阿豆佐味天神社は延喜式神名帳所載の多磨郡八座の一で、古くは武州村山郷の総鎮守であった。創建年代は不詳だが、寛平4年(892)上総介高望王が造営したという伝承がある。村山党をはじめとする武将たちの崇敬が深く、北条氏照は社領5貫文を寄進、徳川家光は朱印地12石を寄せた。
正式名称 | 阿豆佐味天神社〔あづさみてんじんじゃ〕 |
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御祭神 | 少彦名命 素戔嗚命 大己貴命 |
社格等 | 式内社 旧郷社 |
鎮座地 | 東京都西多摩郡瑞穂町殿ヶ谷1008 [Mapion|googlemap] |
最寄り駅 | 箱根ヶ崎(JR八高線) バス停:殿ヶ谷、岸 |
御朱印
(1)平成17年拝受の御朱印。朱印は「延喜式内阿豆佐味天神社印」。
※平成30年3月時点で、御朱印の対応はしていないとのこと。
昔の御朱印
(1)大正7年(1918)の御朱印。中央の朱印は「式内阿豆佐味天神社」、左下は「郷社阿豆佐味天神社社務所之印」。
御由緒
御祭神
■少彦名命
■素戔嗚命
■大己貴命
『新編武蔵風土記稿』には、祭神は少彦名命で、神体はなく画像を掛けるとある。『神社明細帳』は、主祭神:少彦名命、配祀:大己貴命・素戔嗚命としている。
御由緒(歴史)
阿豆佐味天神社は狭山丘陵の南麓に鎮座する古社で、延喜式神名帳所載の多摩郡八座の一。往古は村山郷の総鎮守であった。
阿豆佐味という社名については、梓弓起源説、楸(きささげ、古名あずさ)起源説、湧水(阿豆=甘い、佐=味の接頭語、味=水で、甘い水の意)起源説など諸説ある。
創建年代は詳らかでない。寛平4年(892)桓武平氏の祖・高望王(桓武天皇の曾孫、一説には孫ともいう)の創建という伝承があるが、式内社であることが確実であるため、それ以前から鎮座していたことは間違いない。『神社明細帳』は社殿の造営とする。鎮守府将軍・平良将(高望王の子で、平將門の父)が東夷征討の際に戦勝を祈願し、その奉賽として寄進したたちと二股の鞭を蔵するという。
中世以降も武士の崇敬が篤く、武蔵七党の一・村山党(高望王の子孫で秩父平氏の流れを汲む)の氏神として崇敬を受けた。因みに、殿ヶ谷の地名は、村山党の居館があったことに由来するとされる。文明14年(1482)領主の村山土佐守らの寄進により社殿を修復した。
滝山城主・北条氏照は社領5貫文を寄進。江戸時代になると、徳川家光より朱印地12石を寄せられた。
明治6年(1873)郷社に列格。明治19年(1886)古社として内務省から保存資金を下賜された。明治27年(1894)には現社殿の改修が行われている。
阿豆佐味天神社から勧請された神社
立川市砂川の阿豆佐味天神社は、寛永6年(1629)岸村(武蔵村山市岸)の村野氏(後の砂川氏)が砂川村を開くに当たり、当社から御分霊を勧請したものである。村野氏は村山党の後裔を称していた。
立川市西砂町の阿豆佐味天神社は、享保3年(1718)頃、殿ヶ谷村の人々が殿ヶ谷新田を開発した際、その鎮守として勧請された。
小平市小川の小平神明宮は、小川村を開発した岸村出身の小川九郎兵衛が、寛文元年(1661)岸村神明ヶ谷戸に鎮座していた阿豆佐味天神社の摂社・神明社を勧請したものである。
また小平市仲町の熊野宮は、小川九郎兵衛が岸村岸組に鎮座していた阿豆佐味天神社の摂社・熊野社を小川村の屋敷内に勧請、宝永元年(1704)子孫の小川弥市が小川新田を開くに際し、一本榎の下に遷座し、新田の守護神としたと伝えられる。
摂末社
『平成「祭」データ』には奥宮(高皇産霊神)、神明宮(天照皇大神)、八幡社(誉田別命)、熊野社(泉津事解男神)、雷神社(鳴雷神)、正一位稲荷神社(宇迦之御魂神)、厳島社(市杵島姫命)、須賀神社(素盞嗚命)、甲子社(大国主命)が記載されている。
夏に行われる天王祭は須賀神社の例祭である。
写真帖
メモ
瑞穂町殿ヶ谷と武蔵村山市岸のほぼ境に鎮座する。青梅街道の市境から少し西に行くと参道の入口がある。社務所でいただいた由緒書きにある文化文政年間の絵図の雰囲気をよく残しているように思う。
2度伺ったが宮司さんがご不在。3度目は電話を入れ、時間を打ち合わせて伺った。何度も足を運ばせたといろいろお気遣いをいただき、かえって恐縮してしまった。
阿豆佐味天神社の概要
名称 | 阿豆佐味天神社 |
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御祭神 | 少彦名命〔すくなひこなのみこと〕 素戔嗚命〔すさのおのみこと〕 大己貴命〔おおなむちのみこと〕 |
鎮座地 | 東京都西多摩郡瑞穂町殿ヶ谷宮前1008番地 |
創建年代 | 寛平4年(892)? |
社格等 | 式内社 旧郷社 |
延喜式 | 武蔵國多磨郡 阿豆佐味天神社 |
例祭 | 3月4日 |
神事・行事 | 1月1日/元旦祭 2月節分/節分祭 2月第1日曜日/初午祭 2月20日/祈年祭 6月30日/大祓 7月中旬土・日曜日/天王祭(神幸祭) 11月25日/新嘗祭 12月1日/神明社例祭 12月31日/大祓 甲子の日/甲子社例祭 ※『平成「祭」データ』による |
交通アクセス
□JR八高線「箱根ヶ崎駅」より徒歩約25分、またはバス
■立川バス立川駅北口・昭島駅北口・イオンモール行き「殿ヶ谷」下車徒歩5分
□JR中央線「立川駅」よりバス
■立川バス箱根ヶ崎駅東口行き「岸」下車徒歩5分
更新履歴
2006.01.29.公開
2006.01.29.改訂
2018.03.14.改訂、WPに移行、昔の御朱印を追加