近代社格制度における神宮及び官国幣社の御朱印の紹介。近代社格制度が制定された明治4年(1871)から廃止された昭和20年(1945)までの御朱印を掲載する(ただし一部戦後の御朱印を含む。
ここでは国幣小社全50社のうち吉備津彦神社以下の15社の御朱印を紹介する。ただし手許にない嘉義神社の御朱印についてはおかもと氏が運営する「昔の集印帖」より許可を得て転載させていただいた。また、光州神社については『惟神の礎』に所収の印影のみ掲載した。なお、御朱印の資料がない4社(江原神社・新竹神社・全州神社・咸興神社)についても神社のデータのみ掲載する。
神社の順序、掲載する御朱印の基準、各神社の説明の内容についてはこちらを参照。
各神社の画像は一部を除き、いずれも資料として収集した戦前の絵はがきである。
神宮及び官国幣社の御朱印一覧
吉備津彦神社
■吉備津彦神社
御祭神:大吉備津彦命
鎮座地:岡山県御津郡一宮村一宮(岡山市北区一宮)
社格:備前国一宮
昇格:昭和3年11月10日
※明治5年県社→昭和3年国幣小社
公式サイト:https://www.kibitsuhiko.or.jp/
■御朱印
(1)明治9年(1876)の御朱印。中央の朱印は「吉備津彦神社」、左下は「宿直所」。墨書は「縣社備前國/中山鎮ス/吉備津彦神社/勤番所」。
(2)明治12年(1879)の御朱印。朱印は(1)と同じ「吉備津彦神社」「宿直所」。墨書は「備前國津高郡一宮/一品吉備津彦神社/勤番所」。
(3)大正10年(1921)頃の御朱印。中央の朱印は「吉備津彦神社御璽」。下の印は「吉備津彦神社社務所」、右上は「備前國一宮」。
(4)昭和11年(1936)の御朱印。中央の朱印は「備前一宮/吉備津彦神社」で、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。右上の印は「備前國一宮」。
(5)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
吉備津神社
■吉備津神社
御祭神:大吉備津彦命
鎮座地:広島県蘆品郡網引村宮内(福山市新市町宮内)
社格:備後国一宮
昇格:昭和3年11月10日
※明治2年郷社→明治9年県社→昭和3年国幣小社
公式サイト:https://bingokibitujinja.com/
■御朱印
(1)明治10年(1877)の御朱印。中央の朱印は紙垂のついた榊。左下の印は判読できない。墨書は「縣社/備後国品治郡宮内鎮座/一品吉備津神社/社務所」。
(2)昭和6年(1931)頃の御朱印。中央の朱印は八稜鏡に「備後一宮/吉備津神社」。下の印は「國幣小社吉備津神社社務所印」で、社務所印だが昭和17年の『惟神の礎』にはこちらの印が掲載されている。
(3)昭和17年(1942)の御朱印。中央の朱印は(2)と同じ「備後一宮/吉備津神社」。したのスタンプは「参拝/國幣小社/吉備津神社」。
(4)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
京城神社(※廃社)
■京城神社
※明治31年(1898)南山大神宮として鎮座、大正5年(1916)京城神社として創立許可
御祭神:天照大神、国魂大神、大己貴命、少彦名命
鎮座地:朝鮮・京畿道京城府南山公園(韓国・ソウル特別市)
創立:大正5年8月22日(明治31年11月3日鎮座)
昇格:昭和11年8月1日
※昭和20年11月17日廃社
■御朱印
(1)昭和4年(1929)の御朱印。中央の朱印は「京城神社」。昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。右上の印は「南山第一発祥」、下の印は「京城神社」。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
龍頭山神社(※廃社)
■龍頭山神社
御祭神:天照大神、国魂大神、大物主神、表筒男命、中筒男命、底筒男命
鎮座地:朝鮮・慶尚南道釜山府(韓国・釜山広域市)
創建:延宝7年(1679)
昇格:昭和11年8月1日
※昭和20年廃社
■御朱印
(1)昭和3年(1928)の御朱印。上の朱印は「龍頭山神社」。下のスタンプは八稜鏡に「龍頭山神社/釜山/参拝記念」。
(2)時期不詳、昭和10年(1935)以前のものと思われるの御朱印。上の朱印は「龍頭山神社」で、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。下のスタンプは(1)と同じ。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
大邱神社(※廃社)
■大邱神社
※明治39年(1906)皇大神宮遙拝所として創建、大正2年(1913)大邱神社と改称
御祭神:天照大神、国魂大神
鎮座地:朝鮮・慶尚北道大邱府達城町(韓国・大邱広域市)
創立:大正5年4月22日(明治39年11月3日創建)
昇格:昭和12年5月15日
※昭和11年道供進社→昭和12年国幣小社
※昭和21年11月17日廃社
■御朱印
(1)昭和2年(1927)の御朱印。朱印は「大邱神社」。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。印文は「國幣小社大邱神社」。
平壌神社(※廃社)
■平壌神社
御祭神:天照大神、国魂大神
鎮座地:朝鮮・平安南道平壌府慶上里(北朝鮮・平壌市)
創立:大正5年5月4日(大正2年1月1日鎮座)
昇格:昭和12年5月15日
※昭和20年8月15日焼失・廃社
■御朱印
(1)時期不詳、昭和10年(1935)のものと思われる御朱印。上の朱印は「平壌神社」で、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。下のスタンプは五七の桐の神紋に「平壌神社参拝紀念」。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
伊奈波神社
■伊奈波神社
御祭神: 五十瓊敷入彦命
鎮座地:岐阜県岐阜市伊奈波通
社格:式内論社(小)
国史所載の神階:従四位下
昇格:昭和14年11月1日
※明治6年県社→昭和14年国幣小社
公式サイト:https://www.inabasan.com/
■御朱印
(1)時期不詳、昭和初期のものと思われる御朱印。上の朱印は「縣社伊奈波神社之印」、下は「縣社伊奈波神社社務所」。
(2)昭和10年(1935)頃の御朱印。上の朱印は「伊奈波神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。下のスタンプは八稜鏡に「岐阜市稲葉山鎮座/縣社伊奈波神社/参拝記念」。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
倭文神社
■倭文神社
御祭神:建葉槌命
鎮座地:鳥取県東伯郡舎人村宮内(東伯郡湯梨浜町宮内)
社格:式内社(小)、伯耆国一宮
国史所載の神階:-
昇格:昭和14年11月1日
※明治初年県社→昭和14年国幣小社
公式サイト:http://www.sidorijinja.com/
■御朱印
(1)明治10年(1877)の御朱印。中央の朱印は「縣社」、左下の印は判読できない。墨書は「伯耆國御冠山鎮座/式内縣社/倭文神社/神官/米原武穂」。
(2)昭和17年(1942)の御朱印。朱印は「倭文神社」、同年発行の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
尾張大國霊神社
■尾張大國霊神社
御祭神:尾張大国霊神
鎮座地:愛知県中島郡稲沢町国府宮(愛知県稲沢市国府宮)
社格:式内社(小)、尾張国総社
国史所載の神階:-
昇格:昭和15年11月1日
※明治6年郷社→明治9年県社→昭和15年国幣小社
公式サイト:https://www.konomiya.or.jp/
■御朱印
(1)昭和15年(1940)の御朱印。下の朱印は「尾張大國霊神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。上のスタンプは「愛知縣国府宮社務所」。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
穂高神社
■穂高神社
御祭神:穂高神
※穂高見命、綿津見命、瓊瓊杵命とされる
鎮座地:長野県安曇郡穂高町穂高(安曇野市穂高)
社格:式内社(名神大)
国史所載の神階:従五位上
昇格:昭和15年11月1日
※明治5年郷社→明治15年県社→昭和15年国幣小社
公式サイト:http://www.hotakajinja.com/
※絵はがき…昭和15年の御列格奉告祭の様子
■御朱印
(1)昭和18年(1943)の御朱印。朱印は「穂高神社」、昭和17年の『惟神の礎』にはこの印が掲載されている。
(2)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
雄山神社
■雄山神社
御祭神:雄山神
※伊邪那岐神、天手力雄神とされる
鎮座地:富山県中新川郡立山村(中新川郡立山町)
社格:式内社(小)、越中国一宮
国史所載の神階:-
昇格:昭和15年11月1日
※明治6年県社→昭和15年国幣小社
公式サイト:http://www.oyamajinja.org/
■御朱印
(1)時期不詳、昭和初期のものと思われる峰本社の御朱印。朱印は右上から順に「立山頂上」「立山雄山神社」「立山雄山神社峰社務所」。
(2)昭和23年(1948)の御朱印。朱印は「雄山神社」で、戦後のものだが昭和17年の『惟神の礎』に系されている印と同じもの。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。
千栗八幡宮
■千栗八幡宮
※明治初年千栗八幡神社、昭和15年(1940)千栗八幡宮と改称
御祭神:応神天皇、仲哀天皇、神功皇后
鎮座地:佐賀県三養基郡北茂安村白壁
社格:肥前国一宮
昇格:昭和15年11月1日
※明治初年郷社→明治36年県社→昭和15年国幣小社
公式サイト:https://www.instagram.com/chirikuhachimanguu/(インスタグラム)
■御朱印
(1)明治22年(1889)の御朱印。中央の朱印は宝珠と宝剣と日輪か。左下の印は判読できないが、「千栗」か? 墨書は「佐賀縣養父郡北茂安村/千栗郷社/八幡大神/社務所」。
(2)昭和23年(1948)の御朱印。「千栗八幡宮之印」。戦後に新調されたものであろう。
(3)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。印文は「國幣小社千栗八幡宮」。
光州神社(※廃社)
■光州神社
御祭神:天照大神、国魂大神
鎮座地:朝鮮・全羅南道光州府亀岡町(韓国・光州市)
創立:大正6年5月1日(大正6年11月3日鎮座)
昇格:昭和16年10月1日
※昭和11年道供進社→昭和16年国幣小社
※昭和20年11月17日廃社
■御朱印
(1)昭和17年発行の『惟神の礎』(紀元二千六百年奉祝会編)に掲載されている印影。印文は「光州神社」。
江原神社(※廃社)
■江原神社
※大正7年春川神社、昭和13年江原神社と改称
御祭神:天照大神、明治天皇、国魂大神、素戔嗚尊
鎮座地:朝鮮・江原道春川郡春川邑(韓国・春川市)
創立:大正7年3月14日(大正8年7月7日鎮座)
昇格:昭和16年10月1日
※昭和11年道供進社→昭和16年国幣小社
※昭和20年11月17日廃社
新竹神社(※廃社)
■新竹神社
御祭神:大国魂命、大己貴命、少彦名命、能久親王
鎮座地:台湾・新竹州新竹市客雅(台湾・新竹市)
創立:大正7年10月25日
昇格:昭和17年11月25日
※大正9年県社→昭和17年国幣小社
※昭和20年廃社
台中神社(※廃社)
■台中神社
御祭神:大国魂命、大己貴命、少彦名命、能久親王
鎮座地:台湾・台中州台中市新高町(台湾・台中市)
創立:明治44年2月28日(大正元年10月鎮座)
昇格:昭和17年11月27日
※大正3年県社→昭和17年国幣小社
※昭和20年廃社
■御朱印
(1)昭和6年(1931)頃の御朱印。朱印は「臺中神社」。
嘉義神社(※廃社)
■嘉義神社
御祭神:天照大神、大国魂命、大己貴命、少彦名命、能久親王
鎮座地:台湾・台南州嘉義市山子頂(台湾・嘉義市)
創立:大正4年10月28日
昇格:昭和19年2月28日
※大正6年県社→昭和19年国幣小社
※昭和20年廃社
■御朱印
(1)昭和7年(1932)頃の御朱印、おかもと氏の『昔の集印帖』より許可を得て転載。上の朱印は「嘉義神社」、下は「嘉義神社社務所之印」。
全州神社(※廃社)
■全州神社
御祭神:天照大神、明治天皇、国魂大神
鎮座地:朝鮮・全羅北道全州府華山面(韓国・全州市)
創立:大正5年9月27日
昇格:昭和19年5月1日
※昭和11年道供進社→昭和19年国幣小社
※昭和20年11月17日廃社
咸興神社(※廃社)
■咸興神社
御祭神:天照大神、国魂大神
鎮座地:朝鮮・咸鏡南道咸興府東雲町(北朝鮮・咸興市)
創立:大正5年8月21日(大正7年10月1日鎮座)
昇格:昭和19年5月1日
※昭和11年道供進社→昭和19年国幣小社
※昭和20年11月17日廃社
【1】神宮・官幣大社の御朱印(1)
【2】官幣大社の御朱印(2)
【3】官幣大社の御朱印(3)
【4】官幣大社の御朱印(4)
【5】官幣大社の御朱印(5)
【6】国幣大社の御朱印
【7】官幣中社の御朱印(1)
【8】官幣中社の御朱印(2)
【9】国幣中社の御朱印(1)
【10】国幣中社の御朱印(2)
【11】国幣中社の御朱印(3)
【12】官幣小社の御朱印
【13】国幣小社の御朱印(1)
【14】国幣小社の御朱印(2)
【15】国幣小社の御朱印(3)
【16】別格官幣社の御朱印(1)
【17】別格官幣社の御朱印(2)