明治の終わりから昭和の初めに見られる御朱印の押された絵はがきの紹介。ここでは中四国及び九州の寺社の絵葉書を紹介する。
鳥取県
宇倍神社(鳥取市)
■宇倍神社
所在地:鳥取県岩美郡宇倍野村宮下(鳥取市国府町宮下)
創建年代:大化4年(648)
社格:国幣中社(明治4年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「国幣中社宇倍神社正面」
朱印:「宇倍神社社務所之印」
大神山神社 奥宮(西伯郡大山町)
■大神山神社 奥宮
所在地:鳥取県西伯郡大山村大山(西伯郡大山町大山)
創建年代:不詳
社格:国幣小社(明治4年列格、奥宮は明治8年神仏分離により大神山神社奥宮となる)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「伯耆国国幣小社大神山神社奥宮大山本社ノ銅鳥居」
朱印:「大山本社」。当時の御朱印に押されていた例がある。
■大神山神社の御朱印
名和神社(西伯郡大山町)
■名和神社
所在地:鳥取県西伯郡名和村名和(西伯郡大山町名和)
創建年代:承応・明暦の頃(1652~58)
社格:別格官幣社(明治11年昇格)←県社(明治7年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「別格官幣社名和神社 全景」。
朱印:「名和神社」。当時の集印帖に押されている例がある。
■名和神社の御朱印
島根県
出雲大社(出雲市)
■出雲大社
所在地:島根県簸川郡杵築町(出雲市大社町杵築東)
創建年代:神代
社格:官幣大社(明治4年列格)
発行時期:明治40年~大正7年。ただし消印は大正12年。
絵はがき:「稲佐浜」と「摂社因佐神社」。
朱印:「出雲大社」。御朱印として使われていた印である。
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「出雲大社本殿背面」。
朱印:「出雲大社」。当時の御朱印に押されている例がある。
■出雲大社の御朱印
玉若酢命神社(隠岐郡隠岐の島町)
■玉若酢命神社
所在地:島根県周吉郡磯村下西(隠岐郡隠岐の島町下西)
創建年代:不詳
社格:県社(明治5年列格)
発行時期:昭和8年~20年
絵はがき:「(隠岐国総社)県社玉若酢命神社社殿」
朱印:「玉若酢命神社参拝記念」。御朱印に使われていたか否かは確認できない。
美保神社(松江市)
■美保神社
所在地:島根県八束郡美保関村美保関(松江市美保関町美保関)
創建年代:不詳(奈良時代以前)
社格:国幣中社(明治18年昇格)←県社(明治7年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「美保神社 諸手船神事」。背後は昭和3年に建て替えられた旧拝殿。
朱印:「美保神社」。御朱印に使われていた印ではないかと思われるが、確認できない。
広島県
厳島神社(廿日市市)
■厳島神社
所在地:広島県佐伯郡厳島町(廿日市市宮島町)
創建年代:推古天皇元年(593)
社格:官幣中社(明治44年昇格)←国幣中社(明治4年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「厳島神社校倉」
朱印:「厳島神社御社」。御朱印として使われている印である。
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「厳島神社全景」
朱印:「厳島神社参拝紀念章」。御朱印に使われた例は確認できない。参拝紀念のスタンプのように使われた印であろう。
■厳島神社の御朱印
沼名前神社(福山市)
■沼名前神社
所在地:広島県沼隈郡鞆町後地(福山市鞆町後地)
創建年代:仲哀天皇2年(193)
社格:国幣小社(明治4年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「備後鞆の津 国幣小社 沼名前神社 本殿」。昭和50年に火災で焼失した旧拝殿。
朱印:「式内 国幣 沼名前神社」。御朱印として使われている印である。
■沼名前神社の御朱印
磐台寺(福山市)
■海潮山 磐台寺 ※通称/阿伏兎観音
所在地:広島県沼隈郡千年村能登原(福山市沼隈町能登原)
創建年代:正暦3年(992)
宗派:臨済宗妙心寺派
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「備後阿伏兎瀬戸ヨリ磐台寺ノ景」
朱印:「磐台」。当時の御朱印に押されている例がある。
■磐台寺の御朱印
山口県
赤間神宮(下関市)
■赤間宮(赤間神宮)
所在地:山口県下関市阿弥陀寺町
創建年代:建久2年(1191)
社格:官幣大社(昭和15年昇格)←官幣中社(明治8年)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「長門赤間関赤間宮所蔵宝物」。重要文化財(旧国宝)の長門本平家物語と戦災で焼失した旧国宝の紙本墨書懐古詩歌帖。
朱印:「赤間宮 参拝紀念」。参拝紀念のスタンプのようだが、当時の御朱印に押されている例がある。
■赤間神宮の御朱印
忌宮神社(下関市)
■忌宮神社
所在地:山口県豊浦郡長府町豊浦村(下関市長府宮の内)
創建年代:仲哀天皇8年(199)
社格:国幣小社(大正5年昇格)←県社(明治6年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「忌宮神社正面」
朱印:「長門長府 豊浦旧都 忌宮神社参拝紀念」。御朱印に使われた例は確認できない。参拝紀念の印であろう。
亀山八幡宮(下関市)
■亀山八幡宮
所在地:山口県下関市中之町
創建年代:貞観元年(859)
社格:県社(明治34年昇格)←郷社(明治7年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「下関亀山八幡宮境内」
朱印:八稜鏡に「長門 下関 亀山宮」。御朱印として使われていた印である。おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
住吉神社(下関市)
■住吉神社
所在地:山口県豊浦郡勝山村楠乃(下関市一の宮住吉)
創建年代:仲哀天皇9年(200)
社格:官幣中社(明治44年昇格)←国幣中社(明治4年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「長門一ノ宮官幣中社住吉神社所蔵国宝陳鐘」。重要文化財(旧国宝)の銅鐘。
朱印:神代文字で「スミノエ オホカミノ ミシルシ(住吉大神之御璽)」。御朱印として使われた印と思われるが、確認できない。
香川県
石清尾八幡宮(高松市)
■石清尾八幡神社(石清尾八幡宮)
所在地:香川県香川郡宮脇村宮脇(高松市宮脇町)
創建年代:延喜18年(918)
社格:県社(明治5年列格)
発行時期:明治40年以前。明治39年9月14日、15日のスタンプが押されている。
絵はがき:「石清尾八幡宮」「石清尾八幡鳥居」。大鳥居建設記念で発行された絵はがきのようである。
朱印:「石清尾神社印」。御朱印として使われた印と思われるが、確認できない。
金刀比羅宮(仲多度郡琴平町)
■金刀比羅宮
所在地:香川県仲多度郡琴平町
創建年代:不詳
社格:国幣中社(明治18年昇格)←国幣小社(明治4年列格)
発行時期:明治40年以前。消印は明治39年11月4日。
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「讃岐金刀比羅宮御本社」
朱印:「金刀比羅宮参拝印」。御朱印として使われている例がある。
発行時期:明治40年以前。
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「金刀比羅宮御神事場」。
朱印:「金刀比羅宮神札所印」。大正初めの集印帖に押された例がある。
発行時期:昭和8年~20年
絵はがき:「讃岐金刀比羅宮御本社」
朱印:「金刀比羅参拝記念印」。御朱印として使われた例は確認できない。参拝記念として作成された印であろう。
■金刀比羅宮の御朱印
善通寺(善通寺市)
■五岳山 善通寺
所在地:香川県仲多度郡善通寺町善通寺(善通寺市善通寺町)
創建年代:大同2年(807)
宗派:真言宗小野派別格本山→大本山→真言宗善通寺派総本山
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「(弘法大師御誕生所)屏風ヶ浦善通寺御影堂」。西院・誕生院の御影堂。
朱印:「讃岐国多度郡屏風浦弘法大師御誕生所善通寺誕生院之印」。善通寺誕生院の御朱印に使われている例がある。
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「屏風浦善通寺誕生院大樟並佐伯家ノ鎮守」。東院・伽藍の大楠(香川県指定天然記念物)と五社明神。
朱印:「弘法大師御誕生所讃岐屏風浦善通寺誕生院印」。善通寺誕生院の御朱印に使われている例がある。
■善通寺誕生院の御朱印
屋島寺(高松市)
■南面山 屋島寺
所在地:香川県木田郡潟元村(高松市屋島東町)
創建年代:天平勝宝6年(754)
宗派:真言宗御室派
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「屋島寺本堂 相生の松」。現在、本堂前の相生の松は枯死している。
朱印:右は「四國八十四番」、御朱印に使われていた印である。左の「源平古戦場」は観光地の記念スタンプではないだろうか。
■屋島寺の御朱印
福岡県
香椎宮(福岡市東区)
■香椎宮
所在地:福岡県糟屋郡香椎村香椎(福岡市東区香椎)
創建年代:神亀元年(724)
社格:官幣大社(明治18年昇格)←国幣中社(明治4年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「官幣大社香椎宮御神殿側面」。
朱印:「官幣大社 香椎宮」。御朱印として使われた例がある。おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
竈門神社(太宰府市)
■竈門神社
所在地:福岡県筑紫郡太宰府町内山(太宰府市内山)
創建年代:天武天皇2年(673)
社格:官幣小社(明治28年昇格)←村社(明治5年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「官幣小社竈門神社上宮拝所」
朱印:「宝満山竈門神社上宮参拝記念」。御朱印として使われた例は確認できない。
太宰府天満宮(太宰府市)
■太宰府神社(太宰府天満宮)
所在地:福岡県筑紫郡太宰府町宰府(太宰府市宰府)
創建年代:延喜19年(919)
社格:官幣中社(明治28年昇格)←官幣小社(明治15年昇格)←国幣小社(明治4年列格)
発行時期:明治40年以前
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「筑前太宰府神社正面」。
朱印:中央の印は「天満宮」、当時の御朱印に押されている例がある。右は「太宰府神社参拝記念」。
■太宰府天満宮の御朱印
筥崎宮(福岡市東区)
■筥崎宮
所在地:福岡県糟屋郡箱崎村箱崎(福岡市東区箱崎)
創建年代:延喜21年(921)
社格:官幣大社(大正3年昇格)←官幣中社(明治18年)←県社(明治4年列格)
発行時期:明治40年~大正7年。官幣大社に昇格した大正3年以前であろう。
絵はがき:「筥崎宮之箱松」
朱印:「官幣中社 筥崎宮」。官幣大社昇格以前に御朱印として使われていた印であろう。
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「官幣大社筥崎宮浜鳥居」
朱印:「筥崎宮印」。当時の御朱印に押されている例がある。
■筥崎宮の御朱印
和布刈神社(北九州市門司区)
■和布刈神社
所在地:福岡県門司市門司(北九州市門司区門司)
創建年代:仲哀天皇9年(200)
社格:県社(明治6年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「(和布刈神社ヨリ見タル)関門海峡」
朱印:「県社 速戸大神御璽」。御朱印として使われた印だと思われるが、確認できない。
発行時期:明治40年~大正7年
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「(和布刈神社ヨリ見タル)関門海峡ノ激流(壇ノ浦)」
朱印:「県社 和布刈神社速戸皇大神 御璽」。御朱印として使われた印だと思われるが、確認できない。
佐賀県
佐嘉神社(佐賀市)
■佐嘉神社
所在地:佐賀県佐賀市松原町(佐賀市松原)
創建年代:昭和8年(1933)
社格:別格官幣社(昭和8年列格)
発行時期:昭和8年~20年。佐嘉神社の創建は昭和8年なので、同年の発行と思われる。
絵はがき:「別格官幣 佐嘉神社南神門」。
朱印:「佐嘉神社」。御朱印として使われた例は見られない。参拝記念のスタンプか。
田島神社(唐津市)
■田島神社
所在地:佐賀県東松浦郡呼子町加部島(唐津市呼子町加部島)
創建年代:不詳
社格:国幣中社(明治4年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年。畳紙に昭和3年9月9日のスタンプが押されている。
絵はがき:「国幣中社田島神社 全景」
朱印:左は「国幣中社田島神社」、御朱印として使われていた印である。右は「佐與姫社神璽」、御朱印として使われていた印と思われるが、確認できない。
■田島神社の御朱印
熊本県
出水神社(熊本市中央区)
■出水神社
所在地:熊本県飽託郡出水町今(熊本市中央区水前寺公園)
創建年代:明治11年(1878)
社格:県社(明治12年列格)
発行時期:明治40年以前
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「肥後熊本水前寺」。水前寺成趣園は出水神社の境内、右の方に鳥居が見える。
朱印:「出水神社」。御朱印として使われていた印である。
■出水神社の御朱印
本妙寺(熊本市西区)
■発星山 本妙寺
所在地:熊本県飽託郡花園村(熊本市西区花園)
創建年代:天正13年(1585)
宗派:日蓮宗
発行時期:明治40年以前
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「肥後本妙寺」。浄地廟(加藤清正の霊廟)である。
朱印:上は「肥後之圀本妙寺印」、御朱印として使われていた印である。下は「發星山本妙寺」。
■本妙寺の御朱印
大分県
宇佐神宮(宇佐市)
■宇佐神宮
所在地:大分県宇佐郡宇佐町南宇佐(宇佐市南宇佐)
創建年代:神亀2年(725)
社格:官幣大社(明治4年列格)
発行時期:明治40年~大正7年
絵はがき:「宇佐神宮一ノ鳥居及西大門」。雪景色のようである。
朱印:「宇佐神宮之章」。当時の御朱印に押されている例がある。
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「宇佐神宮 本殿の神座」
朱印:「宇佐神宮」。当時の御朱印に押されている例がある。おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
■宇佐神宮の御朱印
羅漢寺(中津市)
■耆闍崛山 羅漢寺
所在地:大分県下毛郡上津村跡田(中津市本耶馬渓町跡田)
創建年代:伝・大化元年(645)
宗派:曹洞宗
発行時期:明治40年以前
※明治39年のはがきアルバムに収められた絵はがきのうちの1枚。
絵はがき:「耶馬溪羅漢寺宝物」
朱印:「佛法僧寶」の三宝印。御朱印として使われていた印である。
■羅漢寺の御朱印
宮崎県
天岩戸神社(西臼杵郡高千穂町)
■天岩戸神社
所在地:宮崎県西臼杵郡岩戸村岩戸(西臼杵郡高千穂町岩戸)
創建年代:弘仁3年(812)再興
社格:村社(明治6年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「日向高千穂 天岩戸神社」
朱印:「天岩戸神社社務所印」。当時の御朱印に押されている例がある。おかもと氏の「昔の集印帖」に掲載されている。
鹿児島県
鹿児島神宮(霧島市)
■鹿児島神宮
所在地:鹿児島県姶良郡隼人町内(霧島市隼人町内)
創建年代:神代、あるいは神武天皇の御代
社格:官幣大社(明治28年昇格)←官幣中社(明治7年昇格)←国幣中社(明治4年列格)
発行時期:大正7年~昭和8年
絵はがき:「鹿児島神宮参道より社頭を望む」
朱印:「官幣大社 鹿児島神宮」。御朱印として使われた例は確認できない。参拝記念のスタンプか。
照國神社(鹿児島市)
■照國神社
所在地:鹿児島県鹿児島市山下町(鹿児島市照国町)
創建年代:文久2年(1862)
社格:別格官幣社(明治15年昇格)←県社(明治6年)
発行時期:明治40年~大正7年。宛名面に大正9年10月22日のスタンプが押されている。
絵はがき:「別格官幣社 照國神社」。社殿と国旗掲揚塔のようである。
朱印:「別格官幣社照國神社」。御朱印として使われていた印である。
■照國神社の御朱印
■御朱印が押された絵はがき(東北・関東・中部)
■御朱印が押された絵はがき(京都)
■御朱印が押された絵はがき(関西)
■御朱印が押された絵はがき(中四国・九州)