが、中世以降、伏見稲荷大社とほぼ同格の待遇を受けてきたことから明治6年(1873)官幣中社の筆頭とされ、大正4年(1915)には官幣大社に昇格した。
因みに大坂の今宮戎神社は、八坂神社の氏子が今宮に移り住んだとき、末社・北向蛭子社を勧請したことに始まるという(ただし、今宮戎神社では聖徳太子と四天王寺に縁の由緒を説く)。その縁から、祇園祭には幣帛が、正月には鯛が今宮戎から奉納される。また、今宮戎神社の十日戎に先立つ献茶祭には八坂神社から御神水が供えられるという。
写真帖
メモ
かつて祇園社と呼ばれていたことは当然知っていたが、八坂神社という名が新しく創出されたものだということは知らなかった。全国に八坂神社があるので、それなりに歴史があるのだろうと思い込んでいたのだが。調べてみないと、危ないものである。
初めての参拝時は11月の休日で観光客が多く、しかも修復作業中だったので早々に参拝を済ませた(当時は御朱印という意識がなかった)。二回目は、出張の合間を縫って参拝と御朱印拝受のみ。三回目にして、早朝、ゆっくりと参拝し、境内を参観することができた。かなり早い時間だったが、近所の人と思われる人たちがポツポツと参拝に訪れていた。観光地としての八坂神社ではなく、地域の神様としての祇園さんの姿に触れたように思った。
八坂神社の概要
名称 | 八坂神社 |
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旧称 | 祇園社 祇園感神院 祇園天神 祇園牛頭天王 祇園大明神 |
御祭神 | 〈中御座〉 素戔嗚尊〔すさのおのみこと〕 〈東御座〉 櫛稲田姫命〔くしいなだひめのみこと〕 〈御同座〉 神大市比売命〔かむおおいちひめのみこと〕 佐美良比売命〔さみらひめのみこと〕 〈西御座〉 八柱御子神〔やはしらのみこがみ〕 八島篠見神〔やしまじぬみのかみ〕 五十猛神〔いたけるのかみ〕 大屋比売神〔おおやひめのかみ〕 抓津比売神〔つまつひめのかみ〕 大年神〔おおとしのかみ〕 宇迦之御魂神〔うかのみたまのかみ〕 大屋毘古神〔おおやびこのかみ〕 須勢理毘売命〔すせりびめのみこと〕 〈傍御座〉 稲田宮主須賀之八耳神〔いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ〕 |
鎮座地 | 京都市東山区祇園町北側625番地 |
創建年代 | 伝・斉明天皇6年(656)/貞観18年(876)/延長4年(926) |
社格等 | 式外社 二十二社 旧官幣大社 別表神社 |
例祭 | 6月15日 |
神事・行事 | 1月1日/白朮(おけら)祭 1月3日/元始祭・初能・かるた初め式 1月7日/若菜祭 1月9日/蛭子船巡行(宵蛭子) 1月10日/蛭子社祭 2月2日/節分祈願祭 2月11日/紀元祭 3月19日/祈年祭 3月春分の日/春分祭並春季皇霊祭遙拝式・祖霊社春季祭 3月二の午日/玉光稲荷社春季祭 3月27日/又旅社例祭 4月上旬/初桜能 4月下旬日曜日/又旅社春季祭並蘇民将来祈願祭 5月立夏/御衣祭 5月下旬/御田祭 6月14日/御神楽奉納 6月15日/悪王子社祭 6月30日/大祓式 7月1日~31日/祇園祭 ・7月1日/吉符入り ・7月17日/山鉾巡行 ・7月24日/花傘巡行 ・7月31日/疫神社夏越祭 8月7日/七夕祭 旧8月仲秋/祇園社観月祭 10月20日/冠者殿社祭・蛭子祭 10月下旬日曜日/又旅社秋季祭並神恩感謝祭 11月3日/明治祭・舞楽奉納 11月立冬/御衣祭 11月3日/舞楽奉納 11月第3日曜日/美御前社美容理容感謝祭 11月23日/新嘗祭 12月28日/鑚火式 12月31日/大祓式・除夜祭・今宮戎神社鯛奉納 |
文化財 | 〈重文〉西楼門 本殿 末社蛭子社社殿 石鳥居 木造狛犬 太刀(銘:豊後国行平作) 太刀3口(各銘:出羽大掾藤原国路金具御大工躰阿弥 祇園社御太刀 承応三甲午年九月吉日) 鉦鼓1口(銘:長承三年)附:鉦鼓1口(無銘) 紙本著色祇園社絵図 祇園執行日記9冊(附:祇園社記等59冊) 八坂神社文書(2,205通)89巻・40冊・1帖・1通 算額 |
巡拝 | 神仏霊場116番 京都五社めぐり |
交通アクセス
□京阪本線「祇園四条駅」より徒歩5分
□阪急京都線「河原町駅」より徒歩8分
□JR・近鉄「京都駅」よりバス
■市バス100系統・206系統「祇園」下車すぐ
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[…] 八坂神社(祇園社) ■御祭神:素戔嗚尊/配祀:櫛稲田姫命・神大市比売命・佐美良比売命・八柱御子神・八島篠見神・五十猛神・大屋比売神・抓津比売神・大年神・宇迦之御魂神・大 […]
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