松尾大社は全国の松尾神社の総本社であり、洛西の総鎮守、醸造の祖神、酒の神として信仰を集める。松尾に大山咋神が鎮座することは『古事記』にも記されている。大宝元年(701)秦忌寸都理が社殿を造営したと伝えられる。平安京遷都の後は賀茂社とともに皇城鎮護の神として尊崇された。
正式名称 | 松尾大社〔まつのおたいしゃ〕 |
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御祭神 | 大山咋神 中津島姫命 |
社格等 | 式内社(名神大) 二十二社 旧官幣大社 別表神社 |
鎮座地 | 京都市西京区嵐山宮町3 [Mapion|googlemap] |
公式サイト | http://www.matsunoo.or.jp/ |
御朱印
(1)平成18年拝受の御朱印。中央の朱印と揮毫は「松尾大社」、右上に二葉葵の神紋、左下に甲骨文で「亀」の印。
(2)平成26年拝受の御朱印。朱印・揮毫ともに平成18年のものと同じ。
(3)境外摂社・月読神社の御朱印、平成26年拝受。朱印・揮毫ともに「月讀神社」。
昔の御朱印
江戸・明治の御朱印(納経)
(1)文政7年(1824)の納経(御朱印)。揮毫は「奉納/山城国葛野郡/松尾神社/□□神拝之處如件/廣處」。中央と左下の黒印は「松尾社」。
(2)明治13年(1880)の御朱印。揮毫は「松尾神社/社務所」。中央の朱印は「松尾神社」。右上の印は「官幣大社」、左下は「松尾神社社務所之印」。
(3)明治40年(1907)の御朱印、経本形式の集印帖。揮毫は「松尾神社/社務所」。中央の朱印は「松尾神社」で(2)と同じ。右上の印は「日本第一酒醤之大神/官幣大社松尾神社」、左下は「官幣大社松尾神社社務所印」。
大正~昭和の御朱印
(1)大正8年(1919)の御朱印。揮毫は「山城国葛野郡/松尾村鎮座/官幣大社/松尾神社」。中央の朱印は「松尾神社」。右上の印は二重葵の神紋、左下は二葉葵に「松尾神社参拝記念」。
(2)時期不詳の御朱印。大正末から昭和初めのものと思われる。中央の朱印は「官幣大社/松尾神社」、右上に松葉、左下は二葉葵に「松尾神社/参拝記念」。
(3)昭和7年の御朱印。中央の朱印は「官幣大社/松尾神社」で(2)と同じ。右上の印は「醸造之祖神」、中央上は二重葵。
(4)昭和10年代の御朱印。上に二葉葵の神紋、下の印は「官幣大社 松尾神社」。昭和17年発行の『惟神の礎』に掲載されているのはこの印である。
御由緒
松尾大社は、桂川のほとり、松尾山(別名・別雷山)の麓に鎮座する。全国の松尾神社の総本社であり、醸造の祖神、酒の神として酒造業者から篤い崇敬を受けている。また洛西の総氏神として、西京区・右京区のほぼ全域、下京区・南区・北区の各一部の約10万戸を氏子とする。
『古事記』には「大山咋神、亦名は山末之大主神、此の神は近淡海国の日枝山(比叡山、日吉大社のこと)に坐す。亦、葛野の松尾(当社のこと)に坐す鳴鏑に成りませる神」と見える。
賀茂・稲荷とともに秦氏と深い関わりを持つ。社伝によれば、大宝元年(701)秦忌寸都理が初めて社殿を造営したという。以来、明治のはじめまで秦一族が神主を世襲していた。しかし、松尾山には太古の祭祀遺跡があり、その起源は秦氏来住より遡ることは間違いない。
伝承によれば、その昔、丹波が湖であった頃、保津川を切り開いて、その水を山城に流し、丹波に豊かな田畑を拓くとともに、山城の荒野を潤したとされる。これは、秦氏がこの地を開拓したことの反映と考えられている。
平安京遷都の後は、賀茂社と並んで皇城鎮護の神として尊崇された。賀茂が「東の厳神」と呼ばれたのに対して「西の猛霊」と称され、神威が高まった。
神階の授与もたびたびで、貞観8年(866)には正一位の極位に進み、さらにその後、勲一等を賜っている。『延喜式』では名神大社に列し、月次・相嘗・新嘗の官幣に預かった。二十二社の制では上七社の第四位に列している。また一条天皇以来、行幸もたびたびであった。
江戸時代には朱印領1,333石を寄進され、さらに山林1千町歩余りを有したという。明治4年(1871)には官幣大社に列した。戦後、「松尾大社」と称するようになった。
現在の本殿は応永4年(1397)の建造。桁行三間、梁間四間の両流造で「松尾造」と称される。
摂末社の内、境内の四大神社・衣手社・三宮社、境外の月読社・宗像社・櫟谷社は本社と合わせて松尾七社と称し、松尾祭に渡御を行う。中でも月読社は延喜6年(906)正一位勲一等に叙され、『延喜式神名帳』では名神大社に列している。
本殿背後の松尾山には磐座があり、太古の姿を今に伝えている。また、霊亀の滝近くの亀の井は延命長寿・蘇りの水として知られ、また、酒の造り水に混ぜると酒が腐らないと伝えられる神泉である。
写真帖
メモ
松尾山の緑を背景にして鎮座する檜皮葺の社殿が美しい。初めて参拝したときの印象が強かったためか、私の最も好きな神社の一つ。
桂川にかかる松尾橋を渡ると、正面に大きな朱の鳥居が見える。酒の神様らしく、その傍にとっくりのオブジェがある。神輿舎には全国の造り酒屋から奉納された酒の樽が並ぶ。松尾大社の神使は亀で、手水舎をはじめ、あちこちに亀の像がある。
松尾大社の概要
名称 | 松尾大社 |
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旧称 | 松尾神社 |
御祭神 | 大山咋神〔おおやまくいのかみ〕 中津島姫命〔なかつしまひめのみこと〕 |
鎮座地 | 京都市西京区嵐山宮町3番地 |
創建年代 | 不詳/大宝元年(701)社殿造営 |
社格等 | 式内社 二十二社 旧官幣大社 別表神社 |
延喜式 | 山城國葛野郡 松尾神社二座 並名神大 月次相嘗新嘗 葛野坐月讀神社 名神大 月次新嘗 (境外摂社 月読神社) 櫟谷神社 (境外摂社 櫟谷宗像神社) |
例祭 | 4月2日 |
神事・行事 | 1月1日/歳旦祭 1月3日/元始祭、干支祝寿祭 2月3日/節分祭 2月11日/紀元祭 2月17日/祈年祭 3月3日またはそれ以前の土・日曜日/ひなまつり 4月中酉日/中酉祭(醸造感謝祭) 4月20日以降の第一日曜日/松尾祭「神幸祭」 4月29日/昭和祭・護持講講社祭 5月5日/こいのぼり こどもまつり 神幸祭から21日目の日曜日/松尾祭「還幸祭」 6月/御田植式 6月30日/大祓式 7月7日/七夕まつり 7月第3日曜日/御田祭 旧8月15日/観月祭 9月第1日曜日/八朔祭 9月秋分/慰霊祭 10月/抜穂祭 10月17日/神嘗祭奉祝祭 11月上卯日/上卯祭(醸造祈願祭) 11月23日/新嘗祭 12月15日/境内末社例祭 12月31日/大祓式、除夜祭 |
文化財 | 〈重文〉本殿 木造神像三躯 |
巡拝 | 神仏霊場87番 京都五社巡り |
交通アクセス
□阪急嵐山線「松尾大社駅」より徒歩3分
□JR・近鉄「京都駅」よりバス
■市バス28系統・京都バス73系統「松尾大社前」下車徒歩3分